女優・常盤貴子が語る‥「ドラマ女優」と「映画女優」の違いって何だろう

女優人生32年目の実感
週刊現代 プロフィール

演じた役の人生が「自分事」になる

撮影/大木茂

最近の私の生活は、家を彩る草花に水をあげることから始まります。

それから本を読んだり、飼い猫と遊んだり。年齢を重ねるにつれて、家で過ごす時間を大切にするようになりました。

体調にも気を遣うようになっています。美は着飾ることではなく健康だ、という思いが強くなってきたからです。

いまはジャイロトニック(木製マシンを使った、体をねじる運動が主体のトレーニング)やウォーキングをしています。

といってもすぐに怠けてしまうので、わざわざ電車に乗って遠くの駅で降り、歩かざるを得ない状況をつくったりしています。

 

俳優として関心を抱いているのは朗読です。

大林宣彦監督の遺作がきっかけです。この映画で私は、戦中に慰問公演を行っていた劇団「桜隊」の一員、園井惠子さんを演じました。

1945年8月6日、広島に原爆が投下されたその日、桜隊は広島にいて、園井さんは避難したものの21日に亡くなり、劇団員9人全員が亡くなってしまいました。

桜隊の慰霊碑が東京・目黒区の五百羅漢寺にあり、毎年8月6日に法要が行われます。

2021年には法要のあとの追悼会で、桜隊のメンバーひとりひとりの人生を振り返る朗読劇が上演され、私も出演したのです。

俳優はセリフを言葉として発することで、その役の人生が「他人事」ではなく、「自分事」になります。朗読はそのことを実感させてくれます。

桜隊の朗読劇を、これからも続けていきたいと思っています。あの日の悲劇は、私にとってもう他人事ではないのだから。

関連記事