憲法は行政書士試験の中では決して配点が高い科目ではないので、対策が後回しになり、結果的に憲法の得点が低く、苦戦を強いられる受験生が多くみられます。
そうならないように、「憲法の出題数と配点」「人権と統治の分野についての学習法」「憲法で取っておくべき点数」を解説します。
是非、本コラムを参考に憲法で効率良く得点を稼いでください。
憲法の出題数と配点
行政書士試験における憲法の出題数と配点は、5肢択一式で5題(配点20点)、多肢選択式で1題(配点8点)の合計6題(配点28点)となります。
28/300ですので、行政法や民法と比べると重要度は低いと言えますが、絶対になめてはいけません。
人権と統治の分野についての学習法
憲法は大きく分けて、「人権」と「統治」と「その他」の分野に分かれます。学習していく上で最も難易度が高いのが、判例を中心に出題される「人権」の分野になります。
逆に「統治」や「その他の分野」は条文からそのまま出題される場合が多いので、難易度はそれほど高くならない傾向にあります。
人権分野は判例
人権分野は判例の内容が細かく出題されます。
そもそも人権の分野は条文はシンプルで解釈しやすくなっております。
その条文を解釈しながら具体的な事案に対して裁判所が判例を出します。
この判例が後の類似の事案の判断の基準となっていくのです。
したがって、基準となるような重要な判例は法律の学習には欠かせないものとなり、憲法が出題の範囲になっている資格試験では重要な判例は繰り返し出題されます。
もちろん行政書士試験も例外ではありません。
では、判例を学習するにはどのような手順をとればよいのでしょうか。
1、事案の整理をする
ここではどのような権利が問題になっているのか、その争点の整理をしていきます。また、問題となっている条文もしっかりおさえていくことも重要です。
2、結論とそこに至る流れをおさえる
ここでは争点となった事案に対して裁判所がどのような判断をしたのかをおさえていきます。
そう至るまでの流れを含めてしっかり具体的に理解しながら学習する必要があります。
特に違憲となった判例は繰り返し出題されるので要注意です。
また、判例にはキーワードがあります。
これは多肢選択式の空欄としても出題されるので、基本テキストや参考書で特に強調しているキーワードは覚える必要があります。
重要な判例についてはキーワードの暗記を含めて何度も学習するようにしましょう。
統治分野は条文
「統治」とは「国会」「内閣」「裁判所」についての条文を指します。これらは人権の分野に比べて文言も具体的であり、数字も細かいことから、理解と暗記のバランスが重要な分野と言えます。
ただし「統治」の分野は「人権」の分野と異なり、ほぼ条文から出題されます。
したがって、条文の文言と数字さえ覚えてしまえば比較的楽に得点できますし、問題の難易度もそれほど高くありませんので、合格者のほとんどが統治の分野は正解しています。
逆に言うと、統治の分野で落としてしまうと合格から一歩退いてしまうとも言えます。
したがって、「統治」の分野は条文を一言一句正確に覚える必要があります。市販されているチェックペンなどを使い、正確に暗記していきましょう。
また、統治の分野と同じく、第1章の「天皇」の分野も条文の文言がそのまま出題される分野です。
第1章「天皇」の分野は「統治」の分野を学習する際に並行して覚えてしまいましょう。
統治の分野の対策として、アガルートアカデミーでは、「豊村慶太の統治条文一気読み」というコンテンツを配信しております。こちらもぜひご活用ください。
憲法で取っておくべき点数
憲法の安全ラインは20/28です。もちろんそれ以上をめざして学習していきますが、多肢選択を含めて20点得点できれば憲法でアドバンテージがとれます。
つまり、択一式の難問はたとえ不正解でも他の基本的な問題を正解すれば憲法全体でアドバンテージがとれるということです。
この点からも「統治」の条文問題や「人権」の基本的な判例問題は必ず得点したいところです。
なお憲法において、しばしば「難問」と言える問題が出題されます。
これらの問題に当たったらまずは飛ばして解ける問題から解いてください。
択一式5問の中には基本的な問題が必ず2、3題出題されています。これらを確実に得点することが重要となりますので、難問奇問を後回しにしていきましょう。