フランスの映画監督ジャンリュック・ゴダール氏が9月、スイス西部の自宅で安楽死を遂げ、91歳の生涯に幕を閉じた。それは「尊厳ある死」と呼べるのだろうか。

 ゴダール氏は、映画「勝手にしやがれ」(1959年)や「気狂いピエロ」(65年)などで、映画界にヌーベルバーグ(新たな波)を巻き起こした。彼の死は、世界中の人々に悼まれたが、病気ではなく「疲労困憊[こんぱい]」を理由に安楽死したことが衝撃を与えた。

 スイスでは、患者自らが致死薬入りの液体を飲み干すことなどで自死する「自殺ほう助」が容認されている。オランダやベルギーでは、このほか医師が劇薬入りの注射を患者に打ち、死に至らせる「積極的安楽死」も認められている。

 私は、広義の意味で両者を…