「情報ライブ ミヤネ屋」と「ひるおび」にコメンテーターとして出演した弁護士の発言で名誉を傷つけられたとして、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)は9月29日、テレビ局と弁護士らに計約6600万円の損害賠償や謝罪広告をもとめて東京地裁に提訴した。
提訴後に記者会見を開いた教団側代理人の福本修也弁護士は「弁護士ですから、いずれ懲戒(請求)も考えています」と述べたほか、言論を理由とするさらなる訴訟も検討していると明かした。
●テレビ2局と弁護士3人が訴えられた
訴えられたのは、読売テレビ(大阪府)とTBS(東京都)の2局と、コメンテーターとして出演した紀藤正樹弁護士と本村健太郎弁護士と八代英輝弁護士の3人。
訴状によると、教団側は、7月からの各番組における以下のような発言(発言一部)を問題にしている。
『(教団が)信者に対して売春させてたっていう事件まである。非常に深刻な事件まであって、お金を集めるためには何でもするっていう発想がですね』(紀藤弁護士「ミヤネ屋」7月20日)
『統一教会というのは、これはすでに民事訴訟など裁判所の認定がすでに下りている事実として言いますと、布教活動自体が違法であるいうことがはっきりと裁判所で認定されています』(本村弁護士「ミヤネ屋」9月2日)
『この教団がやっている外形的な犯罪行為等をですね』(八代弁護士「ひるおび」9月1日)
教団は、こうした発言は事実に反するとして、教団の社会的評価を著しく低下させ、名誉毀損にあたると主張。各発言についてそれぞれ放送局と弁護士を訴える訴訟を3つ起こした。
いずれも損害賠償とともに、番組での謝罪放送と、弁護士らには事務所ホームページでの謝罪広告の掲載をもとめている。
●教団の名誉毀損訴訟は続く…現役信者も裁判を起こす準備がある
今回の訴訟では、名誉毀損を立証しやすい発言を選んだ結果、訴える相手がたまたま弁護士になったというが、「第2弾」「第3弾」の訴訟も検討中だという。
また、裁判だけでなく、弁護士らに対する懲戒請求の考えも明らかにした。
特にその発言を問題視しているのが紀藤弁護士によるものだという。発言当日の夜からネット上では「家庭連合が売春をさせている」という趣旨の書き込みが相次いだとしている。
教団では、民事でも刑事でも売春の実態が認められたことはないと主張。紀藤弁護士に抗議したところ、番組での発言は「分派のことを言った」とする内容の回答があったという。
「特に信者たちからは売春発言について『ものすごく腹立たしい』など本部への抗議、突き上げがある」「一般人にとって統一教会と分派の関係なんてわからない。一般人は統一教会がやっていると受け止める」(福本弁護士)
教団の近藤徳茂総務局副局長は「現役信者が損害を受けています。いずれは信者も(教団とともに)共同訴訟する事案を検討中です」と次なる動きを予告した。
訴えられたテレビ局はそれぞれ「訴状を確認したうえで今後の対応を検討いたします。当社の考えにつきましては裁判を通じて申し述べてまいります」(読売テレビ)、「訴状を受け取っておりませんので、コメントを差し控えます」(TBS)と弁護士ドットコムニュースに回答した。