6月18日(土)から天王洲の寺田倉庫G1ビルにて絶賛開催中の『ブルーピリオド展〜アートって、才能か?〜』にて、公式アンバサダーを務める人気お笑い芸人、麒麟・川島明さんが登場。かねてより漫画『ブルーピリオド』の大ファンだと公言する川島さんに、作品の魅力や共感ポイント、企画展の見どころを聞きました。
──アンバサダー就任おめでとうございます! まずは今の感想を教えてください。
川島「僕と『ブルーピリオド』の出会いは、一巻が出たばかりの頃に何気なく書店で手に取ったのがきっかけ。読んでみたら、こんな切り口で絵を題材にした漫画があるんだとすごく衝撃を受けて、以来ずっと愛してやまない作品です。そんな作品のアンバサダーに指名していただくなんて、こんなに光栄なことはありません。このような形で作品に携わらせていただけるということで、この素晴らしい作品を皆さんにもっともっと知っていただけたらなと思っています」
──会場内の音声ガイドも担当されているんですよね?
川島「僕自身、美術館などにいく時は絶対に音声ガイドを借りるタイプで、その度にこの仕事は自分に向いていると思っていました(笑)。今回大好きな『ブルーピリオド』の展示を担当させていただけて、めちゃくちゃ嬉しかったです!ガイドでは作品の説明だけでなく、ファン目線でも喋っているので、作品のファンの方にもまだ原作を読んでいない方にも聞きやすい内容になっていると思います」
──『ブルーピリオド』といえば、個性豊かなキャラクターたちが多く登場しますが、川島さんはどのキャラクターに一番共感しますか?
川島「僕は主人公の矢口八虎にすごく共感します。彼は基本的にとても器用なタイプで、勉強も人付き合いも効率よく結果を出せる人。そんな男が、ある瞬間を境に絵にハマって、成長していく過程でたくさんの天才たちと出会うことで、挫折や努力というものを覚えていくんですよね。それがこの世界に入った自分とリンクしているなと。『ブルーピリオド』には芸人あるあるがかなり詰まっていて、特に刺さったのは、藝大の受験会場のシーンで八虎が言った『“努力と戦略” は俺の武器だと思ってもいいの?』というセリフ。僕の周りにもめちゃくちゃ面白い人たちがたくさんいて、その中には全然叶わないような天才タイプもいっぱいいる。そういった人たちと対峙したときに、「負けたな」と思ったことが数え切れないほどありました。凡人だからこそ、次に負けないようにたくさん努力をして準備するしかないわけで、どこか一生懸命準備をしなくては勝てないことにコンプレックスを感じることもあったのですが、八虎が努力することも才能として自分の中にあるんだと肯定するシーンに、僕もすごく背中を押されました」
──確かにここは名シーンですよね! 八虎が美術部の森先輩の絵をみたことから、美術の世界にグッと引き込まれて物語が広がっていきます。川島さんにとって同じような経験はありましたか?
川島「小さい頃から芸人になりたいと思っていたものの、なかなか親に言い出せずに高校卒業後は地元のネジ工場でバイトをしながら吉本の養成所に通うための資金をこっそり貯めていたんです。その頃ちょうど、ダウンタウンの松本さんが『一人ごっつ』という番組を平日の10分間毎日やっていて。内容は一人で作務衣を着て頭にタオルを巻いて黙々と大喜利をしていくという超ストイックなもの。あれは相当な衝撃でした」
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お笑いのターニングポイントは?