──作中にはたくさんの天才が出てきますが、中でも立ち止まることなく美術の道を突き進んできた世多助は八虎に刺激を与え続けるキーマンとなっています。川島さんにとって世多助のような天才で思い浮かぶ人はいますか?
川島「一番この人すごいなと思ったのは、ケンドーコバヤシさん。若手の時に劇場で大喜利やギャグ大会といった企画があったのですが、他の芸人たちが事前にネタを考えて何時間も準備をしている時にもケンコバさんはいつもぶっつけ本番。むしろ本番1分前まで寝てるんです。「そんなこと考えても舞台に出たらおしまいや」と言いながら舞台に上がり、一人で爆笑をかっさらっていく。どれだけ準備をしても、舞台上のハプニングなどでウケないことなんて当たり前にあるのに、ケンコバさんは全部笑いに変えていくんですよ」
──それは完全にヒーローですね。
川島「だから、みんなケンコバさんに影響を受けて、準備することをやめたりしたんですよね。ケンコバさんがそう言って優勝してるなら、真似して本番1分前まで寝とこうって。もちろん、そんな状態で舞台に出たら普通にしっかりスベるんですよ(笑)。やっぱり天才の真似ってしたらダメなんだなってすごい思いましたね。特に芸人の世界では、影響されやすかったりするので」
──最後にブルーピリオド展の見どころについても教えてください。
川島「ブルーピリオド展では漫画の原画だけでなく、キャラクターたちが描いた美術作品の原画も見られるのが他の展示会と異なるポイントだと思います。どれも実際のアーティストや学生が描いた作品で、漫画の中では白黒でしか描かれなかったものが色もついた状態で目の前にあるというのは感動的でした。中でも、親に進路を相談できずにいた八虎が、美大に行きたいという想いを託した一枚の絵を見た時は、漫画では決して見ることのできない一本一本の繊細なタッチに正直泣きかけましたね。絵の道に進みたい人もそうですが、いくつになっても人生の分岐点に迷っているという方にも、ここにくれば必ず何かしらヒントが隠されていると思うので、ぜひ楽しんでいただきたいです」
──原作をまだ見たことがないという人も楽しめますか?
川島「入り口のところから名画と言われる西洋美術作品のレプリカがあったり、たくさんの新進気鋭の作家さんたちによる美術作品が並んでいるので純粋に美術展としても楽しめると思います。中には、実際に展示されている作品を買うとしたら?と考えながら欲しいと思った作品にシールを貼るという参加型の展示もあり、そこでは美術館の楽しみ方について新しい発見があるはず。他にも、キャラ大石膏室というコーナーでは、来場者がデッサンを自由にデッサンをして、描いた作品を飾ることもできます。会期が進むにつれてどんどん作品が増えていくので、一回だけではなく、何度も通って展覧会自体が成長していく様子をみるのも面白いと思いますよ。原作を読んだことがない人も、絵が下手だという人もみんなで楽しみながら作っていける展覧会になっているので、ぜひ遊びに来てください!」
川島明(かわしま あきら)
PROFILE:1979年2月3日生まれ、京都府出身。NSC大阪校20期生。
1999年、田村裕とお笑いコンビ・麒麟を結成。『M-1 グランプリ』決勝に5回進出。2021年4月、朝の情報バラエティ番組『ラヴィット!』(TBS系)で自身初の帯番組MCに就任し、『100%アピールちゃん』(TBS系)、『サンデーPUSH スポーツ』(日本テレビ系)などでもMCとして活躍中。その他、TV、ラジオ、CMなどに多数出演中。
『ブルーピリオド展』
©山口つばさ/講談社/ブルーピリオド展製作委員会
約50点の作中絵画のほか、主人公が絵を描く楽しさに目覚めるきっかけとなった「青の渋谷」シアター、名画の見方やデッサン体験ができる「キャラ大石膏室」、藝大に挑んだ各作品を再現した「1次試験」、現役作家の予備校時代の作品「あの人のブルーピリオド」、未公開ネームや藝大卒業制作を展示した「山口つばさの部屋」など、あらゆる視点から『ブルーピリオド』とアートの魅力を楽しめます。公式アンバサダーには、作品を愛して止まない麒麟の川島明さんが就任。音声ガイドで、愛が詰まった解説を披露しています!
開催期間 6月18日(土)~9月27日(火)
開催場所 東京 天王洲 寺田倉庫G1ビル
取材・文/市谷未希子
Edited by VOCE編集部
公開日:2022.07.01