【7月27日 時事通信社】ウクライナの情報機関である保安局(SBU)は26日、ロシアがウクライナ東部の占領地域の併合を正当化するための「住民投票」実施に向けた動きを本格化させていると発表した。2014年のウクライナ南部クリミア半島併合の際にも「住民投票」が行われており、米政府は「決して認めない」と警告。「投票」の実施に踏み切れば、ロシアと西側諸国のさらなる対立激化を招くことは確実だ。

 SBUによると、東部のドネツク州やルガンスク州では親ロ派組織を利用して「住民投票」を実施し、ロシアへの編入を図る計画が進められている。さらに南部のヘルソンやザポロジエ、北東部のハリコフなどの各州にも活動範囲を広げているという。SBUは親ロ派が作成した文書を含む計画の内容も公開した。

 占領地域の併合をめぐっては、米政府も19日に「ロシアが詳細な計画を検討している」として、非難したばかりだ。

 米シンクタンクの戦争研究所は26日付の戦況報告で、ロシアで統一地方選が行われる9月11日ごろに占領地域で「住民投票」が行われる可能性があると指摘した。一方で、同研究所は「ロシア軍が初秋までにウクライナの占領地域を大きく拡大することはなさそうだ」と分析した。

 ロシア軍は25日から26日にかけて東・南部で攻撃を継続し、東部バフムトの周辺でわずかに前進した。これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は26日の国民向けビデオ演説で「必ず反撃する」と強調した。

 ロシアとウクライナが合意した黒海を経由した穀物輸出をめぐっては、週内に再開する方向で準備が進んでいる。(c)時事通信社