慶應通信 2022年度 債権総論 合格レポート
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第1 事後求償権
1.はじめに-民法の構成
保証債務を弁済した保証人から主債務者に対する求償は、民法 459 条~463 条に規定さ
れている。そして、保証人の事後求償の範囲については、主債務者からの委託を受けた保
証人か否か、委託がない場合には主債務者の意思に反して保証人になったか否かによって、
異なった取扱いがなされている。
なお、課題文は「保証債務を弁済した」と書いているので、本レポートでは事後求償に
ついてのみ触れ、保証債務を弁済する前に保証人から主債務者に対する事前求償(民法 460
条)については触れない。
2.受託保証人の事後求償権
(1)主債務の弁済期後に債務消滅行為をした場合
ア.受託保証人の事後求償権の成立要件及び行使時期
主債務者から委託を受けた保証人(以下、「受託保証人」という。)の主債務者に対する
事後求償権の成立要件は、
① 主債務(被保証債権)の存在
② 債権者と保証人との間で書面による保証契約の締結(民法 466 条 2 項)
③ 保証人が債権者に対して保証債務を「弁済その他自己の財産をもって債務を消滅さ
せる行為」(以下、..