慶應通信 2022年度 債権各論 合格レポート
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第1 有償契約と無償契約の特色
1.はじめに-有償契約と無償契約の意義
民法上の契約の分類の 1 つに、有償契約と無償契約の区分がある。有償契約とは、当事
者双方が相互に対価的な関係のある出捐(給付、経済的損失)を負担する契約をいう。無
償契約とは、①一方当事者のみが出捐を負担する契約、又は、②当事者双方が出捐を負担
するものの、両出捐に対価的な関係がない契約をいう。
これは、両当事者の間で、対価的な関係のある出捐を負担しているか否かによる区分で、
原則として有償契約に売買契約の規定が準用されることから、当該区分に実益がある(民
法 559 条)。
2.契約の拘束力の強弱-無償性ゆえの特別な任意解除権
(1)総説
無償契約も契約なので、法的拘束力があるものの、有償契約と異なり、対価を得ること
なく給付を行うことを約束する契約なので、常に有償契約と同等の拘束力を与えることは
必ずしも妥当ではない。
そこで、無償契約は、有償契約と比較して、一定の範囲において契約の拘束力が緩和さ
れている。そして、契約の拘束力の緩和は、未履行段階での任意解除権(=無償性ゆえの
特別な..