慶應通信 2022年度 刑事訴訟法 合格レポート(夏期スクーリング)
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1.問題の所在
(1)問題となる事実関係
本件において、警察官Kらは、A地域における連続空き巣事件の被疑者Xが使用するバイクにGPS装置を設置し、約1か月間にわたってXの行動を監視している。
(2)問題提起-装着型GPS捜査の強制処分性
そこで、Kらが行ったGPS装置の設置によるXの行動監視(以下、「本件捜査」という)は、「強制の処分」(刑訴法197条1項但書)に該当するかが問題となる。
2.判断枠組み
ア.他学説の検討
この問題について、刑訴法は「強制の処分」の定義を示していないので、その判断基準は解釈に委ねられる。
かつて、有形力の行使、又は、法的義務の賦課を伴う処分を強制処分とする見解があった。この見解によると、軽微でも有形力の行使を伴う処分は強制処分に該当するので、強制処分法定主義・令状主義の規制が要請される。また、有形力の行使を伴わない処分は任意処分に該当するので、写真撮影等のような、対象者のプライバシー等の権利・利益に重大な影響を及ぼす手段であっても、法律の根拠なく行うことができ、結論内容が非現実的という問題がある。したがって、上記見解は妥当ではない。
これに対..