ロシア石油が欧州へ裏流通 ギリシャ沖経由、日経分析
・ロシア産石油が海上で移し替える方法を使い欧州に流入している。
・ギリシャ沖がハブとなり、移し替えは半年間で20倍の175件に急増した。
・12月に完全禁輸する英国の港にも2隻のタンカーが入港している。
ウクライナに侵攻したロシアの石油が隠れたルートで欧州に流入している。ギリシャ沖でロシア発タンカーから石油を受け取り欧州の港に入港した船が半年で41隻と、1隻だった前年から大幅に増...
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(更新)- 鈴木一人東京大学 公共政策大学院 教授ひとこと解説
西側諸国の買い手がロシアの原油を必要とし、買い続ける限り、制裁逃れということになるのだろうが、それでロシアの経済が好調になるわけでもない。ロシアは制裁を逃れようと思えば、タンカーを中国やインドに向けて走らせ、そこで原油を売れば良い。この記事で問題になるのは、西側諸国の制裁が西側諸国の企業を抑圧し、西側諸国の企業が制裁をすり抜けてロシア産原油を買おうとしているということ。北朝鮮のように制裁を破って外貨を稼ごうという話とは違う。ロシアは本来西側に売ろうとしていた原油が表で売れないので、瀬取を通じて裏で売っているという話。
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(更新) - 竹内純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員ひとこと解説
ここまでしなければならないほど、エネルギーは必要な財だということ。ロシア制裁だけでなく、温暖化対策でも同じですが、化石燃料を買わない、消費しないといっても「武士は食わねど高楊枝」というわけにはいかない究極の生活財・生産財ですし、全世界が一致団結して「買わない」を貫かねば意味がありません。ロシアの化石燃料による収入を定期的に試算しているフィンランドの研究機関は、侵攻開始から半年で、ロシアは化石燃料の輸出で1580億ユーロ(約22兆円)の収入を得たとする報告書を9月6日に公表しています。うち半分以上は欧州連合(EU)向けだったともされており、実効的な制裁が可能かどうかは難しいところです。
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(更新) - 白井さゆり慶應義塾大学総合政策学部 教授ひとこと解説
ある海外の分析でも、ロシア産の石油の海上貨物量はウクライナ戦争前と後でほぼ同じであることを示しており、ロシア産の石油の輸出は減っていない。船主がギリシャの船籍が非常に多く使われているという。IEAも制裁が上手くいっていないことを認めている。12月5日から施行されるロシア産石油価格の上限設定が上手く機能するためには、上限を超えた場合に、G7それぞれが金融、保険、輸送などのサービス取引が行われないよう取り締まりできるかに依存している。監視は各国にまかせられているが果たして有効な監視ができるのか、また違反した行為に対して二次制裁をきちんと適用できることが重要になる。
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(更新) - 上野泰也みずほ証券 チーフマーケットエコノミストひとこと解説
ほかの専門家の方がすでにしっかりコメントされているので、個人的感想。6人もの記者を投入し、実地調査もしっかり行った労作で、調査報道として価値が高いように思う。ちょうど新聞協会賞が発表されたばかりだが、次回の候補に十分なリ得るのではないか。「瀬取り」というと、北朝鮮への密貿易で過去に関連する報道があったが、ロシア産の石油でもあるのではないかという目のつけどころがまず秀逸。衛星画像の分析、関係会社への突撃取材、ギリシャ沖で記者が「瀬取り」現場を撮影するという、エキサイティングな展開である。筆者は若い頃、ジャーナリズムの世界に関心を抱いたことがあった。この記事を読んで志を抱く若者がいるかもしれない。
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