武道館周辺には重い空気が漂う
岸田首相の口癖には、ほかにもトップが絶対に使ってはいけない反面教師フレーズが多々あります。「高い緊張感を持って注視していきたい」もそのひとつ。政治家の常套句ではありますが、岸田首相はひときわ頻繁に使っている印象があります。
部下から「社長、ウチの株価が急速に値下がりしています!」と報告されて、「そりゃたいへんだ。高い緊張感を持って注視していかなけらばな」と答えているようでは、その会社に未来はありません。つまりは「何もしない」という意味。注視してもいいですけど、そのあとどんな行動を起こすかが大切です。
「慎重に検討していく」「慎重に対応する」「慎重に議論を重ねる」あたりも、岸田首相が頻繁に使ってくれるおかげで、多くのトップが「これは使ってはいけない」と思い知りました。聞いている側は「具体的には何もする気はない」と言っているようにしか聞こえないし、その場を適当に切り抜けようという人をバカにした姿勢も見えます。
国会で防衛計画やガソリン高騰への対応策を質問されたときなど、何かというと使っているのが「あらゆる選択肢を排除せず(検討していきたい)」というフレーズ。一見カッコいいのですが、とくに何も言っていません。上司やチームリーダーが会議の冒頭で「今日は、あらゆる選択肢を排除せずに検討しよう」と言ったら、確実に人望を失うでしょう。
ふたたび国葬に話を戻します。賛成の人はさておき、反対の人は当日をどう過ごせばいいのか。同じ意見を持つ人と「あらゆる選択肢を排除せず」「慎重に議論を重ね」れば、きっと「高い緊張金を持って注視」しようという話になりそうです。別の人に「どんな議論をしたの?」と尋ねられたら、「丁寧な説明を尽くし」ましょう。
国のリーダーである岸田首相推奨の対応策なので、日本国民のひとりとして何の問題もないはず。結局は「何もしない」ということなので、賛成の人がしんみり悼んでいる邪魔をすることもなく、平穏な一日を過ごせます。