【制作者コメント】
描くは、安倍晋三元首相暗殺犯の山上徹也容疑者。
事件直後から企画、3日で脚本を書き、目指す公開日は、9月27日、まさしく国葬の日。
この国は、安保法制や共謀罪がそうであったように、安倍晋三氏の国葬も強行されるに違いないだろう。
民意をも無視を決め込み、国会は機能を停止し、ジャーナリズムも頼りなく、
そのような状況下、足立正生は、再び、映画の持つ創造力と荒々しいスピードを取り戻す。
映画はもともと、作り手の創造力と観客の想像力の闘争の場として存在する。つまり、観て貰うことでしか存在しない。従って、作り手の側は、観客に楽しく面白がって貰えれば、成功したと安心したり、してやったりと自慢できる。
しかし、厄介なのは、観客が面白いか面白くないかを決めるのは、私の想像力の境界を遥かに越えた観客の気分による判断だ。それは凄いし怖い話だ。だから、私は作り手としていつも怯えきって、自分の創造力を、観客の想像力を挑発するために集中し、勝負を挑むことにしている。
今回の作品の主人公は、私の想像を超える事件を実行した者だ。そうであるならば、私も主人公が示した想像力に挑発され、喜んで対決することを選んだ。
果たして、「これは面白い!」と言って貰えるものになったのだろうか。不幸にも、それは、私の決定権から一番遠い地点に答えが出るのを待つしかないのである。
その分、ワクワクしながら上映出来るのを待っている。
足立正生(監督)
安倍晋三が暗殺された日にすぐ足立正生さんに電話した。「昔の若松プロなら、二日で脚本書いて、一週間後に撮影して、二ヶ月後には上映してましたよね」と。さすがに二日で脚本は書けず、愚図愚図していたら、国葬が発表された。そこで一気に火がついた。若松孝二さんは「映画を武器に世界と闘う」と。ならば、山上徹也容疑者の映画を作って、国葬の日に上映しよう。それが映画を生業としている我々の意思表示だ。志を同じくする仲間が集まり、突貫工事で撮影は終わった。本当にこの短期間で映画が作れるなんて。あとは観るに堪える映画になっているかどうか。国葬の日、ロフトとミニシアターでお待ちしています。
井上淳一(企画・脚本)
誰かがやるなら 自分がやりたかった
一人の男を 自分なりの考えで
自分なりの答えで
映画というものを通して
世間に突きつけたいっていうところはあります
タモト清嵐(主演)
2022/日本/尺数未定
監督:足立正生
脚本:井上淳一、足立正生
製作:ロフトプロジェクト
エグゼクティブ・プロデューサー:平野悠、加藤梅造
撮影:髙間賢治
出演:タモト清嵐 ほか