安倍元首相銃撃事件を題材にした衝撃の映画「REVOLUTION+1」の全貌が明らかに

公開日: 更新日:

足立正生監督インタビュー

 山上徹也容疑者による安倍晋三元首相の銃撃事件から2カ月半。事件を題材にした映画がロフトシネマによって製作中だったが、21日、特別版公開に先だって、関係者向けにラッシュ映像が公開された。

 27日の国葬に合わせて公開される「REVOLUTION+1」がそれ。監督は「断食芸人」以来、6年ぶりの新作となる足立正生。企画・共同脚本は故・若松孝二監督の設立した若松プロダクションの再始動第1作「止められるか、俺たちを」の井上淳一監督。

 今回上映されたものは年末に公開予定の完成版のラッシュフィルム(素材をつなぎ合わせた未編集の映像)。未編集とはいえ、その迫力は凄まじい。

■「若松孝二監督が生きていたら…」

 主人公・川上(タモト清嵐)は母が旧統一教会にのめりこんだことで全財産を失い、極貧生活。父と兄は失意のうちに自死。それでも信仰を疑わない母を見てついに決起する。アパートで改造拳銃を作り、空き地で試射を繰り返し、その銃口が狙うのは……。

 フィクションではあるが現実の事件と限りなく交錯する。今の日本で最も危険な映画であることは間違いない。

 井上淳一監督が言う。

「安倍元首相暗殺の日に足立監督に電話して映画化を企画しました。私が師事する若松孝二監督が生きていたら2日で脚本を書いて1週間後に撮影、2カ月後には上映していたはずだ」と。

 映画を武器に世界と闘った若松氏ならばそうしただろうと、あえて国葬の日にぶつけたのだという。

「統一教会に映画を見せに行って意見を聞いてみたいくらい」

 足立監督は1971年に若松監督とカンヌ映画祭の帰りにレバノンに渡り、映画「赤軍-PFLP・世界戦争宣言」を製作・上映。74年にパレスチナで重信房子らの日本赤軍と合流し、日本赤軍のスポークスマンとして活動した。97年に岡本公三ら4人の日本赤軍メンバーとともにレバノン政府に逮捕され、3年間の服役を経て日本に強制送還。帰国後も1年半にわたって勾留された。

「77年に日本赤軍が起こしたダッカ・ハイジャック事件の時の官房長官が安倍晋三の父親の安倍晋太郎。この事件が原因で晋太郎が狙っていた次期総理の目がつぶれたとか。そのためか海外の映画祭に招待されても安倍晋三政権の外務省はオレの渡航申請を却下し続けた。60年安保では安倍晋三の祖父である岸信介首相と命をかけて闘ったし、安倍家3代は不倶戴天の敵。3代目の晋三の銃殺事件をテーマにした映画を撮るなんて因縁めいてるよね」

 パレスチナでは一兵士としてイスラエル兵を急襲する白兵戦を行ったという足立監督。オシッコをするために塹壕から出て戻ったら爆撃で塹壕が跡形もなく消えてたという経験もしているだけに肝は据わっている。

「周りは心配してるけど、全然平気。なんなら統一教会に映画を見せに行って意見を聞いてみたいくらいだね」

「映画には革命2世も宗教2世も出てくる。オレが山上を尊敬すると言うと周りは心配するんだけど、その意味は『父親と兄が現実社会に負けてしまったのに、彼は最後まで自分が壊れることなく現実に立ち向かった』という意味での尊敬なんだ。だから若い人に見てほしい。現実の理不尽を変えるのは自分の意志を貫き通すことができる若者たちだから。

 まあ、劇中で『(戦士として闘い)星になる』というセリフは今の若者にはわからないかもしれないけど。かつて暴力革命を目指した“元テロリスト”としては今こそ“連帯”を訴えたい。老骨にムチ打って27日には国葬反対のデモに行くよ。交通警察に規制されるデモは腹立たしいけど、意思表示はしたいからね」

(聞き手=山田勝仁)

◆特別版公開は27日=東京・渋谷LOFT9Shibuya。28日=大阪・Loft Plus One West。ほかに全国で配信など。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新の芸能記事

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1
    旧統一教会「教会改革」会見に“テッシー”登場! 勅使河原秀行氏の変わり様にネット沸く

    旧統一教会「教会改革」会見に“テッシー”登場! 勅使河原秀行氏の変わり様にネット沸く

  2. 2
    「イモ欽トリオ」の“ワルオ”こと西山浩司さん 僕ら3人の仲は「今が一番いい関係ですよ」

    「イモ欽トリオ」の“ワルオ”こと西山浩司さん 僕ら3人の仲は「今が一番いい関係ですよ」

  3. 3
    旧統一教会会見での激昂ぶりに視聴者もドン引き…福本修也弁護士ってどんな人?

    旧統一教会会見での激昂ぶりに視聴者もドン引き…福本修也弁護士ってどんな人?

  4. 4
    佐津川愛美「ちむどんどん」で独り勝ち? 童顔でも34歳「ドラマ100本」の大ベテラン!

    佐津川愛美「ちむどんどん」で独り勝ち? 童顔でも34歳「ドラマ100本」の大ベテラン!

  5. 5
    旧統一教会側が質疑応答でTBS金平茂紀氏に感情露わ! あまりの興奮ぶりに総ツッコミ状態

    旧統一教会側が質疑応答でTBS金平茂紀氏に感情露わ! あまりの興奮ぶりに総ツッコミ状態

  1. 6
    小室圭さん母・佳代さん念願「NY生活」に暗雲…新たな金銭トラブル報道、嫁姑関係にも変化

    小室圭さん母・佳代さん念願「NY生活」に暗雲…新たな金銭トラブル報道、嫁姑関係にも変化

  2. 7
    桜田淳子と旧統一教会の45年…全盛期の19歳で入信、10年以上隠しながら34歳で合同結婚式へ

    桜田淳子と旧統一教会の45年…全盛期の19歳で入信、10年以上隠しながら34歳で合同結婚式へ

  3. 8
    チャゲアス復活は「BOØWY」より難しい? ASKA発言にファンがしらけるワケ

    チャゲアス復活は「BOØWY」より難しい? ASKA発言にファンがしらけるワケ

  4. 9
    谷原章介にはなくて羽鳥慎一にあるもの…朝のワイドショー視聴率の差は縮まらず

    谷原章介にはなくて羽鳥慎一にあるもの…朝のワイドショー視聴率の差は縮まらず

  5. 10
    沢田研二・田中裕子夫妻に「売れへん夫婦漫才のおもろないネタ」を頼まれ、さらに指導まで

    沢田研二・田中裕子夫妻に「売れへん夫婦漫才のおもろないネタ」を頼まれ、さらに指導まで

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    西武・山田遥楓の素性と評判 妻が同僚・源田の元アイドル妻への誹謗中傷騒動

    西武・山田遥楓の素性と評判 妻が同僚・源田の元アイドル妻への誹謗中傷騒動

  2. 2
    阪神次期監督への“注文”が早くも現場やOBから…鳥谷敬氏の持論には賛同の声あがる

    阪神次期監督への“注文”が早くも現場やOBから…鳥谷敬氏の持論には賛同の声あがる

  3. 3
    元ロッテ村田兆治容疑者 羽田空港で暴行逮捕…引退後もあちこちで目立った傍若無人ぶり

    元ロッテ村田兆治容疑者 羽田空港で暴行逮捕…引退後もあちこちで目立った傍若無人ぶり

  4. 4
    巨人フロントが温める原監督の“解任”条件 ファンは退陣求めるも自ら辞める気サラサラなし

    巨人フロントが温める原監督の“解任”条件 ファンは退陣求めるも自ら辞める気サラサラなし

  5. 5
    日本ハム中田翔「暴力事件」一部始終とその深層 後輩投手の顔面にこうして拳を振り上げた

    日本ハム中田翔「暴力事件」一部始終とその深層 後輩投手の顔面にこうして拳を振り上げた

  1. 6
    旧統一教会が“金欠”に…最大の収入減「合同結婚式」参加者激減、大慌てで希望者募る

    旧統一教会が“金欠”に…最大の収入減「合同結婚式」参加者激減、大慌てで希望者募る

  2. 7
    2022年ドラフト高卒選手の「隠し球」はこの3人 “流しのブルペン捕手”がイチオシ

    2022年ドラフト高卒選手の「隠し球」はこの3人 “流しのブルペン捕手”がイチオシ

  3. 8
    福山雅治9年ぶり「ガリレオ」シリーズ復活の裏の“打算”…映画「沈黙のパレード」公開中

    福山雅治9年ぶり「ガリレオ」シリーズ復活の裏の“打算”…映画「沈黙のパレード」公開中

  4. 9
    旧統一教会側が質疑応答でTBS金平茂紀氏に感情露わ! あまりの興奮ぶりに総ツッコミ状態

    旧統一教会側が質疑応答でTBS金平茂紀氏に感情露わ! あまりの興奮ぶりに総ツッコミ状態

  5. 10
    G山口俊の酒乱癖を古巣DeNAナインが証言「飲み方が汚い」

    G山口俊の酒乱癖を古巣DeNAナインが証言「飲み方が汚い」