元劇団員の松尾太稀さんのTwitterアカウントより5月11日、主宰の奥村による過去のパワーハラスメントについて言及したツイートが投稿されました。
松尾さんとは退団前に対話・謝罪の場を複数回設け、再発防止策を劇団内で取り決めた上で、退団の経緯に関しては松尾さんを含む劇団内の共有のみで当時は収めてしまいましたが、改めて、皆様へ主宰の奥村よりご説明をさせていただきます。
尚、この文章は第三者を介して松尾さんにご確認いただき、了承を頂いた上で公表しております。
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この度は、関係者の皆様、日頃より応援してくださる皆様に多大なご迷惑・ご心配をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。また、ご報告が遅くなってしまったことに関しても、重ねてお詫びいたします。
松尾太稀さんは、2019年以降の劇団公演に主に演出助手として関わってくださいました。そして私は自身の”主宰”、“演出”という立場の優位性から度々、松尾さんに対して精神的に傷つける発言をしてしまいました。
昨年の公演『スケールII』において、それは顕著になったと思います。
稽古場において、私のイメージする演技ができなかった際に、自身の配役の責任や、良い形に導くための適切なオーダーをできない自身の未熟さを十分に省みることなく、度々叱責する場面がありました。この時の松尾さんは演出助手の業務も並行しており、通常の俳優以上の負担がかかっておりましたが、私の言動は、そういった点への配慮を欠き、松尾さんに精神的負担を強いるものでした。
一度、松尾さんと二人での居残り稽古も行いました。既に不安を抱いている松尾さんに対して一対一の状況を作るべきではありませんでした。劇中に松尾さんが繰り返しジャンプするシーンがあり、この稽古では主にその点を反復して練習しました。しかしこれもまた、松尾さんの身体性や特性を十分に考慮せず、自分の求める動き方・身体の使い方を一方的に求めました。その結果、稽古はうまくいかず、松尾さんに対して怒鳴りつけることがありました。また、当時の私は冷静さを欠いており記憶にはございませんが、「お前みたいなカスとはやりたくないよ」という発言があったと松尾さんからご指摘頂いております。自身も感情的になってしまった自覚はあったため、稽古後すぐに松尾さんに謝罪致しましたが、この居残り稽古も松尾さんに過度に精神的負担を強いるものでした。
また、公演初日のラストシーンで松尾さんが30センチ程度の固定されていない台に乗る場面がありましたが、その際にバランスを崩し転倒するアクシデントがありました。本来ならば、次のステージ以降の改善策のみを話し合うべきところを、当時の私は自身の精神的未熟さから冷静になることができず、「最悪だ。お前のせいで台無しだよ」「お前、全員に謝れよ」と謝罪を強要する発言をしました。
上記に限らず、これまでの私の松尾さんに対する言動の数々は、“主宰”“演出”という立場の優位性を利用したパワーハラスメントであり、俳優としての松尾さんへのリスペクトを欠いたものでした。
松尾さんに対する敬意と配慮を欠いた対応を続けた結果、松尾さんは退団致しました。
昨年の段階で松尾さんには謝罪の場を設けさせていただき、劇団においては匿名で連絡可能な相談窓口の設置、一対一での稽古や劇団業務のやりとりを禁止するなどの再発防止策を講じた上で活動を続けてまいりました。退団の経緯に関しては、松尾さんと劇団内の共有のみに留めてしまいましたが、これによりさらに松尾さんを苦しめてしまったのだと反省しております。
松尾さんにはこの度、第三者を介して許可を頂いた上で、改めて謝罪の意をお伝えしました。
松尾さんに限らずこれまでも、私は劇団に関わってくださった方々を傷つけてきたのだと思います。この場を借りてお詫び申し上げます。
そして、私の言動により精神的苦痛を受けた松尾さんに対しても、改めてお詫び致します。本当に、申し訳ございません。
重ね重ねになりますが、関係者の皆様、日頃より劇団を応援してくださる皆様に置かれましても、この度は多大なご迷惑、ご心配をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。二度とこのようなことを繰り返さないために、劇団として体制を整えるのは勿論、今一度自分自身を見つめ直し、猛省致します。
2022年6月1日
劇団献身主宰
奥村徹也
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劇団としても今回の事態を重く受け止め、体制を見直した上で、再発防止に取り組んでまいります。また、松尾太稀さん並びにこれまで公演に参加してくださった方々に、この場を借りてお詫びいたします。 そしてこれまでの作品を見に来てくださった皆様の思いを上書きするような結果となってしまったこと、劇団としても大変不甲斐なく、申し訳なく思っております。
最後に、関係者の皆様、並びに本件を通じて少なからず影響を与えることとなってしまった方々へ、ご迷惑、ご心配をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。
劇団献身 劇団員一同