猫捕獲のわな、絶滅危惧種が捕まり死ぬ 環境省見直しへ
環境省が奄美大島で実施している猫の捕獲事業で、希少動物のアマミノクロウサギやアマミトゲネズミなどが誤って捕獲され、死んだ事例があることが環境省への取材でわかった。同省は「たいへん残念なこと」として、わなの方法などを見直す方針という。
同省は、奄美大島の山中で野生化した猫の一部が島固有の希少動物を捕食しているとして昨年7月、わなによる捕獲を始め、100~300個を設置した。
今年3月末までにアマミノクロウサギ1匹とケナガネズミ3匹、国の天然記念物ルリカケス1羽を捕獲。事業を請け負う奄美自然環境研究センターの作業員がわなから放した。8月23日には、アマミトゲネズミ1匹が、わなの中で死んでいるのが見つかった。
アマミノクロウサギとケナガネズミ、アマミトゲネズミは環境省のレッドリストで「絶滅危惧ⅠB類」(近い将来、野生での絶滅の危険性が高いもの)に指定されている。一方、野生化した猫は2015年時点で600~1200匹と推定され、今年7月までに83匹(飼い猫とみられるもの3匹を含む)が捕獲されたという。
環境省希少種保全推進室の担当者は「希少動物が誤って捕獲されるリスクはなるべく排除されるべきだ」と話している。(太田匡彦)