京都府丹波町の浅田農産船井農場で高病原性鳥インフルエンザが発生した問題で、鳥インフルエンザの可能性があることを認識しながら鶏の大量死を届け出なかったとして、京都府と農林水産省は31日午前、法人としての浅田農産(本社・兵庫県姫路市)と浅田秀明社長(41)を家畜伝染病予防法違反(届け出義務違反)の容疑で京都府警に告発した。これを受け、府警は同日、浅田社長らの逮捕状を請求。府警は浅田農産本社や船井農場など数カ所を捜索し、容疑が固まり次第、逮捕する方針。
家畜伝染病予防法は、家畜が法定の病気に感染した疑いがある場合、獣医師や所有者に都道府県への届け出を義務づけている。通報の遅れを巡って養鶏場の経営者が刑事責任を問われるのは異例だ。
調べでは、浅田農産船井農場では20万羽を超す鶏が飼われていたが、2月18日に100羽以上が死に始め、20日からは1000羽以上、23日からは2000羽以上が死ぬなど大量死が1週間以上続いた。浅田社長は大量死を知り、遅くとも22日ごろには鳥インフルエンザの可能性を認識し、届け出義務が発生したにもかかわらず府に届け出なかった疑い。
大量死は同農場8号鶏舎を中心に始まり、他の鶏舎に広がっていった。浅田社長はこの間、農場に出入りする車両の消毒を従業員に指示したり、防疫服を着用したりしていたとされる。府警も従業員から事情聴取をした結果、こうした経緯を把握。届けなかった浅田社長らの責任は重大だと判断、逮捕状請求に踏み切った。今後、通報が遅れた「空白の1週間」の全容解明を進める。
この問題を巡っては、3月8日に浅田肇会長(67)夫妻が自殺しているのが見つかった。府警などは、中心人物の死亡でいったんは任意捜査で浅田社長らを書類送検することも検討した。しかし、「企業内部を舞台にした違法行為を捜査するには、口裏合わせを防ぐためにも強制捜査が必要」と判断した。
(2004/03/31/12:04 朝日新聞WEB版)
|