チャイナ・ウォッチャーの視点
めまぐるしい変貌を遂げる中国。日々さまざまなニュースが飛び込んできますが、そのニュースをどう捉え、どう見ておくべきかを、新進気鋭のジャーナリストや研究者がリアルタイムで提示します。政治・経済・軍事・社会問題・文化などあらゆる視点から、リレー形式で展開する中国時評です。(画像:Thinkstock)
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2022/09/15 大西康雄
2022年第2四半期の中国経済は景気後退局面入りを印象付けるものだった。特に経済成長の柱である消費需要の状況は、7月になっても芳しくなく景気の下押し要因となっている。各産業の業績も不振であるが、中でも看過できないのが、不動産業である。
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2022/08/26 樋泉克夫
台湾情勢の緊張が高まる中、日本が時の勢いのままに両手を挙げて米国の姿勢に同調することには躊躇いを覚える。それというのも、日本と台湾との結びつきは米国とは異なっているからである。1895年から1945年の半世紀、台湾は日本だったのだ。
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「分水嶺」としての1989年天安門事件
2022/08/25 城山英巳日中両国は9月29日に国交正常化50周年を迎える。友好と対立が交錯した日中関係の「分水嶺」は天安門事件での日本政府の対中政策だろう。あの時、一党独裁体制の維持のためには人民の流血も厭わない共産党の本質を見誤ったのではないか。
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2022/08/12 平野 聡
習近平政権は、福建省から台湾海峡をくぐって台北に至る高速鉄道の着工を視野に入れつつある。習近平が台湾統一を果たし、「中華民族の偉大な復興」に相応しい業績よって毛沢東と並ぶ終身の「領袖」となろうとする思惑が見え隠れする。
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2022/08/06 高口康太
ペロシ米下院議長の台湾訪問を契機に、東アジアの緊張が高まっている。台湾海峡の緊張は日本など周辺国を巻き込む国際問題となっているが、その一方で見すごせないファクターが中国国内〝世論〟だ。
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2022/07/24 樋泉克夫
安倍晋三元首相の横死が余りにも衝撃的であるが、日本が異常な事件に政治が翻弄され、社会がザワつき、世論が沸騰している間に、国際社会は新たな秩序構築に向けてソロリと動き出す。
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2022/07/16 高口康太
中国河南省で、銀行に預けた金が引き出せない取り付け騒ぎに対する抗議活動に対し、謎の男たちが次々と叩きふせていった。衝撃的な写真と映像で世界に驚きを与えたが、筆者のような古株のチャイナウォッチャーからするとなんとも〝懐かしい〟のである。
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2022/06/28 高口康太
新型コロナの感染追跡アプリを流用し、抗議デモを計画した人々を軟禁する。これぞ「デジタル監視社会」という事件が中国で起きた。きっかけとなった銀行のとりつけ騒ぎの実態も「デジタル化先進国・中国」の現状を象徴する。
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2022/06/18 高口康太
中国の政治、経済にとって最重要課題である雇用の確保に黄信号が灯っている。特に若年層の失業率は18.4%と、調査開始以来最悪となった。習近平総書記が続投を狙う党大会が秋に控えるなか、中国は厳しい状況に追い込まれている。
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2022/06/13 樋泉克夫
それにしても最近の岸田文雄政権の外交姿勢、ことにASEANに対する外交姿勢への唐突感は尋常ではない。岸田外交は「日米同盟頼りの外交」からの転換との指摘も伝えられるが、なぜ突然、全力疾走気味に動き出したのか。しかも、向かって行く先が判然とし…
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2022/06/08 七海レイ
上海の都市封鎖は6月1日の午前0時をもってほぼ解除された。世界中が3月28日以降上海で始まった出来事のことを「ロックダウン」と認識しているが、上海市政府が発表した通知の中に、ロックダウンを意味する「封城」という言葉は一言も出てこない。
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2022/05/30 平野 聡
日米欧のメディア連合から「新疆公安ファイル」が公表され、少数民族への弾圧の生々しい実態が改めて示された。果たして中国は少数民族や国際社会との関係改善に動くのだろうか。少なくとも現在の中国共産党政権が続く限り、それはあり得ない。
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2022/05/21 樋泉克夫
フィリピン大統領選挙の結果を両親による長期に亘る強権政治の〝残像〟でマイナス・イメージに捉える報道姿勢は容易に想像できるが、フィリピンの有権者に対する上から目線には大いに違和感を覚えるし、世論をミスリードする可能性は決して小さくはない。
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2022/05/20 七海レイ
WHOのテドロス事務局長による中国のゼロコロナ政策への苦言に対し、習近平政権は一蹴。ロックダウンに苦しむ市民にとって一縷の望みになりかけた好機は消え去った。こうして市民の不満が限界に達する中、上海市政府は「ガス抜き」にご執心だ。
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2022/05/05 樋泉克夫
本土復帰から半世紀が過ぎた沖縄を、日中関係史の中で素描してみようと思い立ち、徳川幕藩体制の崩壊が目前に逼り、日本が国際社会に向かって飛び出そうとしていた幕末辺りまで立ち戻ってみることにした。
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2022/04/19 高口康太
香港政府のトップ、行政長官を決める選挙が来月8日に行われるが、立候補者は李家超(ジョン・リー)氏一人だけ。選挙は形式だけの信任投票になることが確定した。警察官出身の豪腕トップは香港社会に安定をもたらすことができるのだろうか?
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2022/04/18 平野 聡
ロシアのウクライナ侵略から1カ月半を過ぎ、ロシアの横暴が全世界的な痛憤を誘う中、中国では、ロシアの侵攻を「義挙」と賛美する音量が強く、ウクライナ問題に責任があるのは米国・西側だという宣伝で塗り上げられつつある。
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2022/04/17 樋泉克夫
中国の〝熱帯への進軍〟は、ウクライナ問題に世界の耳目が注がれている間も止むことはない。浸透姿勢がこのままと続けば、日本が70余年にわたって築いた東南アジアとの結びつきは齟齬を来し、国際社会における立ち位置を後退させる恐れは否定できない。
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2022/04/07 樋泉克夫
習近平政権にとって、ウクライナ危機を「後門の狼」に喩えるなら、「前門の虎」は一度は封じ込めたはずの新型コロナだろう。政権3期目続投が水泡に帰すことはないにしても、「虎」と「狼」への対応次第では政権基盤の脆弱化は覚悟せざるを得ない。
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2022/03/16 樋泉克夫
北京パラリンピックが閉幕した。冬季オリンピックと合わせて中国語で「双奥」と呼ぶ北京における〝オリンピックの季節〟が終わりを告げたことで、中国は今秋の第20回共産党全国大会に向かって長い政治の季節に突き進むことになる。