任天堂は、米国のアニメーションスタジオ、イルミネーションのCEOであるChris Meledandriが正式に社外取締役に就任したことを、6月末に行われた第81期定時株主総会の中で言及した。任天堂社長の古川俊太郎と代表取締役フェローの宮本茂が、Meledandriの選出およびそのことが同社にとってどういった意味を持つのか、特に「映像コンテンツの分野」とその拡大の可能性についてコメントした。
「(Chris Meledandri氏は)エンターテインメント分野において、豊富な経験と知識をお持ちですので、その見地から当社の経営に対して有益な助言をいただくとともに、客観的な立場から適切に当社の経営を監督いただけることを期待しています」社外取締役を取り囲む期待について、古川社長はこう述べた。
「Meledandri 氏は当社の業務執行から独立した立場の社外取締役に就任いただきますので、当社の業務執行に直接関わることはありません。しかしながら、同氏のエンターテインメント分野における豊富な経験や知識は、当社取締役会の意思決定に有益な効果をもたらすと思います」と古川社長は付け加えた。
古川社長によると、任天堂の中核事業はハード・ソフト一体型のゲーム専用機ビジネスであるとしながらも、ビジネスの成長において映像も「重要」な要素となり得るとのことだった。今回、取締役をお願いすることと直接の関係はないが、Meledandriとは『スーパーマリオ』の映画で5年以上仕事を一緒に仕事をしていると宮本は語った。
「お付き合いしていくなかで(Meledandri 氏には)任天堂の考え方を非常によく理解していただけたと思います。メディアに関わる海外の方に、任天堂の考え方を理解いただくのは簡単ではないと思うのですが、Chrisさんは任天堂がなぜキャラクターや映像をつくるのかということに関しても、とてもよく理解されています」宮本はこう明かした。
宮本は、任天堂が「世界中にさらにコンテンツを広げ、会社として強くなっていく」上で映像コンテンツの重要性を強調しながらも、必ずしも簡単な分野ではないことも認識しており、特にこの映像の分野におけるMeledandriの意見は、取締役会での有益な声だと捉えているようだ。
「映像づくりとゲームの開発で考えが同じところはあるのですが、映像のビジネスというのは配信を含めて変革期にあり、違いもあります。そのなかで、ハリウッドで長年の経験をお持ちの専門家としてのChris さんのご意見を伺うことは、将来私たちの大きな助けになると思っています」宮本はこう説明した。
Meledandriはもともと5月初めにはこの役職に任命されていたが、任天堂取締役会における彼の役職はここ1週間で公になった。任天堂は現在、3人の社外取締役がいるが、米国民であるのはMeledandriが初となる。
任天堂はマリオ以外にもアニメ展開を模索しているため、Meledandriの映画とアニメーションの知識はこうした事業拡大において有用なものとなりそうだ。