安倍晋三元首相の国葬への賛否が割れるなか、世論調査で目立つのが、若者の「賛成」の強さです。高齢者は「反対」が強いのとは対照的ですが、いったいなぜか。「元防大女子」「元安倍首相番記者」の経歴を持ち、若者から高齢者まで幅広く取材するライターの松田小牧さんに聞いてみました。
インタビューシリーズ「国葬を考える」
安倍晋三元首相の国葬をめぐり、世論の賛否が割れています。首相経験者としては1967年の吉田茂氏以来戦後2例目となる今回の国葬をどう考えたらいいのでしょうか。様々な角度から有識者らに聞きました。
――今回の国葬をどう思いますか。
「私は基本的には国葬に賛成です。その理由としては、やはり安倍さんの外交・防衛の実績を評価しているからです」
外交・防衛の実績、長期ビジョンを評価
――松田さんは防衛大学校を卒業し、「元防大女子」を名乗っていますね。
「防衛大学校を卒業した後、時事通信で2016年から1年間、安倍晋三首相の番記者を務めました。自衛隊は離れましたが、『自衛隊員の立場を明確にすべきだ』という気持ちは、今もあります。国を変えようとしたのが安倍さんだったと思う」
「国家安全保障会議(NSC)や安保法、自由で開かれたインド太平洋、日米豪印(QUAD)など外交・防衛の実績はある。安保法は支持率が間違いなく下がるとわかっていたのに、中国の大国化を念頭に断行したのは、長期ビジョンを持つ安倍さんだからこそ、と思います」
「ただ、国葬への反対も理解できます。外交・防衛にあまり関心がなければ、アベノミクスは志半ばで、生活が苦しい人は多い。国葬に予算を投じるより『少しでもお金をまわして』と思うのは自然な気持ちでしょう」
「すべての政治的な判断に法的根拠が必要とは思いませんが、政治判断と法律の間の『溝』を埋めるのが国会です。岸田政権が国葬実施を決めるに当たって国会を軽視したのは、やはり問題があったと思います」
――安倍さんは保守派と若者の支持が高い政治家でしたが、国葬への賛否でもそれが出ていますね。
「注目しているのは、若者に…