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ANA、CAのパジャマ紹介する新事業で炎上…マスコミがANA批判報道を避ける本質的原因
このオンラインツアーでパジャマやワンピースを見せるコーナーがあったことは事実であったとみられるため、記事削除についてANA側やスポニチなどメディア側から何の説明もないことがかえって不信感を煽り、ネット上では「ANAが圧力をかけた」などというコメントがあふれた。
メディア側にANA側からのクレームと削除要請があったとも推察される。ただ、メディアの取り上げ方以前に、CAのパジャマや私服を公開して商売にしようとするセクハラじみた感覚が稟議を通って事業として世間に出た時点で、企業倫理として問題があるといわざるを得ない。
筆者は昨年、ANAが航空便の運休などの影響で業務量が減ったCAに医療用ガウンの縫製業務を担当させることを「時代錯誤のCAお針子問題」として報じた。ネット上の批判が多く、ANAはその後パイロットなど他職種の男性にも担当させるなどしたが、このパジャマ問題にも男性中心主義がまかり通るANAの体質が垣間見える。
広告宣言費は意外と少ない年間120億円規模
企業がメディアの批判を封じるのに最も手っ取り早いのが、広告費をばらまくことである。経営難が続く、新聞、テレビ、雑誌にカネをばらまけば批判対象から「大切なお客様」となり筆も甘くなるというわけだ。
ANAの持ち株会社であるANAホールディングス(HD)の有価証券報告書によると、ANAHDの広告宣伝費は2020年3月期が118億円、前年の19年3月期が128億円と、例年110億から130億円の範囲で推移している。一般水準としては多額とはいえ、国内トップのトヨタ⾃動⾞の例年5000億円規模の巨額投⼊に⽐べれば、微々たるものだ。メディアがANAに甘いのは別の要因があると考えるべきだろう。
テレビ局は撮影の場所とヘリで懐柔
まずテレビ局だが、撮影に頻繁に航空機を使用する。CA(客室乗務員)やパイロットが主役のドラマだけでなく、刑事ドラマなどにも使用する機会は多く、航空会社の協力がないと番組制作自体が滞りかねない。テレビ局のニュースは基本的にバラエティの延長であり、昨今ではキー局プロデューサーが「自社取材なんてコストがかかるからムダ。コスパのいい(週刊)文春の後追いで十分」と平然と言い放つ始末で、取材力、番組制作力の低下は著しいという。
そんなテレビ局がANA側が不祥事を公開しない限り、批判的な報道などするはずがない(なお、テレビ局の現状についてはすでに書いたのでご参照いただきたい)。
そんなテレビ局側の事情に加え、ANAの歴史的な経緯もテレビ局との関係を密にしている。ANAは1952年に前身である「日本ヘリコプター輸送」という初の民間会社として産声を上げた。撮影にヘリを多用するテレビ局との関係が深まるのは当然で、ANA関係者の間では「政府とメディアは味方」というのが共通認識となっているという。
新聞もテレビも幹部に女性幹部はほぼゼロ
テレビはともかく、新聞が批判的にならないのはどういうわけか。筆者の見立てだが、航空大手と新聞をはじめ記者クラブメディアは「超オトコ社会」という点で同じ穴のムジナのため、女性の労働問題にそもそも関心がないことが本質だと考えている。
この連載の第3回で触れた通り、ANAの女性取締役は15人中1人でCAの生え抜きのみで、JALは10人中、社外取締役に1人女性がいるがJALの生え抜きではない。
国内メディアも同様である。日本新聞労働組合連合会(新聞労連)などが2月3日付けで日本新聞協会、日本雑誌協会、日本書籍出版協会に提出した「業界団体および加盟社の女性登用についての要請」によると、日本民間放送連盟(民放連)、日本新聞協会(新聞協会)、日本書籍出版協会(書協)、日本雑誌協会(雑協)の女性役員人数は、民放連45名中0人、新聞協会53人中0人、書協40人中1人、雑協21人中1人とまったく女性進出が進んでいないことがわかる。これでは先ほど取り上げたテレビだけでなく、新聞、雑誌、書籍も女性を取り巻く問題について、どうしても関心が薄れてしまうのは否めない。

















