精神障害での認定には3つの条件がある
精神障害の労災認定は、上記のように仕事外の内容も加味されることからもわかるように、仕事が原因による発病であることを証明することは難しいと言われています。
実際、令和2年の認定率は31.9%となっています(参照:厚生労働省 精神障害に関する事案の労災補償状況)。
その証明基準を少しでも明確にするため、厚生労働省は精神疾患について労災認定を行う際の3つの要件を公表しています。その内容は下記の通りです。
1.認定基準の対象となる精神障害を発病していること
2.認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
3.業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
(引用:厚生労働省 精神障害の労災認定)
1.は、特定の精神障害を発病したことが必要ということです。特定とは「ICD-10(国際疾病分類第10回修正版)」の分類される精神障害が該当します(精神障害が認定基準のうち、認知症やアルコール、薬物に関する障害(F0、F1)除外)。上記のURL(厚生労働省 精神障害の労災認定)に詳細の種類が記載されていますが、仕事でのストレスからの発病では、うつ病や急逝ストレス反応が多いようです。
2.は、おおむね6か月の間に、精神障害を発病する原因になった出来事が仕事の中で起ったのかということです。それを証明するためには、パワハラやいじめを受けていた場合はメールでの内容を保存しておく、どのような内容を言われたのか手帳などに日付もセットでメモっておくなどが有効です。長時間労働によって発病したことを裏付けるためには、タイムカードや社内で使用しているパソコンなどの機器の稼働時間を記録しておいてください。診断書と請求書、そしてさまざまな証拠を参考に、労働基準監督署によって審査されます。
最後の3.は、業務以外でのストレスにより、それが原因で精神障害を発病した可能性はないと認めてもらわなければいけないということです。
業務以外での心理的負荷とは、個人の離婚、親族や友人との死別、また交通事故や災害などに見舞われたなども該当します。もう1つの個体側要員とは、過去の精神障害の既往歴、アルコール依存症や薬物依存ではないかと合わせて、発達障害の有無なども該当します。
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ここでも説明しきれていないことは多々あります。詳細は『厚生労働省 精神障害の労災認定』にて確認してみてください。
複雑な内容となり、精神障害で労災認定を諦めてしまう方が多いかもしれません。しかし、数は少ないですがこの10年間ぐらいでハラスメントなどから精神障害を発病に至ったと労災認定された例は右肩上がりで増えていっています。泣き寝入りせずに絶対に訴えるべきとは言えませんが、こういう制度がある、訴える場所があるということは覚えておいてください。
最後に、仕事原因の可能性があるなしに関わらず、メンタル不調を感じた場合には、私は病院に行くことを一番に考えてほしいと思っています。
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