2020年4月18日(土)の聖教
2020年4月18日(土)の聖教
◆わが友に贈る
親子で一緒に挑む
目標・課題を決めよう。
“共にやり遂げた”との
誇れる体験は
人生の宝の思い出に!
◆名字の言 ネットやSNSを活用した取り組み
人と会うことを控えるのが大切となった昨今、ネットを活用した取り組みが増えている。スポーツ選手や著名人がメッセージを込めた動画を公開したり、パソコンやスマホをつなぎ、自宅にいながら友人と画面越しで集まったりと、さまざま▼創価学会でも、参加型プロジェクト「うたつく」(歌をつくろう)や、青年部と医学者によるオンライン会議、男子部のライブ御書講義など、幅広く展開。SNSを使った各地の連携も活発だ▼今月の「御書講義」も、動画の視聴をもって参加に代える形になった。視聴した友からは、研さんの喜びに加え、「動画に合わせて、いつもより大きな声で御文を拝読しました!」等と、元気な報告が届いている▼機器の扱いが苦手な友からは「動画の視聴は諦めて(笑い)、聖教新聞に掲載された教材(4月4日付4面など)で学びました」との声もあり、動画を見た友を含めて、「あらためて広宣流布への誓いを強くした」との決意の声が多かった▼池田先生は、「人生において、何がすばらしいか。最高の哲学を知ること以上のすばらしさはない。強さはない」と。いかなる時も「信行学」という信仰の柱は変わらない。その時々に合った工夫の仕方があるだけだ。今できる挑戦を、きょうも着実に進めていこう。(道)
◆寸鉄
「かかる法門にちぎり有
る人なれば・たのもしと」
御書。世界の同志と前進
◇
大学会の日。人生は最後
に勝ってこそ。今いる場
所で青春の誓い果たさん
◇
接触を8割減らせば2週
間程で新規感染者が抑制
と。できる事、全てに挑戦
◇
テレワークで一日の歩数
30%減。健康に影響の恐
れ。3密避けて散歩など
◇
公明の要請で一人10万円
の現金給付へ。国民の為、
更に死力尽くし頑張れ!
【先生のメッセージ】
◆〈心に御書を〉35 希望の文字を日本へ世界へ 2020年4月18日
【御文】
文字は是一切衆生の色心不二の質なり汝若し文字を立てざれば汝が色心をも立つ可からず(諸宗問答抄、380ページ)
【通解】
(色法である文字に、書き手の心法、境涯が表れるゆえに)文字は、一切衆生にとって、色心不二の姿そのものといえる。あなたが、もし文字を立てなければ、あなた自身の色法も心法も現すことはできない。
【池田先生が贈る指針】
文字があってこそ色心ともに宝の価値を見いだしていける。民衆を救う文字には「仏の命」そのものが込められている。
御本仏のお心を広く現代に伝え弘めゆくのが、聖教新聞である。“無冠の友”をはじめ尊き同志の真心が光っている。
人生と社会の難題を打開しゆく英知と希望の文字を、いやまして日本と世界の友どちへ!
【教学】
◆森中教学部長4月度「御書講義」上野殿御返事(刀杖難事)㊦ 2020年4月18日
苦難を宿命転換の原動力に 世界の同志と新たな前進!
cPIXTA
師弟共戦の信心へ、ここでは、森中教学部長の4月度「御書講義」㊦を掲載します。(㊤は4月14日付5面に掲載)
苦難を宿命転換の原動力に世界の同志と新たな前進!
御文①
及加刀杖の刀杖の二字の中に・もし杖の字にあう人はあるべし・刀の字にあひたる人をきかず、不軽菩薩は杖木・瓦石と見えたれば杖の字にあひぬ刀の難はきかず、天台・妙楽・伝教等は刀杖不加と見えたれば是又かけたり (御書1557ページ3行目~5行目)
「及加刀杖」を身読
勧持品の二十行の偈の中には「及加刀杖」、すなわち、仏法に無智な人々が刀や杖をもって法華経を弘める者を迫害することが説かれています。
この「刀杖」の二字のうち、「杖」をもって打たれた人はいるかもしれないが、「刀」をもって斬られた人のことは聞かないと仰せです。
その具体的な例として、大聖人は不軽菩薩を挙げています。不軽菩薩は「杖木・瓦石」と経文にあるように、杖の難に遭ってはいるが、刀の難に遭ったとは記されていないとあります。実際に法華経の不軽品の箇所では、杖や瓦礫のことが述べられていても、刀の難を受けたとは書いてありません。
さらには、大聖人以前の人たち、天台・妙楽・伝教たちも、「刀杖も加えず」とあることを示されています。「刀杖も加えず」とは、法華経に説かれている諸天善神の加護の証しです。刀や杖で危害が加えられることはない、ということです。
いずれも大聖人は、あえて経文を確認されています。本抄にはありませんが、大聖人はこれまでも勧持品を身読したとして数数見擯出や、僭聖増上慢が具体的に誰に当たるのか、あるいは、僭聖増上慢を支える俗衆増上慢が、当時の日本で誰に当たるのかなどについても触れています。大聖人ほど、徹底して経文を身で読まれた方はいません。
どこまでも経文を根本とするのが大聖人の態度です。学会は、この仰せの通りに「御書根本」の
姿勢を貫いてきました。
大難が境涯を豊かに
御文の趣旨に戻れば、ここでは、経典に説かれている菩薩も、釈尊滅後から末法の時代まで法華経を持った人たちも、大聖人ほどの迫害を受けた人はいない、ということが強調されています。大難を受けていることが、そのまま一生成仏の軌道を歩んでいることの証明となるからです。
また、信仰とは、大難の中で自身の生命を鍛え、あらゆる困難に負けない境涯を築き上げる意味を持ちます。
宿命を使命に変える、というのが日蓮大聖人の仏法に基づく創価学会員の生き方です。
大難に耐え抜くなかで、力強い自分を築き、境涯を豊かにして、今度は、自身の生命の変革から周囲を変え、皆の幸福を実現し、最後は自他共に、人々の無明を打ち破り、人類の境涯を高めていく。
それが私たち創価学会の仏法実践者の生き方です。
御文②
日蓮は刀杖の二字ともに・あひぬ、剰へ刀の難は前に申すがごとく東条の松原と竜口となり、一度も・あう人なきなり日蓮は二度あひぬ、杖の難にはすでにせうばうにつらをうたれしかども第五の巻をもってうつ、うつ杖も第五の巻うたるべしと云う経文も五の巻・不思議なる未来記の経文なり (御書1557ページ5行目~8行目)
刀と杖の難
「日蓮は刀杖の二字ともに・あひぬ」と、前の段を受けて、大聖人御自身は、勧持品の経文にある「刀杖」の二字、すなわち「刀の難」と「杖の難」をともに身で読んだのであると仰せです。
本抄で「東条の難」「東条の松原」との仰せは、いわゆる「小松原の法難」のことです。これは、文永元年(1264年)11月11日、大聖人が安房国東条郡天津に住む門下・工藤殿の邸宅へ向かう途中、東条の松原大路で、地頭・東条景信の軍勢に襲撃された法難です。
竜の口の法難は、文永8年(1271年)9月12日の深夜、大聖人が斬首の危機に遭われた法難です。
このように、大聖人は2回にわたって、「刀の難」に遭いました。
続いて、「杖の難」について仰せです。竜の口の法難の際に、平左衛門尉一行が急襲し、武装した兵士たちが大聖人を捕縛しようと草庵に押し入りました。その時、平左衛門尉の手下の「少輔房」という男が、大聖人の懐に入れられていた巻物を奪い取り、それで大聖人のお顔を三度、打ちすえたのです。これが「杖の難」です。不思議なことに、この巻物こそが、法華経の「第五の巻」でした。
法華経の「御恩の杖」
法華経の「第五の巻」、5巻目には、法華経28品のうち、提婆品第12から、涌出品第15までが収録されています。いずれも、末法弘通の大難が説かれている大事な部分です。
法華経は全部で8巻あるのに、この第5巻で打たれたということです。少輔房が大聖人の顔を打った杖も、法華経の「第五の巻」。刀や杖の難が述べられて「打たれるであろう」と説かれている経典も「第五の巻」。この意義を、大聖人は、「不思議な未来予言の経典である」と総括されています。
今回の範囲に続く部分で「日蓮仏果をえむ」と、大聖人は“この法華経の「第五の巻」によって仏の境涯を得ることができるのであるから、実は、少輔房に感謝すべきであり、杖もまた、法華経の「御恩の杖」である”として、最後は「感涙をさへがたし」とまで仰せられています。
大聖人は門下に対して、本当の意味で、大難にどう立ち向かい、乗り越えていくのか。そして、自身の境涯をどのように開いていくのかを、自らの振る舞いを通して教えられているということです。
苦難を宿命転換の原動力にしていく――この大聖人に連なる、仏法の精髄の生き方を私たちに教えてくれたのが創価三代の師弟であり、なかんずく池田先生です。
私たちは、どこまでも、師弟共戦の信心で、いかなる障魔の嵐をも乗り越えて、価値創造の源泉にしていく信仰を厳然と貫いていこうではありませんか。
師弟共戦の出発を
本抄の続く箇所で大聖人は、「とにかくに法華経に身をまかせ信ぜさせ給へ」(御書1557ページ)と、法華経への信仰を共に貫こうと南条時光に師弟共戦を呼び掛けられています。
また、「一日片時も・こころやすき事はなし」(同1558ページ)と仰せのように、大聖人御自身は、こうした大難また大難の連続の御生涯であっても、心やすまることは全くなかった、全ては民衆救済のためであり、一筋も後悔はないと仰せです。
この御本仏の大境涯を拝するとともに、この大聖人の御精神に連なった団体は、創価学会しかないことを一人一人が改めて確認して、前進していきたいと思います。
私たちは、今こそ、池田先生と共に、世界の同志と共に、新型コロナウィルス感染拡大の一日も早い終息と安穏を、強盛に祈ってまいりたい。
本年の「5・3」を、「私たちは、断じて負けません」と、新たな前進を、師匠に誓って、出発する時にしていきたいと思います。
【聖教ニュース】
◆青年部が専門家に聞く「stay home講座」
2020年4月18日
YouTubeで配信開始 視聴は24日まで
創価学会青年部が公衆衛生等に詳しい医学者と協力して、新型コロナウイルス関連の正しい情報・対処法を伝える「stayhomeプロジェクト」。
その一環として、青年世代が今の状況にどう対応すべきかを仏法の視点を織り交ぜながら考える「stayhome講座」が、動画投稿サイト「YouTube」で配信された(限定公開、視聴できるのは24日午後10時まで)。
これは、「感染拡大のリスクを減らすには?」「自宅で心身ともに健康で過ごすには?」などの疑問や不安を、西方男子部長と大串女子部長が、東京医科歯科大学の藤原武男教授に質問し、アドバイスをもらうというもの。
「他者のため」との精神を忘れず、公式な情報に基づく「正しい行動」に努めることが自分のみならず、多くの人の命を守ることにつながることを確認し合う。
※こちらから動画にアクセスすることができます。
◆〈第45回「SGIの日」記念提言に寄せて〉 2020年4月18日
本年の「SGIの日」記念提言に寄せられた3人の識者の声を紹介する。
和歌山大学 伊東千尋学長 若い力の結集を訴える大切な視点
今回のSGI提言にもありましたが、「誰も置き去りにしない」との精神を掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の運動は、大学においても重要な取り組みだと捉えています。
本学でも、2019年度から附属中学校で太陽光パネルの見学などを通して、SDGsの学習を始めています。また、和歌山市SDGs推進ネットワークにも加盟し、SDGsに取り組んでいるところです。
私は和歌山県内の市町村を回り、地域の課題を伺う中で、若い人の視点と力が求められていることを実感してきました。
これまでも個々の研究室が取り組んでいるケースはありましたが、地域連携・地域創生の活動を持続的に実施していくにはどうすればよいのか、大学全体として具体的な取り組みを模索している最中です。
池田SGI会長は、2030年に向けてのSDGsの取り組みでは、国連が提唱する「行動の10年」の一環として、“青年行動の10年”を展開すべきであると呼び掛けられていますが、まさに今、大切な視点であると私も考えます。
まずは、若い人の力を結集して、行動を起こしていく――そうした舞台を、私たちが創り出さなくてはいけません。
本学の観光学部では学生が地域に入り、課題を一緒に考え、問題解決に向け取り組んでいくという、地域インターンシッププログラムを展開しています。
また、教育学部では複式学級(二つの学年以上の児童・生徒を一つに編成した学級)に対応した教育実習を行っています。
このような活動を起点として、過疎化や少子高齢化などの地域が抱える、さまざまな課題を解決したいと考えます。そして、若い新しい発想で価値を生み出し、紀伊半島を“価値共創”の舞台にしていきたいのです。
キーワードは“共に創る”
一方で世界に目を向けると、残念なことに年々、留学を希望するなどの海外志向の学生が減っている印象を受けます。
本学では欧米だけでなく、ベトナム、ウズベキスタンなどアジアの国々、ガボンやガーナなどのアフリカの国々からも留学生を積極的に招いています。キャンパスにさまざまな文化の人たちを招き入れ、交流することで、日本人の学生たちが世界へ目を向けるきっかけを作りたいとの思いからです。
提言の中で、“世界は「共同生活」の舞台にほかならない”との牧口常三郎初代会長の考えが紹介されていましたが、国家主義や個人主義が幅を利かせる現在にあって、地球規模で物事を考えていく姿勢に共感を覚えました。
これからは、「支援する側」と「される側」の関係ではなく、相互理解のもと、共に未来に向かって創り出していく「共創」というアプローチがキーワードになります。
だからこそ、本学は、地域や世界のために行動する高いモチベーションを持った人材を育てる大学を目指しています。
また、世界中では教育を受けられない子どもがたくさんいます。池田SGI会長が提唱される「教育のための国際連帯税」は世界的な連帯を進める新機軸であり、私も大いに賛同します。日本が世界に対して、また大学が地域に対して、どのような貢献ができるのか――これからも問い続けながら、大学運営に全力を挙げていきたいと思います。
いとう・ちひろ 和歌山大学システム工学部長、副学長を歴任し、昨年4月から現職。専門は物性工学、光物性物理学。
福岡教育大学 石丸哲史教授 ESD(持続可能な開発のための教育)への貴重な道標
創価学会初代会長である牧口常三郎氏は、自著『人生地理学』において、「地人相関論」すなわち、自然環境における諸現象と人間の諸活動の密接な関係性について論じています。
そこでは、いわゆる環境決定論(人間活動は自然環境の影響を受け、これに規定されるという考え方)に傾斜することなく、人間は自然環境に働きかける主体と位置づけられています。
今日の気候変動の実態を目の当たりにして、「地と人との関係や、言ふ迄もなく非常なる大問題に属せり」(『牧口常三郎全集』第1巻所収「人生地理学」、第三文明社)との一節から始まった同書の意義は大きく、この度の「SGIの日」記念提言は、この考え方も基層に据えて、展開されているように思います。
また気候変動の問題は“誰もが無縁ではないゆえに、問題の解決を図るための挑戦が、これまでにないグローバルな行動の連帯を生み出す触媒となる可能性がある”とつづられていましたが、本来、ローカルな次元で繰り広げられる自然環境と人間の関係が、今やグローバルな状況変化に反映されていることからも、提言における指摘には大いに首肯できます。
「弱者の側に立つ」視座を
私は、SDGsの達成に向けての「ひとづくり」である「持続可能な開発のための教育(ESD)」に携わっています。SDGsの基本理念は「誰一人取り残さない」ことです。
提言では、困難な状況に陥った人々を誰も置き去りにしないための視座として、仏法の人間観や牧口常三郎氏の思想に触れ、「弱者の側に立つ」ことを訴えています。「誰一人取り残さない」ことは皆が承知していても、どのように取り組むべきか、行動の拠りどころを模索すべきことが多々あり、具体的な提言は、ESDの今後の展開に手助けとなるものでした。
ESDは、持続不可能な実態を把握し、その解決方法を模索・実行するための資質・能力を育むものです。とりわけ、行動に移すという点では、「他人事ではなく、自分事として考える」――他人ができることを考えるのではなく、自分ができることを考えることが重要なのです。
危機感の共有だけでなく、建設的な行動を共に起こすことの重要性を強調した今回の提言は、「対岸の火事的な考え方から脱却する」という私の主張とも共通するものです。
この建設的な行動は、とりわけ若者に委ね、期待したいものです。SDGsの達成期限の2030年まであと10年しかないだけに、持続可能な社会の創り手を育む教育であるESDも、若者への啓発に傾注しなければなりません。その啓発に向けてどこから始めるかについて、提言では、気候変動問題について行動を起こす世界の青年たちに期待を寄せています。持続可能な世界に向かう「ひとづくり」を行うESDに対しても、具体的かつ貴重な道標をいただきました。
いしまる・てつじ 専門はESD(持続可能な開発のための教育)、人文地理学、地理教育。著書に『ESDの推進による「地理総合」の深化』(共著)や『サービス経済化と都市』などがある。
国際連合地域開発センター 遠藤和重所長 私たちの願いと一致する未来展望
当センターは、開発途上国での開発計画や管理において、持続可能な地域開発が推進されるよう、調査研究、情報交流などに努めています。名古屋に本部を置き、国連経済社会局に属する中部地域で唯一の国連機関です。
今回、池田SGI会長の平和提言を拝読し、SGIが国連支援の活動を、非常に幅広く展開されていることに感銘しました。
また、SDGsのゴールである2030年が、創価学会の創立100周年に当たっており、SDGsの達成に向けて、諸活動を精力的に展開されていることを知り、強力なパートナーを得た思いがしました。昨年9月、アメリカ・ニューヨークの国連本部で開催された「SDGサミット2019」において、グテーレス国連事務総長が“SDGsの取り組みは進展したが、あるべき姿からは程遠く、今、取り組みを拡大しなければならない”と表明したように、SDGsの達成に向けて、今後の10年間の行動が重要だからです。
SDGsの17の目標の一つである「住み続けられるまちづくりを」には、防災・減災が含まれます。世界で最も自然災害が多い国の一つである日本は、“防災先進国”でもあります。私はその知見とノウハウを国際社会において、大いに役立てていくべきだと考えていました。今回の提言では、気候変動とそれに伴う自然災害へ立ち向かう連帯を広げるために、必要な視座を論じておられます。どれも大切な視点であり、心から賛同します。
共に行動を起こす重要性
SDGsの特徴として、「普遍性」「包摂性」「参画型」「統合性」「透明性」の5点が挙げられます。最初の3点を要約すると、“先進国を含め、全ての国が、人間の安全保障の理念に基づき「誰一人取り残さない」社会を目指して行動し、その役割を、全てのステークホルダー(政府、企業、NGO等)が担う”ことです。池田SGI会長が呼び掛けている通り、世界の市民が連帯し、建設的な行動を共に起こすことが重要です。
当センターでは、子どもも含めた青少年が、SDGsについて自ら考え、取り組みの主体者となっていくことを目指し、諸活動に取り組んでいます。10年後、子どもたちは立派な青年となり、そして今の青年が社会の中核となるからです。その意味でも、2030年までを“青年行動の10年”にとの池田SGI会長の提唱は、重要な未来展望であり、私たちの願いと一致するものです。
今後ますます、創価学会の皆さんとも協力し、中部地域から、SDGsの大きなうねりを起こしていきたいと思います。
えんどう・かずしげ 1990年、国土交通省に入省。道路交通をはじめとする社会インフラ分野において、国内外のプロジェクトを経験。復興庁岩手復興局次長として東日本大震災の復興創生に取り組んできた。2018年8月から現職。
【特集記事・信仰体験など】
◆〈危機の時代を生きる〉コロナショックの今――打撃を受ける演劇界の松明に 2020年4月18日
「今こそ、演劇を通じてみんなの心を結びたい」と福井さん
新型コロナウイルスの感染が広がる中、試練に立ち向かう視点を考える企画「危機の時代を生きる」。“演劇の街”東京・下北沢で、福井学さん(38)=東京都世田谷区、男子部副本部長=は、演劇を動画配信で楽しめるサービス「観劇三昧」を運営する。今、公演は中止・延期が相次ぎ、仕事は大きな打撃を受けている。しかし、演劇に救われた自分だからこそ、「演劇界に希望の明かりをともしたい」。コロナショックに向き合う若き経営者を追った。
演劇は、感情を揺さぶり、心を打つ芸術。古代ギリシャやローマの時代から栄えた文化であり、現代の日本でも数多くの小劇場を中心に、さまざまなストーリーが演じられてきた。
福井さんは、2013年(平成25年)に演劇動画のオンライン配信事業を始めた。全国400以上の劇団と提携し、約1400作品を扱うなど、業績も順調だった。
だが、新型コロナウイルスの感染拡大により、公演中止・延期が続出し、都市部では多くの小劇場が休館。ヨーロッパの劇団の来日公演ツアーのプロモーションも破談に。3月中旬からは、ほぼ全ての公演が取りやめになり、売り上げの柱だった舞台撮影の仕事がゼロになった。
「今は何よりも、お客さまと劇団員の皆さんの感染を防ぐことが最優先です」。しかし、現実は厳しい。会社の運転資金にも限界がある。それ以上に、劇団や俳優など、演劇界への打撃は深刻だ。
「暗い気持ちになりがちな今こそ、演劇でみんなの心を明るくしたい」。福井さんは信心の原点を思い起こした――。
*
大阪府松原市の生まれ。母は女手一つで6人の子どもたちを育ててくれた。貧乏を絵に描いたような家。小学校の入学式前日まで、ランドセルも買えず、「手提げ袋で通おうと思っていた」。
小学3年から中学まで、いじめに遭った。靴を池に投げ込まれたこともある。そのたび、母はずっと一緒に題目をあげてくれた。
2000年に高校を卒業後、大手家電量販店に就職。5年半後に独立し、パソコン修理業を始めたが、リーマン・ショックに襲われた。09年、取引先が相次いで倒産し、事業は苦境に。1日1食、もやしだけで食いつなぎ、「もう人生終わりやなって思った」。
競争ではなく“共創”で、幸せをつくる
そんな時、励ましてくれたのが男子部の先輩だった。「どんなに苦しくても、人のために祈って動く。そしたら、自分の人生も開いていくんや」
毎晩、部員の訪問・激励に歩いた。信心に励む中で、新たな事業も始め、業績は回復していった。
初めて演劇を見たのも、その頃。心をわしづかみにされ、毎日のように劇場へ通った。気付けば10カ月間で300公演も。演劇を見ると、心がふっと軽くなり、明日への活力が湧いた。
“演劇界に恩返しがしたい”。観劇人口の増加につながる事業を模索し、どこでも誰でも演劇を楽しめる、動画配信サービスを開発した。
*
新型コロナウイルスの影響が続き、ネット上では“自粛疲れ”をもらす声も多い。「そんな今こそ、演劇や音楽など、心を結ぶ芸術の力が大事だと思うんです」
先月、自社の新サービスとして「Aid To Theater! 劇団応援企画」をリリースした。公演を中止・延期した劇団を応援するため、特設ページで作品動画を公開。劇団には、視聴された時間に応じて、権利使用料が支払われる仕組みだ。企画から1週間の急ピッチで立ち上げた。さらに、現在は、ユーザーが気に入った劇団に寄付できるシステムも開発中だという。
この期間、地元の男子部でも、知恵を絞って激励の輪を広げてきた。LINEのビデオ通話で近況を語り合い、一人一人に寄り添う。仕事の苦境に向き合う部員も多く、「みんなと話して、僕の方が元気をもらっています」と。
心に刻む御書は、「人のために火をともせば・我がまへあきらかなるがごとし」(1598ページ)。
「“自分だけ”でなく、周りの人と“一緒に”幸せをつくるのが信心。仕事でも同じだと思ったんです」。周りの“困りごと”を解決することが、自分の幸せにも通じる。そこから、劇団応援企画の新サービスが生まれた。
「競争じゃなくて“共創”です。スマホで演劇を見た人が、楽しくホッとした気分になれて、それが劇団の支援にもなる。コロナ危機を越えて、みんなで幸せになれるビジネスモデルをつくりたい」
池田先生はつづっている。「芸術は/苦悩に沈む人々を/喜びに変え/孤独に悩む人々を/安穏に変え/戦い疲れた人々に/楽しみを与える。/優しく/そして力強き/人間の奥義の舞である」
コロナショックの中で、「企業にも、希望や勇気を創り出すことが求められていると感じます」と福井さん。直面する危機は大きく、先行きも見えない。それでも、心を結ぶ芸術の力で、“希望の松明”を高く掲げてみせる。
ご感想をお寄せください
kansou@seikyo-np.jp
ファクス 03―5360―9613
◆ブラジルイケダヒューマニズム交響楽団 特集㊤――結成までの苦闘のドラマ 2020年4月18日
“師と共に”奏でる希望の音色
「世界第一を目指そう! 日本へ凱旋の公演を!」
2020年2月28日午後9時――サンパウロ市立劇場は万雷の拍手と歓声に包まれた。 1200人の称賛を浴びたのは、「天皇陛下誕生日祝賀会」(主催=ブラジルの日系5団体)で記念コンサートを行ったブラジルSGIの「ブラジルイケダヒューマニズム交響楽団」。くしくも、その日は同楽団の結成から27周年の節目の日だった。
本紙では、同楽団の発展の軌跡を、識者の評価の声とともに3回にわたって特集する。なお現在、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ブラジルでも会合等を中止。その中にあって、各楽団員の自宅での演奏を映像でつないだ「合奏」が、同国SGIの公式インスタグラムで配信され、反響を呼んでいる。
SGI総会の席上、ブラジル青年部のオーケストラが池田先生の前で交響曲「革新の響」を披露した。その3日後、世界的ピアニストのビエイラ氏によって「ブラジルイケダヒューマニズム交響楽団」と命名。以来、27年を経て、国内外に名をはせる楽団に飛躍を遂げた(1993年2月28日、ブラジルSGI自然文化センターで)
“師と共に”奏でる希望の音色
時は1983年。
サンパウロで行われた、ある著名な弦楽器学校のコンサート――。
観客の中に、ブラジルSGIの音楽隊に所属する少年たちがいた。
“すごい……”
圧巻の演奏に思わず息をのむ。同国の音楽隊には、吹奏楽団やマーチングバンド等しかなかった時代である。
“いつか僕たちも、聴く人の心を揺さぶるオーケストラをつくりたい”
この時、この瞬間の思いこそ、後に国内外に名をはせる「ブラジルイケダヒューマニズム交響楽団」誕生の原点にほかならない。
結成から、さかのぼること10年の出来事である。
楽団設立準備グループを発足
その後、音楽隊の中に、楽団の淵源となる弦楽器グループが発足。わずか7人の小・中学生、高校生からスタートした。
85年に、「交響楽団設立準備グループ」(GTO)となり、陣容はビオラやバイオリン、オーボエなどを奏でる男子30人ほどになった。
ファビオ・シンイチ・イケダさん(現楽団長)は、86年、5歳の時にGTOの一員に。「まだ本当に幼かった。私も含めて多くのメンバーが“楽器を弾けたらかっこいい”という単純な理由で入ったんです」とはにかむ。
90年、サンパウロ州イタペビ市に、ブラジルSGI自然文化センターがオープン。開所式でGTOが祝賀演奏を披露した。この時を境に、“いつか池田先生の前で演奏を! そして、グループに名前を付けていただきたい”という思いが、一人一人の中で、日ごとに強くなっていく。
92年には、鼓笛隊のメンバーも加入。GTOは発展的に解消し、「ブラジルSGI青年オーケストラ」として新出発を切った。
「男性41人、女性4人の計45人。その大多数が未来部員。ここから、本格的な一歩を踏み出したんです」。当時を知る一人、アレシャンドレ・コンセイソン・ピントさん(現指揮者)は振り返る。
男女混成になったのと時を同じくして、翌93年にブラジルで開かれる「SGI総会」での出演が決まった。“池田先生を総会にお迎えするんだ! そして必ず、先生に演奏を聴いていただこう”。皆の心は一つになった。
何のために演奏するのか
青年オーケストラの友は、それぞれ音楽隊、鼓笛隊の活動を終えた後、一堂に会して交響楽の練習に励んだ。夜遅くまで及ぶこともしばしば。練習会場が確保できず、廊下の隅や倉庫の中で音を合わせる時もあった。
恵まれた環境というには程遠かったが、“妙音菩薩の先駆者”との誇りに燃えて、皆が真剣に唱題を重ね、御書と小説『人間革命』の研さんに挑戦。さらに、中心者15人は、毎回の練習を終えた後、「“何のため”に交響楽を奏でるのか」との目的観を共有するために、何度も互いの意見をぶつけた。
「そうした中で、師を求め、師の心に迫り、師と同じ一念に立とうと、一段と団結が深まっていきました。そして、“先生の前で”演奏したいという『願望』から、SGI総会に参加した友に希望を送る音色を“先生と共に”奏でるとの『誓願』に変わっていったのです」(ピントさん)
技巧を超えて感動の渦に
迎えた93年――。
池田先生は1月下旬からアメリカ、コロンビアを訪れ、2月9日にブラジルのリオデジャネイロへ。諸行事を終えた後、アルゼンチン、パラグアイ、チリを歴訪し、再びブラジルの土を踏んだ。そして、2月25日から3月8日まで12日間にわたって、自然文化センターに滞在した。
2月28日、南半球初のSGI総会が同センターで開催。席上、世界的な音楽家のアマラウ・ビエイラ氏が池田先生にささげた交響曲「革新の響」を、ブラジルSGI青年オーケストラが熱演した。
演奏が終わるや、総会に参加した友は総立ちに。「エ・ピケ、エ・ピケ、エ・ピケ、ピケ、ピケ!……」の大歓声が沸き起こった。
先生も立ち上がって拍手を送り、「楽団の名前は?」と問い掛けた。すかさず指揮者(当時)のセルジオ・オガワさんが、「まだありません! ぜひ、命名をお願いします」と叫んだ。
緑豊かな木々に囲まれたブラジルSGI自然文化センター。本年2月、開所から30周年を迎えた。東京ドーム約20個分の広さを誇る敷地内には、色鮮やかな花々が咲き薫る
池田先生「世界第一を目指そう! 日本へ凱旋の公演を!」
先生は、総会の場に居合わせたビエイラ氏に命名を依頼。重ねて、“ぜひ楽団の指導を”と要請した。快諾した氏はこの時以来、楽団の特別顧問として発展を見守っている。
さらにこの時、先生は、楽団にとって希望の指針となる励ましを送った。
「これほどまでに見事な演奏の陰で、どれほどの練習を重ねてこられたか――。どうか、これまでの努力のうえに、さらに精進を重ね、将来は、世界中を演奏旅行して回れる実力をつけていただきたい。そして、世界に名を残しゆく、大芸術の『歴史』を刻んでいただきたい」
「世界第一を目指そう! 世界各国で演奏して、いつの日か、日本へ凱旋の公演を!」
そして、メンバーの目をじっと見つめて呼び掛けた。「口で約束することは簡単だけれど、実行できる人は手を上げて!」
全員が誓いを胸に、元気いっぱい「ハイ!」と返事をし、高々と手を上げた。
3月3日、ビエイラ氏によって「ブラジルイケダヒューマニズム交響楽団」と命名。ここに、世界で初めて池田先生の名前を冠する交響楽団へと生まれ変わったのである。
――後年、池田先生はこの時の模様を随筆につづっている。
「当時、楽団員は45人。十代の未来部員も多く、小さな体で必死に楽器を操る姿は、凜々しくも健気であった。プロの奏者は、一人もいなかった。だが、真剣一筋の演奏は、技巧を超えて会場を感動の渦に巻き込んだのだ」
◆〈婦人部のページ〉尊き使命の力走ありがとうございます はつらつと前進する無冠の友
あさって20日に創刊69周年を迎える聖教新聞。会合等の中止が続く中、朝早くから読者のもとに本紙を届けてくださる「無冠の友」に心から感謝します。
ここでは、地域に勇気と希望を送る配達員の代表を紹介。併せて、池田先生が配達員に贈った言葉を掲載します。
池田先生の言葉から
御書に収められた日蓮大聖人からの一通一通にも、その御手紙を大切に携えて、遠い険しい道のりを越え、門下のもとへお届けした“使者”の存在がありました。(中略)
使者を通じて、大聖人からの御手紙を間違いなく受け取ることのできた弟子たちは、どれほど喜んだことでしょうか。直接、お目にかかれない門下もいました。使者の完走ありてこそ、大聖人のお心を拝することができ、感動に打ち震えたにちがいありません。
御文では、こうした使者のことを「御使」と敬称されています。たくましき健脚の力で、使命を果たす「勇者」の異名であるといってもよいでありましょう。
大聖人と門下の生命を結んで走った「御使」の方々の足音が、私の心には、そのまま、わが「無冠の友」の皆様の足音と重なり合って、何よりも尊く、力強く響いてくるのであります。
(池田先生の指針集『無冠の誉れ』)
◆ ◇ ◆
「御義口伝」には、不軽菩薩の人間尊敬の実践について、「鏡に向って礼拝を成す時浮べる影又我を礼拝するなり」(御書769ページ)と仰せであります。
まさに、この不軽さながらに、あの友この友に幸あれ、あの家この家に福徳あれと、祈りを込めて聖教新聞を配達されゆく皆さん方の偉大な仏道修行あればこそ、仏縁は幾重にも広がり、人間主義の価値を創造する人材のスクラムが絶え間なく拡大しているのであります。
(機関紙「無冠」<2020年>へのメッセージ)
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