プロ野球広島東洋カープを中傷・批判する際に、被爆者差別や地域差別に当たる言葉がインターネット上で日常的に使われていることが17日、分かった。広島が原爆の被害に遭ったことからケロイドとカスを組み合わせたとみられる「ケロカス」という言葉で、球団OBや被爆者からも「許せない。放置はいけない」と対策を求める声が上がる。

ツイッターやネット掲示板では、試合内容が話題になった日などは「ケロカスは黙れ」「ケロカス弱すぎ」などの書き込みが目立つ。中には「ケロカスって朝鮮の臭いがする」と民族差別と組み合わせた投稿も。

広島の元投手、安仁屋宗八さん(78)は「絶対に使っちゃいけない言葉。侮辱だ」と憤った。広島被爆者団体連絡会議の田中聡司事務局長(78)は「面白がって使っているんだろうが、明確に差別だ。見過ごしたら差別がはびこる」と眉をひそめる。「ケロイドがあった被爆者は、爆心地近くで『直爆』を受けた人たちで、本当に苦労された。結婚差別や就職差別もあった」と話した。

田中さん自身は「入市被爆」でケロイドはないが、被爆者差別を感じてきた。東京の大学に進学した1960年代、友人から「田中、原爆ってうつらないんだろ」と聞かれショックだった。2011年の東京電力福島第1原発事故でも同様の事例があったと聞き悲しくなったという。「折に触れて思い出すのが被爆者差別だ」と指摘した。

広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長(77)も「被爆者にとって嫌な言葉で、広島全体に向けての差別でもある」と批判。「受け取る人が一生忘れられない言葉であれば、差別だ」と話した。(共同)