少女はお辞儀することにした   作:ウンバボ族の強襲

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選ばれしものども

 前回までのあらすじ

 

 イルヴァーモーニーが参戦で四校対抗試合になった。

 

 

 

 

 

 青年の名前は、ロルフ・スキャマンダーと言う。

 超有名人物ニュートン・スキャマンダーの孫息子である。

 ニュートン・スキャマンダーはアメリカでゴールドスタイン家と結婚し、その後一人息子を授かる。その一人息子が紆余曲折あってなんか適当な女と結婚して産まれたのがコイツだ。で、何故かアメリカ合衆国の魔法学校に入学資格があったのでそっちに行ったようだった。

 

 平たく言うと、騒音訴訟したくなるただのうるせーアメリカスだった。

 

 

 

「アメリカファースト!!」

 

 こんなテンションでスキャマンダーは占い学の授業に殴りこむ。

 

「WAO! これがブリトン=ジンの信じてる旧石器時代の儀式なのかい!? HAHAHAHAHA! 伝統大事にしすぎて脳が退化してるように見えるんだぞ! ファンタスティック・ビーストだね!」

 

「煽りおるわ」

「URS! URS! URS!」

「HAHAHAHAHA! てめーら古臭すぎてカビの生えたイングリッシュジョークなんて面白くもなんともないんだぞ!」

「その割には爆笑してると見える」

「WAAAAO! 『笑わせてること』と『笑われてる事』の区別もつかないのかい!?」

「ムカつくわ本当」

「ちょっと黙っててくれないかな」

 

 そんな感じで流石にイラッときたトレローニーが反撃に出た。

 

「いい加減になさいまし。ここは神聖なる占いの場ですわ。ヤンキーはさっさと動物園にお帰りさないな。具体的にはルビウス・ハグリッドの小屋とか」

「ノープロブレム! スコットランド独立運動は支持してるんだぞ!」

 

 

「まぁ、素敵! こいつら詰めて殺し合わせれば一石二鳥じゃない!」

 

 べスは言った。

 

「ハグリッドも手段選ばなくなってきたよな。アイツ多分死の商人だぜ。キタネー金の臭いがプンプンすらぁ」

「ロン、なんか嗅覚鋭くなったね」

 

 

「不機嫌なので、ここは一発あなたを不幸にする予言をして差し上げましょう」

「HAHAHAHAHA! 面白いんだぞ!」

「見える……見えます! 見えますわ! ああ未来が!!」

「対抗CO! トレローニー〇!!」

 

「「「!?!?」」」

 

 

「な、なんですって!?」

「どうやら対抗は狂人みたいだね! だけど偽確実だから放置してほしいな! 〇でつぶしちゃったのは申し訳ないけど対抗の中身をハッキリさせられたのは僥倖だったよ! 本当の死喰い人は潜伏してるみたいだね! これから順次焙り出していく進行になるとおもうよ!」

「な、なななななな……!?」

 

 

「まさか! まさか先生が……偽!?」

「トレローニー、偽占い! 死ね!!」

「スキャマンダーさん占い騙りじょうずですね」

 

 

 

 トレローニーの顔が真っ青になった。

 

 

「あ、ああああ! ……いいでしょう、ここは一発ソレっぽい予言をかましてやりましょう! 天よ! 神よ! どうか我に力を!! 

 なぐる くふあやく んがあ・ぐあ なぐる らじゃにー んがあ・ぐあ いむろくなるのいくろむ てぃび!!」

 

 トレローニーの目がググググググと白目をむく。

 

 

 

 

 

 ダンブルドアが地に満ちるとき

 

 紅蓮の魔女が杯を手にする

 

 生と死が交わるとき

 

 死を超越せし、英雄が目覚める

 

 

 

 

 

 

「な、なななななななんだってーー!? クレイジー! なんだか得体のしれない冒涜的な呪文を聞いた感じになったんだぞおおおおお!」

 

「こほん、私はかつてアーカムで魔術を学んだのですわ!」

 

「アーカム……だと……!?」

 

 

 

 

「なんやこれ」

 

 

 占い学の授業は例年通りただの茶番だった。

 

 

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

「ゴブレットに名前を入れます」

『残念でした、今年のゴブレットはR17、17禁です』

「なんでや!」

『この年齢線を超えたヤツは灰にします』

「ハイになりたくないので、引き下がります」

「臆さずに名前を投入し……ぎゃああああ!」

「ああああああああああああああああああああああああああ!」

『ash to ash...』

 

 

 

 

「そんな感じで、ゴブレットのゴブレットによる大量虐殺があったフォイ」

「そうね、あったわね」

「そのゴブレットに何か語り掛けているノットは正直正気を疑ったフォイ……」

「あ? なにいってんだお前。ノットさんが正気だったことなんかなかっただろ、いい加減にしなさいよ!」

「黙れラドフォード! ゴブさんへの侮辱は許さねーぞ!!」

「してねぇフォイ。べスが侮辱しているのはお前だけフォイ」

「お前もな、フォイカス」

 

 あからさまに脈がないことを証明するべスを見たダームストラングの生徒は非常に馴れ馴れしくマルフォイに向けて同情気味に言った。

 

「残念だったデスネ。フォイカス」

「黙るフォイ!」

 

 

(今年は何かメンドクサイ輩が多くて嫌だわー……)

 

 

 やがて食事が出てくるだろう。

 レイブンクローのテーブルでは「あああああああああああ!」とか「ぎゃあああああああああああああああ!」とか何人かの断末魔が聞こえた。恐らくはホグワーツの誇る伝統のイギリス料理を口にしたのだろう。

 次々とボーバトンの生徒たちが倒れては担架に乗せられて出荷されていった。

 おそらくはマダム・ポンフリーの怪しい薬の実験体になる運命だろう。

 

 しかし、ハッフルパフのテーブルからは何も聞こえてこない。

 おそらくはアメリカ人だからだろう。

「バーガーがないんだぞ!」とか「量が少ない!!」と文句は聞こえたが、余裕で食べているようだった。イルヴァーモーニーへの飯テロ爆弾は不発に終わった。

 

 

「あなた達は平気みたいね。イギリス料理は口に合うの?」

 

 べスは婉曲に「食中毒希望」と口に出す。すると、ダームストラングの生徒たちはみんなにこやかに笑った。

 

「オショクジが行列に並ばなくて出てくるんだから万々歳デス~~~~」

「温かいスープなんて3年ぶりに飲みマシタ!」

「イギリスには発言の自由がアリマス! 自由に喋れるってスヴァラシイ!」

「あぁそう……」

 

 マルフォイとべスはこいつらも中々壮絶だなぁ……と3ミリぐらい同情した。

 

 

(ここ最近死喰い人の新規募集もかかってないし……というか、私だってそろそろ焦り始めるわよ。……ホグワーツに来て私がやったことって……)

 

 

(トイレ掃除しかないじゃない!!)

 

 

 

「東側代表~~、ダームストラング代表~~ビクトール・クラム。ビクトール・クラム」

 

「Уpaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」

「「「クラム! クラム! クラム!!」」」

 

 

(去年脱獄したと思ってたシリカス・ブラックは実はフェイクだった。

 ……代わりにジャンガリアンドブネズミを助けたけど……)

 

 

(……アイツじゃ無理だよなー……)

 

 

 

「続きまして~~大陸代表~~。ボーバトン代表~~フラー・デラクール。フラー・デラクール~~」

 

「地獄を拝ませてやる」

「「「Vive la France!!! Vive la France!!! Vive la Fleur!!!」」」

 

 

 

 

(ワールドカップに『闇の印』が打ちあがったから何かありそーだなーって思ってたんだけど……。

 マルフォイの様子からしてあまり父フォイは期待できなさそうだわ)

 

(こっちは何かそろそろ動きたいのに……手柄でも何でも立ててアピールしないといけないのに、呑気に学校対抗試合なんかやってる場合じゃないわよ……)

 

(……しかも、防衛術に闇払いなまで配置してくるなんて! ファッキン校長!)

 

 

 

「イルヴァーモーニー代表~~ ロルフ・スキャマンダー!!」

「YEAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAH!!」

「「「USA!! USA!! USA!!」」」

 

 

 

 

(まー、けどアイツ何故か私に好意的だしバンバン点数くれるから利用しがいはあるわよね)

 

(よし、使うだけ使ってボロ雑巾の様に捨ててやろう)

 

 

 

「ホグワーツ代表!! セドリック・ディゴリー!!」

「え、や、やったぁ!」

「……」

「え? あ、あれ?」

 

「あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」

「やったああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

「え」

 

「ハッフルパフだああああああああああああああああああああ!」

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

「セドリックううううううううう!!!!皆の救世主!!!!!!!!!!!!」

「セドリック様ああああああああああああああばんざああああああああああああああああい!!!!」

 

「う……うん、皆、頑張るぞー!」

 

「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」

 

 

 ハッフルパフ寮はここ10年で一番盛り上がっていた。

 おそらくこの先10年、これほど脚光を浴びることはないだろう。

 

 

 かくして、代表選手が全員集まった。

 

 

 と、思った矢先に再びゴブレットに火がともる。

 

 

 

 

「……ハリー・ポッター」

 

 

 

 

「フォイ!?」

「え」

「ん?」

 

 

 どうやら、ハリーの名前がゴブレットに入っていたようだ。

 周囲はどこか困惑した空気に包まれている。

 一体何が起こったのか理解できないものが多いだろう。

 しかし、既に何人かは起こったであろう事態に気が付き始めていた。

 

 

「おかしいでーーすホグワーツ代表は決まったはずでーーす」

「セドリック・ディゴリーはホグワーツの生徒じゃなかった……?」

「CIAの陰謀なんだぞ!! これはCIAのせいなんだぞ!!」

「だまれメリカス!! ここはイギリスだ! MI6に決まってんだろいい加減にしろ!!」

「校長の陰謀だろどーせ」

「正解:ダンブルドア」

 

 

 ハリーが英雄になりたくてズルをしたのではないか、と誰かが言った。

 べスはグリフィンドールテーブルに目を向ける。

 ……そーゆーことする感じのヤツらが目を見開いていた。

 あ、これ違うな、とべスは確信した。

 

 

(……考えられんのは……)

 

 

 ダンブルドアの陰謀。

 ゴブレットの誤認。

 魔法省の介入。

 色々と予想できることは多かったが、ただ一つだけ可能性があった。

 

 誰かが、ゴブレットを錯乱させ、設定を改変し、焚き付けた。

 それを可能にするのは高度の闇の魔術だろう。

 

 

(……これは、何らかの、死喰い人……的なメッセージ……かしら?)

 

 

 

 


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