少女はお辞儀することにした   作:ウンバボ族の強襲

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進撃の校長

 

 

 

 なんだかんだで対抗試合が始まるので、敵共が乱入してくることになった。

 

 

 それは巨大な馬車だった。

 また巨大な天馬がそれを牽いている。

 やがてその馬車の扉が開かれるだろう。

 薄青色のローブをまとった少年がうやうやしく扉を開けた。

 つやつやとした踵の細い、ハイヒールが現れた。

 

 その瞬間。

 

 大地に亀裂が走る。

 

 

 

 

 

「あ、アレは……!」

 

 

 

 ペガサスが珍しくて窓にはりついていた生徒たちは、目を見張る。

 そしてただ、呆然と目の前の現実に立ち尽くすことしかできない。

 圧倒的な存在感、嫌でも目に張ってくる事実。

 それは、恐怖の形をしていた。

 

 

 

 

 

「巨人だ……!!」

 

 

 おおよそ人類とは思えない巨躯がそこにあった。

 その巨人はハイヒールや毛皮のコートを身にまとったまま腰を深く落とすと、片足を引いた。状態を低く下げそのまま走りだす。

 その様は―――さまに、突進。

 

 

「奇行種だぁあああああああああああああああ!」

「うわあああああああああああああああああああ!」

「早く城門を閉めろおおおおおおお!!」

 

 

 

 その日、人類は思いだした。

 ダンブルドアに支配されていた恐怖を……。

 城の中に囚われていた屈辱を……。

 

 

 飛び散る城壁! 阿鼻叫喚の大広間!

 世界に誇るロウェナ・レイブンクローの傑作たる建築遺産ホグワーツの古城を破壊しながらボーバトンの選手団は入場を果たしたのだった。灰色のレディが「あ゛あああああああああ!おかあさまあああああああああ!!」と絶叫して失神した。

 

 

 

「ようこそマダム・マクシーム」

「ボンソワール、ダンブリードール。おかわりありませんかー?」

「まずまずじゃよ」

「これはわたしのせいとでーす。しんぞうをささげまーす」

「ならばその犠牲が無意味であったことを校長としてワシが教育してやろう」

 

 

 ホグワーツの生徒たちは「あの巨人、普通に喋るのかよ」と静かに思った。

 尚、一部のアホ共は「ゆみるのたみ…」とかなんかお辞儀していた。

 そんな感じで南ヨーロッパ全土から集められたボーバトンの生徒たちが入城してきた。

 

 

 

 次に何か湖から沸いてきたダームストラングの生徒がカルカロフを先頭にして色々入ってきた。

 

 

 

 ボーバトンの生徒はレイブンクロー。

 ダームストラングの生徒はスリザリンのテーブルに座った。

 

 

「こんにちわ。ダームストラングの生徒ですよろしく」

「よろしくフォイ」

「気安く話しかけんなよろしく」

 

 べスとマルフォイに馴れ馴れしく挨拶したダームストラングの生徒はきょろきょろと周囲を見回しテーブルの下をなにやら探っていた。

 

(何してんだフォイこいつ……?)

(ブルガリア人だからヨーグルト喰いすぎて頭ん中までヨーグルトになったのかしらね)

(いいえ、ケ●ィアです)

((!?))

 

((こ、こいつ……直接脳内に……!))

 

 

 

 

 

 

「よし、叩き潰すべきゴミ共が大体揃ったところで、今より炎のゴブレットを公開してやろうと思う。ありがたがって這いつくばるがよい」

 

 訓練されたホグワーツの生徒たちは一斉に叩頭し這いつくばった。

 その光景を見て、耐性のないボーバトンの生徒たちは形容しがたい異様さを覚えるだろう。

 

 

 

「諸君らから代表選手という名の生贄を捧げる……その選別を行うのはこいつじゃ!!」

 

 

 途端に炎のゴブレットが姿を現す。

 それはゴブレットと呼称するには巨大すぎた。

 重厚で武骨なつくりの石材で掘り出された杯は、今か今かとあたかも生贄求めるかのように、青く煌々と静かに燃え盛る炎を宿していた。

 

 

 それを見たスリザリンのテーブルはざわついた。

 

「す、すごいフォイ……」

「なんだあれ。鈍器かしら」

「……す、すごく……おおきいです……!」

「ノット?」

「やべえ……やべえよ……! デカイ……! あの大きさなら……あの大きさなら! あの大きさなら!!」

「……おいノット」

「この城を丸ごと破壊できる超爆発も夢じゃn」

「黙るフォイ!!」

 

 

 

 同じく、グリフィンドールもざわついていた。

 

「凄いねあれ」

「アレで選手を選ぶ? そんなマー髭な」

「青いわ……」

「え? 何言ってるんだいハーマイオニー?」

「あの火、青いわ!」

 

 ハーマイオニーの目には何か灯っていた。

 

 

 

 

「地獄の釜の蓋が開くぞ……」

 

 

 明らかにヤバいゴブレットを見て生徒たちは不安になったらしく騒ぎ立て始めた。

 

 

「おい、何が起こるんだよ……」

「もうやだかえりたい」

「あのゴブレットでまさか代表選手を火あぶりにするんじゃねーだろーな……」

「有り得るぞ! 校長ならやる!」

「火あぶりならまだマシだろ! 多分アイツはファラリスだ!」

 

 とかピーチクパーチクほざく生徒共に大校長アルバス・ダンブルドアは優しく語り掛けた。

 

 

「ファッキュー、ブチ殺すぞ、ゴミめら」

 

 

 大広間に響き渡った。

 

 

「今 口々にがなりたてたその質問じゃ。質問すれば答えが返ってくるのが当たり前かの……?

なぜそんなふうに考える…? バカがっ………!

とんでもない誤解じゃ。肝心なことは、何一つ答えたりしない。大人は質問に答えたりしない。

それが基本じゃ」

 

 

 

 あれ、ここ学校だよな……?という当たり前の疑問を持つものは居なかった。

 

 

 

 

 

「すぐぉいですね、君たちの校長は、どこの独裁者かと思いましたデス」

 

 ダームストラングの生徒はまたしても馴れ馴れしく話しかけた。

 

「そうだフォイ。これが――これこそが『ホグワーツ』だフォイ」

「welcome to Hogwarts……!」

 

 

 

 

 

 ダンブルドアの演説は止まらない。

 

 

 

 

「今 おまえらが成すべきことは……ただ勝つこと。勝つことじゃ……!

 

 勝たなきゃゴミじゃ!! 燃えるゴミじゃぁああああああああああああ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Shut up!!!! ごちゃごちゃうるせえんだよ、黙りやがれこの老害!!」

 

 

 

 バリィイイイイイイン!と派手にガラスの割れる音が響く。

 飛び散るガラス片。

 鮮やかな月光を反射しながら降り立ったのは、トランクを片手に持ち、青とクランベリー色をたたえたローブを翻した17歳程度の青年だった。

 ローブの前に金色のゴルディオスの結び目をかたどったブローチで留めている。

 

 

「アメリカ! ファースト!! なんだぞ!!!!」

 

 青年はまっすぐに指をダンブルドアに突き付けた。

 

 

 

 

 その様子を見ていたスリザリンテーブルでは、べスとマルフォイ。ついでにダームストラングの生徒が黙ってそれを見ていた。

 

「おお、資本主義のイヌが何かキャンキャン吠えやがっているようデスね~~」

「フォ……?」

「なんだあれ。どーでもいいや。ねぇあいつ純血かしら?」

「おお! 貴女ジュンケツシュギシャ! ですか! 凄い! 素晴らしい! イギリスにはまだ純血とか堂々と言っちゃう天然記念物が残ってたんデスね! あとで写真とりまショー! 国に帰って皆に自慢シタイデス!」

「ラドフォードは写真お断りだフォイ」

「気にすんなフォイカス。純血主義プロバカンダ用に使ってくれるなら本望よ」

 

 

 

 

 

 

「ゴミが増えたか……いいじゃろう……叩きィ!! 潰してェっ!! くれるわぁああ!!!!」

 

「HAHAHAHAHA! ブリティッシュジョーク!! 骨董品なんかに負けないんだぞ!! ヘイ! レディース&ガーイズ! カモーン!!」

 

 

 

 

 青年が叫んだ瞬間。

 

 大広間のガラスというガラスをブチ破って青とクランベリー色のローブを来た生徒たちが侵入してきた。更に演出と言わんばかりに天井に向かって魔(法)改造を施したのだろうアサルトライフルを発砲している馬鹿まで居た。誰も気にしないあたり流石銃社会だろう。

 

 

 

 

 

「HAHAHAHAHA! 校長に言われてブリトンの老いぼれに引導を渡しに来たんだぞ!

 

 

……テメェらの時代はもうとっくに終わってんだよ」

 

 

 


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