少女はお辞儀することにした   作:ウンバボ族の強襲

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シリアスな禁じられた森決戦 その2


問題児たちが獅子寮から来るそうですよ?

その眼鏡はレンズに映るすべてを焼き尽くすかのような業火をたたえていた。

 

「探したぞシリウス・ブラック。懺悔の用意は出来ているか」

 

 

 

(来やがった……)

 

 どうやら親の復讐とかそうゆうことに燃えまくっているらしい、ハリーからはどす黒い怒りのオーラが発せられていた。復讐鬼と化した眼鏡は鬼神のようだった。正直視界に入れたくない。

 べスは額に脂汗が浮くのを感じていた。

 

(一時休戦だわ……ぶっ殺スイッチが入ったハリーは……正直ヤバい……)

 

 何とかまわす頭で戦略を練りながら横目でブラックを見る。

 ブラックの栄養失調でやせた顔は、なぜか青ざめているように見えた。

 

「ハリー……わたしを殺すのか……?」

 

 どこか現実が受け入れられていないような声だった。

 

「おまえは僕の両親を殺した」

「……否定はしない、だが話を」

「話? 話だって? もう遅いよ何もかも! 覚悟しろ、その名の通りにお星様にしてやるよ!!」

 

 ハリーの声は震えていたが、杖腕は微動だにしなかった。

 

「お前はヴォルデモートに僕の両親を売ったんだ!」

「聞いてくれ」

「聞く? 何を? お前は―」

「インセンディオ!!」

「プロテゴ!!」

「ハリー! 聞いちゃダメよ!! 話す余地なんてないわ!!」

「小娘が……シレンシ――」

「インペディメンタ!!」

「ステュピファイ!!」

「プロテゴ!! ボンバーダ!!」

 

「――――お前は父さんと母さんを騙したんだろ、この裏切り者が!!」

 

 

 

「ブラックさん、説得は無駄です!」

「ハリー……! わたし、は……」

「今のハリーは冷静じゃない。頭を冷やさせるんだ」

 

 

 

「ステュピファイ!!」

「プロテゴ!」

 

 ハリーの杖の先から容赦ない失神呪文が放たれる。

 腐っても防衛術の先公と言うべきか、ルーピンが盾の呪文で防ぐ。

 失神呪文の乱れ打ちあいが始まり、その隙に「インセンディオ!」という可憐な少女の声がし、木々は無事燃焼されていった。

 勇気を何よりもよしとするグリフィンドールの生徒たちにより、熱心な森林破壊活動。環境破壊のボランティアだ。

 

 その時、ルーピンの部屋から『火事』を目撃したのだろうマルフォイ、ノット、スネイプの3人が合流した。

 

 瞬間。

 

 

「「ステュピファイ!!」」

「な、なんだフォイ!?」

「……アクシオ! スネイプ先生!!」

「え」

 

 現れたマルフォイとノットに向かって容赦ない失神呪文が浴びせられる。

 と、同時にノットが杖を振り、13歳の子供が使うにしてはかなり上級な魔法、呼び寄せの呪文を使いスネイプを引き寄せる。

 アクシオの呼び寄せと、ステュピファイの着弾がほぼ同時だった。

 つまり。

 

 

「……お前等……話あえ……」

 

 とスネイプは言い残して気が絶えた。

 

「フォオオオイ! 先生! 先生しっかりするフォイ!!」

「スネイプ先生は犠牲になったのだ……」

「……おい」

「なんて奴等だーースネイプ先生のかたきうちだーー(棒)」

「僕しってるフォイ……お前が『プロテゴ・スネイプ()』とか言ってたの知ってるフォイ……」

「……あー、今日は夜空がきれいだなーーーー」

 

 

 一方スネイプの壮絶な最後を目撃したハリーたちは若干正気にもどっていた。

 

 

「イキナリ現れて退場した油ギッシュ・オイリーヘア=スネイプが何か言ってたから聞いてやることにしました」

「一時休戦だわ」

「そうだなブラック。さぁ命乞いをしろ。ハイクをよめ……」

「殺意MAXじゃねーか……話す気が微塵もねぇな……」(意訳:流石ハリーさんです、ブレませんね)

 

「 シリウスは じつはハリーの 名付け親 」

 

 シリウス・ブラックは川柳を読んだ。

 

「な、なんだって!?」

「シリウスは実は君のゴッドファザーなんだよ」

「それどこのコルレオーネ」

「ゴッドファザー違いだフォイ!!」

「ははっ、ブラック・ファミリーなんかほぼマフィアみたいなものだよね! マー髭!」

 

 

 ハリーは困惑していた。

 おかしい、名付け親? 父親と母親を裏切ったこの人が? ヴォルデモートに両親を売ったこいつが?

 少年の困惑を見て取ったブラックが、ここだ! と言わんばかりに杖を向けた。

 

「レジリメンス!!」

 

「しまっ――!」

 

 

 ハリーの思考とブラックの思考が入り混じる……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 若いシリウスはバイクを走らせていた。

 

 

 

『え? ピーターを秘密の守人にするのか?』

『あぁ、そうだ』

 

 子供のときから変わっていない。

 友人のジェームズは得意げな顔で、アイツをハメてやるんだと言った。

 

『まさか奴もピーターは秘密の守り人になってるなんて考えもしないだろう?』

『……なるほどな。裏をかくって訳か』

 

 なうほど、ジェームズらしい。

 相手の心理を読み、ソレを逆手に取る戦略、と言うわけだ。

 だが、一瞬だけ、こころの底には思うことがあった。

 

『……』

 

 そうか。

 

 やっぱり、俺は、信用できないか。

 

 

 当たり前と言えば当たり前だろう。

 現に弟は死喰い人。従兄弟も死喰い人。一族郎党は純血主義一色の家だ。簡単に信用する方がバカだろう。

 

 それでも、ジェームズだけは言ってくれたのだ。

 

『俺は、俺の親友だったお前を信じる』

 

『つまり。お前を親友にした俺を信じるってことさ。その方が気が楽だろ? な? パッドフッド』

 

 どこまでもアイツらしい。

 傲慢で尊大で、自信過剰で、負い目なんか何も無い――。

 

 そう。

 だから。

 

 傲慢で尊大で自信満々なアイツなら、きっと大丈夫だ。

 きっと。

 ……きっと。

 

 

『……あ』

 

 

 目の前にあったのは、襲撃を受けた後だろう家。

 そして最期までリリーとハリーをかばったのだろう―親友の変わり果てた姿だった。

 

 

『あああああああああああああ!!』

 

 

 驚くほど頭は冴えていた。

 

 裏切られたのだ。

 いや、裏切られていたのだ。

 裏をかくつもりが、かかれていた。

 ピーターが、裏切り者だったのだ。

 あいつがヴォルデモートに密告した。だからヴォルデモートが殺しに来た。

 

 ピーターが、不死鳥の騎士団の中に潜んだ『狼』だったのだ。

 

 その後の行動は早かった。

 

 

 

『何故だ!! なんで……なんで裏切った!!』

 

 親友だと思っていた裏切り者は命乞いをしていた。

 もう何を言っているのかも分からない。

 いや、何を言っていても関係ない。

 

 

『友達だったのに……』

 

 

 頭の中が憎悪で焼き切れそうだった。

 

 

『友達だったのに!! 裏切ったんだ!! お前は!!』

 

 

 信じていたのに。

 

 

 

 

『アイツはお前のことを信じていた!!』

 

 

 

 どうして。

 

 

 

 

『お前を!! 信じていたんだぞ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうして俺じゃなかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハリーの声は震えていた。

 

 

 

「……裏切り者は……ピーター……? ピーター・ぺティグリューの……方……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

「え?」

「フォ?」

「……ん?」

 

「裏切り者はピーター・ペティグリューだったんだ……」

 

 

「待てこらおいクソ眼鏡。ピーターさんはそこの一等星に木っ端微塵にされたはずだわ」

「ピーターはアニメーガスな動物もどきだったんだーー!」

「マー髭だぜハリー!! 二酸化炭素吸いすぎで頭おかしくなっちゃったのかい?!」

「今更何言ってんだフォイ……組み分け帽子に脳みそ吸い取られてんだろグリフィンドール……」

「スキャバーズだ。スキャバーズがピーターなんだ……!」

「……死んだはずのピーターがアニメーガスで……? 鼠に擬態していて……? じゃ、じゃあブラックは……そこの一等星さんは……?」

「もう限界だ!! いいからそこの鼠を殺させろ!!」

「早くその鼠をこっちに渡すんだァ!! ハリーハリーハリーハリー!!」

「うるせえお前等だまってろ!!」

「インセンディオ!!」

 

 穢れた血による容赦ない発火攻撃によってべスの来ていたローブの裾が燃え上がる。

 ビビッたべスがすぐさま「アグアメンティぃいいいいい!!」と唱えて鎮火する。

 即効で燃やされそうになった暫定ピーターな鼠が逃げ出した。

 シリウスとルーピンが先を争うように組み付く。

 

「……」

「……先生……」

「……おい……おい……指名手配犯……」

 

 13歳の少年たちの目に映ったのは、オッサン二人が鼠を取り合って揉みあっているという凄まじいシーンだった。

 

 

 そんなこんなで何か魔法でピーター・ペティグリューが現れる。

 

 

 

「……り、リーマス……シリウス……な、ナツカシノトモヨー! お元気そうで何よりです」

「正体現したなこの裏切り者がァ!!」

「死ねこの鼠野郎!! そこらへんのミミズに体中食い荒らされて死ね!!」

 

 

「ファアアアアアアアアアアアアアアア!?」

「あああああああああああああああ!?!?」

「あばばばばばばばばばばば」(口から泡を吹く)

「アバダダダダダダダダダダダ」

「黙るフォイ!!」

 

 

「あの日何故裏切ったァ!?」

「うっかり闇の帝王に密告したのだ~~、てへっ☆」

「私なら友を裏切らなかった!!」

「許してほしいのだ~~」

 

 

 大好きなのはひまわりの種みたいな口調でピーターは無様に命乞い(?)をしていた。

 が、シリウスは聞く気が毛頭ないようだった。

 

 その様子を呆然と眺めながらべスは思考した。

 背後では「友を裏切るくらいなら死を選んだ!」とか「この臆病者! 卑怯者!」とか何か聞こえてきたけどスルーすることにした。

 

 

(え? つまり……なんだ? え?)

 

 困惑するベスの横でノットがぶつくさ何か言い出す。

 

「……未登録のアニメーガスかよクソが。そんなもん読めるwww訳wwwねーwwww」

 

「なにいってんだお前。分かりやすく英語喋れ。まるで幼稚園児を相手にするようにな」

 

「……元気よくお名前いえるかな~~?」

 

「ベス・ラドフォードだよーー」(幼稚退行)

 

「そっか~~ベスちゃんか~~。あのね~~あそこのおじさんたちはね~~『動物もどき』だったんだ~~動物に変身する凄い魔法使いだったんだよ~~」

 

「え~? なんでそんなことするの~~?」

 

「多分ケモナーの気のある変態さんたちなんだよ~~。ともかくソレで死んだふりをしていたんだ~~12年間も~~。あっちのおじさんもきっとソレで『アズカバン』を脱獄したんだと思うよ~~~~」

 

「わ~~すごいすごい~~。じゃあどうゆうことなの~~?」

 

「うん、だからね。僕たちが黒だと思ってたアズカバンの囚人なシリウスは実はシロで、死んだとおもってたピーターが実は生きてて鼠で死喰い人さんだったってことなんだ!」

 

「そーなんだーー……ん? 待て」

 

「キレーな空だなーーー」

 

「聞け」

 

「綺麗な空だなーー」

 

 イラッときたベスの渾身の回し蹴りがノットの腰に炸裂する。

 クリティカルヒットしたソレはノットの腰骨にガッツリ入ったのだった。

 

「たわば! ありがとうございます!!」

「おかえり。

 ……つーことは何? 私……」

 

 

 なお、背後ではピーターとハリーとオッサンどもの話は続く。

 

 

「ジェームズとリリーにクリソツなのだ!」

「ハリーの前でジェームズとリリーの話するとかどうゆう神経だ!」

「コイツ、ムカつくけど殺す価値ないな、と思いました」

「優しいのだ」

「ハリー同情の余地はないぞ」

「なので、吸魂鬼の皆さんに引き渡すことにしました」

「前言撤回なのだ。中身はリリーにマジでクリソツだなコイツ……鬼畜ってレベルじゃねーぞ……」

「何とでも言えよ裏切りモノが。死ぬより辛い思いを味わえ。楽に死ねると思うな」

「ひぇ……」

 

 

 

 

 

 

「あの一等星さんにダマされてた訳…………?」

 

「はいその通りです」

 

「……」

 

 ベスが杖を振り上げる。

 

 

「アバダゲダブラ!!」

 

  

 鋭い緑の閃光が放たれる。

 が、標準を全く定めず撃ったソレはシリウスには当たらなかった。

 変わりに近くを通りかかった何の罪も無いユニコーンに命中!

 ユニコーンはその儚い生涯を終えました。

 

 

「よくも騙してくれたわね!! 死ね! シリウス・ブラック!!」

 

「嵌ったほうが悪いってママに習わなかったのかなお嬢さん」

「黙れママはアズカバン脱獄中で今行方不明よ。ステューピファイ!!」

「プロテゴ!!」

 

 ルーピンが盾の呪文でベスの失神光線を防ぐ。

 だが

 

「エクスペリアームズ!!」

 

 ノットの武装解除がルーピンの手に当たる。

 すかさず拾いあげようとしたルーピンだったが

 

「ペトリフィカス・トタルス!」

 

「……ノット君……」

 

「シレンシオ!!」

 

 シレンシオを喰らったルーピンが黙った。 

 ノットがギラついた目で怨嗟に満ちた声を出す。

 

「……あぁ、そうだ。よくも騙しやがったシリウス・ブラック」

 

「……」

 

 

(え? なにコイツ? ……なんかめっちゃ怒ってんだけど……怖)

 

 

「……俺はテメェに協力してやりたかった。いや……つか、誰でも良かった。『死喰い人』ならな……アンタの逃走に力を貸して死喰い人側に恩を売って、ついでに目撃情報もやって魔法省側にも情報を売る……どっちにもテキトーに擦り寄っておくっつー俺の計画があった。

 …………テメェの嘘のせいで全部パーだ。クソ野郎が」

 

「あぁ、『ノット』か。死喰い人の息子だな? お前も父親と同じ道をたどりたかったのか?」

 

 シリウスが挑発するように笑う。

 

 

「……あんな馬鹿と一緒にするんじゃねぇ。俺の生き方は俺が決める」

 

「どうかな。ともあれ残念だったな。ピーターを魔法省に引き渡せば私の罪は晴れる。……どうだね、もし、君も家族のくびきから自由になりたいなら、私が口添えをしておいてや――」

「ほざけ。俺をハメやがったテメェはここで消す」

 

(超同意)

 

 ベスは思った。

 粘着質な男子は気持ち悪いなーと。

 

 

「……面白い子だ。全く。だが勝算はあるのか? 13歳の子供達だけで?」

「……ねぇよ、そんなの」

「分かってるくせに挑むのか?」

 

 挑発気味のシリウスに言葉に対し、ノットは――笑った。

 

 

 

「何勘違いしてんだよ。馬ぁ鹿。気づいてねぇと思ったのか? なぜか今年だけ『月に一度』いなくなるスネイプに『スリザリン生』が気づいてねーと思ったのかァ?」

 

 

「……! 貴様何……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は空が綺麗ですね、ルーピン先生??」

 

 

 

 





あと3話ぐらいで終わる予定です。

ウンバボ族ね、お気に入りが1000件突破したら……炎のゴブレッド買いに行くんだ……。

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