少女はお辞儀することにした   作:ウンバボ族の強襲

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サブタイは5秒で決めた


全ては歴史の掌の上

「ねぇ、リドル?? 私さ、余計なことすんなって言ったわよね?? あなたに、言ったわよねぇえ??」

 

『言ったかもしれない可能性がないこともないわけはありません……』

 

「耳付いてないの? 英語理解できないの? まぁいいや……だけど、リドル?? 私の身体勝手に使うのってどうなの? ねぇどうなの? 気持ち悪いんだけど……」

 

『いや……その……これには深い訳があr』

 

「ロリコン死すべし慈悲はない」

 

『お許しください!! な、何でもしますからぁ!! 命だけは!!』

 

「……じゃあ慈悲深い私が今回だけは許してあげることにするわね……あの女もそろそろ抹殺したいし。

 ……でも、その前に、リドルにはちゃんと反省してもらわないとね……?

 

 ねぇリドル……あなた。水泳って……好き?」

 

『……え……』

 

 

「その薄汚い心も体もキレーキレーに洗浄してあげるわ!! せいぜい首洗うことね!! 三途の川でな!!

 

 マートルの鼻に命中すれば50テーーーン!!」

 

 

『うああああああああああああああ!!あああああああああああああああ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「学校長ダンブルドア」さんはホグワーツを去りました。

 

 

 

 

「良かった……! あぁ、良かったっ……!」

「生きてる……!私、生きてる……!」

「これで助かる!!」

「皆ぁああああ! あの暴君が学校を去ったぞーーーーー!!」

「もうコレでバーガーを恐れることはないんだ……平和な食事を食べられるんだ!!」

 

 

 

 

 という騒ぎをよそに。

 

 ベスはトイレにこもって便器の修復作業にいそしんでいた。

 

 

「なんでこんな……誰がこんなひどいコトを……!」

 

 

 許しがたい。こんなこと、人間がすることではない。

 こんなひどいことでするような奴は人間ではない。悪魔だ。

 ベスは深い悲しみと静かな怒りにもえながら、立体ジグソーパズルにいそしんでいた。

 

 

「ハイ、ベス。さっきフクロウ便通販で過去修復接着剤が来たよーー」

「ありがとうハリー。そこに積んでおいて」

「うん」

 

 ハリーがわっせわっせ、と段ボール箱を運んでいた。

 トイレの用具棚の前には、すっかり空き箱が積み重なっていた。つい先ほども血を裏切る赤毛が「お友達が居ないからってゴミを増やして育成するのはやめろよな」とか言っていた。

 余計なお世話だ。

 

 それに今、トイレは最早ただのトイレではない。

 

「コッケーー! コーッコココココケェーー!」

「はい、餌だよ。僕のフクロウの残飯だけど」

「ケェエーーーーー!」

「冗談さ」

 

 ハリーが鶏に餌をやっていた。

 

『なんで生き物が増えるのよ……ここは死者の為の空間よ……』

「何を言ってるのマートル。トイレは聖域。生きる者も死せる者も、等しく許容する場所よ、この子だって死の淵から生還したんだから……!」

『……どゆうことなの……?』

「何かね、ダンブルドアがフライドチキンが足りないのじゃ、とか言ってトチ狂った挙句、鶏小屋の鶏を悉く油で揚げ殺すっていう火炎地獄を創造したらしいんだ。その中でたまたま生き残っちゃって家畜小屋の隅で怯えてたのをベスが保護したんだって」

『流石ベス!』

「当然よ、ママが言ってたもの、純血の魔法使いは皆に優しくあるべきだって。マグルと穢れた血以外にね」

「コッケコッコォオオオーーーー!」

「ね? あなたもそう思うでしょう? ブルーピー」

「ブルーピー? コイツの名前かい?」

「えぇそうよ、ブルーピーコックと名付けたの。素敵な名前でしょう」

 

 鶏、ことプルーピーはダンブルドアの悪夢から、心の傷は癒えきらないものの、順調に回復しているようだった。ハリーは思わず目を細める。

 

「じゃあ僕行くね」

「じゃあな」

「うん、また何か困ったことがあったら呼んで……ん? なんだこれ? 古そうなボロカス日記だな? 骨董品かな? よしYAH〇〇で売ろう」

 

 ベスは便器から顔さえ上げなかった。

 

 

 

 

 

 

「やっと行ったかあの眼鏡。……よっし、魔法のお勉強するわよ」

『ねぇ、これ提案なんだけど……魔法使えば?』

「はぁ? 魔法で一発で直して何が楽しいの? こうゆうのは手を込め壊した奴を呪い、恨みを込めながらゆっくりゆっくり直していくのがいいんじゃないの。さてと」

 

 ベスは本を開いた。

 

「ふーん『開心術』ね……これ私才能ありそうだわ」

『ま、まぁ貴女の前じゃ皆心を許しちゃうものね……』

「レジリメンス」

 

 ベスが杖をマートルに向かって振った。

 途端に、マートルの思考が頭の中に流れ込んでくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ずっと思ってた……』

 

『なんで死んじゃったんだろうって……。もっといろんなことがしたかったって……』

 

『女子トイレの変態ごときにぶっ殺される人生だった……って』

 

『でも』

 

『ここで死んだから……この子に、ベスに出会えたんだったら……』

 

 

 

 

 

 

 

『そんな……悪いことじゃ……なかったな……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおー」

『見ないでよぉおおおおおおおお!! わ、私の心! 見ちゃ嫌ーーーーーーー!!』

「すっげーわこれ。よし、これ使って尋問します。ねぇ、マートル。このゴーストで一番古いの――ぶっちゃけホグワーツ創立位から居るんじゃね? って位古いゴーストは誰?」

『え……? えぇっとそうね……多分レイブンクローの灰色のレディとかいう女よ! 純血万歳』

「ちょっと開心してくる」

 

 

 

 ホグワーツ西塔5階。

 

 

 

「こんにちわ灰色のレディさん」

『帰れ』

「ちょっとお話宜しいでしょうか?」

『失せろ』

「素敵なスコットランド訛りですね。私も独立運動に興味があります」

『ゴミから多少話の分かるクソガキだと見直します』

「(この女……)」

 

 ベスはゴーストぶっ殺す方法ってないかなーと考えはじめた。

 確かグリフィンドールの地縛霊がそれ死んでいたハズだ。

 

「あなたに聞きたいことがあります」

『何ですか』

「ぶっちゃけ秘密の部屋どこですか」

『言うと思ってんのか、死ね』

「すみませんぺこり、お辞儀します」(クソが……)

『やっぱりウジムシ程度に評価を下げます、さっさと消えろ、それ以上何か抜かすなら吊し上げるぞ』

「ヒェ……!」

 

 ベスはとりあえず諦めた。

 

「では質問2です。なんか禁書棚にマグル臭い本がありました。読んでみたら薄汚いマグルの所業が書かれていたエゲツないものでした。腹が立ったので棚ごと火葬にしておきましたけど」

『マジかよ』

「ぶっちゃけアレは何だったんですか? なんでホグワーツに汚らわしいマグル世界のクソ異物が置いてあるんですか? うんこですか?」

『脳みそついてんだろ自分で考えれば? その頭なんのためについてるの? 飾りなの? ヘルメットなの?』

「あなた程良くないんですよ~~」

『私が天才とか最早魔法界レベルの常識。したがって誉めても出さねーよ、すり寄りご苦労。はい、さようなら』

「お辞儀します」

『あっそ』

「土下座します」

『プライドないの?』

 

 

 

 その瞬間。

 

 ベスは。

 

 

 何の脈絡もなく。

 

 

 

 ブチ切れた。

 

 

 

 

 

「油断したなぁ! レジリメンス!!」

『ヴォアアアアアアアアーーーー!』

 

 灰色のレディが大よそレディに相応しくない悲鳴をあげた。

 

 

「やったー開心術とか超便利だわ――! もう楽勝じゃない! さぁ心の中を見せなさいー!」

『やっ……駄目……! ダメぇ! みちゃらめぇええええええ!!』

 

 なんか灰色のレディが言ってたけど、ベスは虫のたわごとだと思うことにした。

 

 

 

 

 

 

 

『ずっと思ってた……』

 

 

『私はお母様より……優秀な人間になりたかった』

 

 

 

『でも駄目だった』

 

 

 

『私は何処に行っても、あの『レイブンクロー』の娘だと呼ばれた』

 

 

 

『どんなに頑張っても――――努力しても。結局色眼鏡でしか、見てもらえなかった』

 

 

 

『……もう、うんざりだった』

 

 

 

『どこに行っても――『血』が私を縛る。

 

 そして。心の底では気づいていた……』

 

 

 

 

『私は……母を越えられない…………』

 

 

 

 

 

『だけど……認めたくなかった』

 

 

 

 

『だから、逃げ出した……私は……』

 

 

 

 

『でも……でも……本当は……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………ごめんなさい……お母様……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は? なんじゃこりゃ」

 

『うっ……うぅっ……! 見ないでって……見ないでって言ったのにっ……!』

 

「有益な情報が何一つありませんでした。やっぱり自分で考えますさようなら」

 

『うぅ……うぅっ……! うぇええええええん!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「放火魔女ハーマイオニー」さんは、無残な姿で発見されました。

「監督生パーシーの彼女」さんは、無残な姿で発見されました。

 

「赤毛末っ子のジニー」さんは姿を消しました。

 

 

 

 彼女の骸は永遠に秘密の部屋に横たわるっぽいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もちろんそんなことはさせません。僕たちがぶっ殺すことにしました」

「マジか……でも、何でここに居るんだお前ら」

「別に気にするなよ、僕は自分の家族を救いに行く、それ以上でも以下でもないんだから」

「……」

「ベス、攫われたのはロンの妹なんだ。ロンの家族なんだ、だから僕たちは助けに行くんだ」

「……なんだよ、またどうせ血を裏切るとか何とか言うんだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベスは便器を磨くブラシを止めた。

 

 

 

 

 

 

「いいわよ、手伝ってあげるわ」

「!?」

「何よ。万年貧乏性赤毛オブザ血の裏切り。この私が、ベス・ラドフォードが手を貸してあげてるって言うんだから本気で這いつくばってお辞儀しなさいよ」

「……え? おま……誰……?」

 

 ロナウド・ビリウス・ウィーズリーは驚愕で目をいっぱいに開いていた。

 

 

「え……? は?」

 

 

 

「いいからさっさとテメ―の妹を助けに行くわよ。勝算はあるんでしょうね? まずは情報共有から行きましょう。

 

 とりあえず知ってることを全て洗いざらい吐きなさい。()()()()()()

 

 

 

 

 ハリーが眼鏡の奥で、ニッコニコ笑っていた。

 

 

 

 

 

「だからいつも言ってるだろ? ベスは悪い子じゃないって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「強力な助っ人ですね!! えぇはい! では私はもう必要ありませんね! この私! ギルデロイ・ロックハート!!」

「シレンシオ」

 

 




次回の更新は月曜日になります。スマンの!!

秘密の部屋突入からーー!

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