少女はお辞儀することにした   作:ウンバボ族の強襲

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ポリジュース薬製造期間

 それは、大広間だった。

 

 晩飯だから嫌でも全員来なければならない。

 生徒たちは不安半分、恐怖半分でそれを誤魔化すために色々話していた。

 

「死体2だって……」

「呪殺かな……?」

「猫じゃね?」

「ゴーストまで死ぬとか……」

「グリフィンドールとハッフルからまた死体が上がったよ」

「レイブンクローとスリザリンが怪しい……あの寮を焼き払おう」

「やめろ! グレンジャーより先に火をつけるな! あの魔女に消し炭にされるぞ!」

 

 

 五月蠅い生徒たちを黙らせ。ホグワーツの暴君、別名校長が口を開く。

 

 

 

「生徒諸君、決闘大会の様子まずまずじゃった。ワシは面白かった。腹いたいわ」

 

 

 

 

「相変わらずヒデーな」

「何て奴だ……化け物め……! 悪魔!」

「黙れ! 校長に聞かれたらアバダが来るぞ!」

 

 

 

「最近ようやく愚民共も礼儀というものが分かってきた様じゃな。結構結構。何、案ずることなどなにもない。お前らの代わりなんぞいくらでもおる。お前ら生徒のクソ雑巾兵が2人死のうが 2兆人死のうが 何人死のうが知ったことではないからの。

 

 

 ほれ、見るがよい――――敗残者の成れの果てじゃ」

 

 

 

 ダンブルドアが指さした方向には、相変わらず上半身が天井にのめりこんだままシャンデリアと化されているノットの姿があった。

 スリザリン生、特に監督生のジェマやクィディッチキャプテンのフリントは見るに堪えない、という表情を浮かべていた。

 

 

「ああなりたくなかったら切磋琢磨せよ、学べ、戦え、強くなれ。

 

 勝たなきゃゴミじゃ! それでは晩餐にしようかの」

 

 テーブルの上には大量のチキンがともされてある。

 その横には、ハンバーガーの山があった。

 

 晩飯なのに、バーガーか、フライドチキンかの2択を迫られるホグワーツ生たち。

 晩飯なのに。

 

 

 

「やってらんねークソ飯だ。もっと良いモノ食わせろカスが。バーガー下さい。いただきます」

 

 

 勇敢なるグリフィンドールの生徒の一人がバーガーを手に取る。

 食べる。

 数秒後。

 

 

 

 

 口からおびただしい血と泡を吹いて、ぱたり、と倒れた。

 

 

 

 ホグワーツ警備の鎧たちがわっせわっせと何も言わずに医務室に運んでいく。

 本当に医務室に連れていかれたのかどうかは誰も分からない。

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

「良い忘れておったの。ワシは根っからのフライドチキン派じゃ。その昔カーネ●・サンダースに誓ったのじゃ。ヤキトリ最高ーー!と。もちろんペットも不死鳥じゃ。いつでもヤキトリパーティーが出来るでの。変なパンと牛の屑肉の混ぜ合わせなんてえげつないもの喰うアホはこの学校に居ないと思うが胃まで溶けて死ぬがよい」

 

 

 

「「「「…………!」」」」

 

 

 生徒たちは、悟る。

 

 

 この校長。見てるだけでは飽き足らず――ついに参戦して来やがった、と。

 

 

 

 

 

「は、はは! と、当然です! ヤキトリサイコー! ヤキトリを食べます!」

「や、やめろ迂闊に手を出すな! あの校長のことだ何を考えてるかわかr――」

「大丈夫だ俺は校長を信じ――ひでぶ」

「あああああああああ! そんな……そんなっ……! ガブリエルーーーーーー!」

 

 

 ハッフルパフの監督生ガブリエル・トゥールマンは物凄い速度で腹を下し、トイレに駆け込んでいきました。

 

 

 バーガーのみならず、フライドキチンもアウトだったという事実に生徒たちは驚愕した。

 一体どうしたんだ校長。ついにジェノサイド発動か校長。

 だがその謎はすぐに解かれることになる。

 

 

 

 

「変な眼鏡のクソ爺を盲信する奴は黙ってヤキトリを喰らいなさい……! らんらん●ーにしてあげますとも! えぇ! この私! マクゴナガルが!」

 

 

「「「「婆何してんだテメエエエエエエエエエ!!」」」」

「もう皆死ぬしかないじゃない……!」

「毒しかねえのか……! ファストフードは……毒しかねーのか……!」

「マクゴナガルがマクドナ●ドの回し者だったなんて……っ!」

「らんらん●ー!」

 

 鶏肉と牛肉。

 ドナ●ドとサンダース。

 今、究極のバトルが幕を上げる――!

 

 

 どっちも新大陸のモンだとかそうゆう細かいことは誰も気にしていなかった。

 

 

「皆! コレを丸のみしろ! 食ったらすぐ飲むんだ!」

「一人一個だからね! ほら!」

 

 スリザリンのテーブルでジェマとフリントが何か配り始める。

 それは、しなびた何かだった。

 

「これ……」

「ザビニ知ってるよ……これ……ベゾアールだ……」

「そうだ! 寮監からかっぱらってきた!」

「スネイプの部屋は今頃更地よ! 問題ないわ!」

「マジか……」

「これで助かる……これで助かる……!」

「もうやだフォイ……カエリタイ……」

「うまー!うまー!」

「エネルギー変換中……エネルギー変換中……」

「や、やめろよせ! クラッブ! ゴイル! 死ぬフォイ! 何……お前ら……喰えるのか……!?」

 

 たのしい晩餐会は終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キュコキュコと、ハリーとベスは仲良く便器を磨いていた。

 

『ちょっと、ベス。何よコイツ……何かフレモントに似てるわね』

「人違いよ」

「僕に似てる誰かだね」

『そうね。でもよく見たら素敵じゃない。スリザリンなの?』

「だったら良かったんだけどね。残念だけどグリカスよ」

『死ねグリカス、純血万歳』

「ゴーストから言われると怖いからやめて、ところでベスは秘密の部屋の継承者って誰だと思う?」

「お前」

「君も僕がパーセルタングだから疑ってるの……? はぁ……」

「それもあるけどハリーは地味に腹黒いから超怖い。あとグリフィンドール関係者が死に過ぎだわ。いい?」

 

 ベスは便器に洗剤で文字を書く。

 

 

 初回 :ミセスノリス(猫)

 2回目:グリフィンドール1年生、レイブンクロー1年生(モブ)

 3回目:コリン・クリービー(グリフィン1年生)

 4回目:ジャスティン(ハッフル2年生)ニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン卿(グリフィン霊)

 

 

「コレはグリフィンドールが襲われている=グリフィンドールに継承者はいないって考えるのがセオリーかもだけど貴方ならその裏をかいてあえてグリフィンドール生ばっかり狙っている可能性もあるわ。結論、お前継承者、死ね!」

「違うから殺さないで。というか僕的にはレイブンクローの沈黙が怖いね」

「おったまげ~~。マー髭な極論で人に罪を擦り付ける簡単な作業お疲れ様ですラドフォードさん。今日もお綺麗なお便器ですこと」

「ご機嫌ようウィーズリーさん。あら、性根が曲がっていてよー?」

「ははっ! 真実を湾曲する君よりはマシさ!」

「黙れお前ら全員燃やすぞ」

 

『お前らここ女子トイレってコト分かってんだろうな純血万歳。女子外が2匹ほど混ざってるんだけど吊っていい? 純血万歳』

 

 マートルがさらりと正論。

 

「というかあなた何煮込んでるのよ穢れた血」

「あなたには一切関係ないし、喋る気もありませんハイ終了」

「どうせ爆薬でも煮詰めてるんでしょ。この学校爆破する気なの?」

「それは最終手段よ。あなたもノット2号にされたくなかったら黙ってなさい」

「ヒェ……! 申し訳ありませんでしたお辞儀しますぺこり」

「許します、だたし、2度目はないと思え」

『ベス死んじゃったら私と一緒にトイレに住んで、二人で清く正しく、時に百合っぽく生きていきましょう! 純血万歳』

「マー髭……。ハリー、秘密の部屋はココにあったんだ……。秘密の部屋の怪物共が魔法世界を殲滅するための拠点をブッ建てる宣言してるや!」

「じゃあさ、ベス。スリザリン寮でそうゆう話はしないの? 誰が秘密の部屋の継承者だとかそうゆう感じの」

「しないわ。というか皆、お前らグリカスが襲ってくる恐怖から点数と下級生を守る作戦を立てるだけで精一杯って感じだわ。犯人探しより目の前の狂団相手にどう生き残るかの方が先決よ。

 唯一頭が回るノットはシャンデリアになっちゃったしね」

 

「したの君だろ」

「黙れ今すぐここで石にされたいかウィーズリー」

 

「……ふーん……そーなんだー……へぇ……。まぁいいよ分かった」

「これスリカス寮に潜り込んだら火つけて焼き払った方が話が早そうだわ」

「ハーマイオニー……君、変わったね……」

「何言ってるの? 『賢者の石』事件から私は火関係ばっかりだわ」

『放火魔トイレから出ていけよ純血万歳』

「そうよ穢れた血学校から出ていきなさいよ」

 

 

『……え…………?』

 

 

 マートルの眼鏡がぴくっ、ぴくっと動く。

 

 

 

「……何よどうしたのよマートル? ……マートル?」

「あ」

「あ」

「察し」

 

『…………穢れた血……穢れた血……けがれた……ち……』

 

「だから何よマートルってば!」

「君鈍いね。まだ分からないのかい流石スリカス! 脳みそカッスカスだね!」

「ベス……ちょっと隠れた方がいいかも……」

「適当な個室を見つけて入ります」

 

 

『う、うわあああああああああああああああん! 穢れた血! 穢れた血!! 裏切った……裏切ったぁああああああああああああああああ! ベスが! 信じてたのに! 信じてたのに裏切ったぁあああああああああああああああ!あああああああああああああああ!』

 

「え……は……?」

 

『みんなそう言うんだからぁああああああああ! ああああああああああああ!  

 でもベスだけは違うと思ってたのに……ベスだけは良い子だと思ってのに! 

 やっぱり!! 貴女も!! 馬鹿にしてたんだぁあああああああああああ! 私のこと! 馬鹿に!したんだぁああああああああああああああああ!』

 

「おっふ……」

 

『あなたの気持ちは良く分かりました。そうだったんですね。さぞ面白かったでしょうね。こっちは50年ぶり、はじめての友達だと思ってたのに影で舌を出して笑っていたんですものね!! 私の人生こんなんばっかりだわ! あぁもう終わっちゃったけど!! うぁああああああああん!』

 

「……マートル……」

 

『うるさいわね! うるさいわねうるさいわね!』

 

「マートル!!」

 

 

 

(ヤバい……)

 

 ベスはガチで焦っていた。

 

(このままじゃ私の―――ホグワーツ全トイレ化計画が……! くそ! 穢れた血と血の裏切りのダブルブラッドコンビめ……! しょうがないわ……ここでマートルを言いくるめる! それしか道はない!!)

 

「あ、ロクでもないこと考えてるぞあのガチ屑女」

「何でロンはそんなにベスのコトを悪く言いたがるんだ? 流石に僕怒るよ」

「君こそ何でクィディッチの度に殺されかかってるのに弁護するんだよ眼鏡曇ってんのか」

 

 

 

「マートル!! あなたは――あなたは! 穢れた血なんかじゃないわ!!」

 

 

『……え?』

「は?」

「何言ってんだ」

「流石に草」

 

(るっせーなグリカス×3……)

 

 本気でこの仲良し三人組をぶっ殺そうかと一瞬思案しかけたベスだった。

 

 

 

「人は生まれを選ぶことはできない! 人は――どんなに苦しくても、悲しくても! 生まれた場所も、両親も、選ぶことはできないわ!! でも――生き方は選ぶことが出来る!! この場合の生き方っていうのは心の在り方よ!!」

 

『……でも……!』

 

「聞きなさい! マートル・エリザベス!!」

 

『!? ……あなた……どうして……!?』

 

「……大事な友達の名前だもの。忘れる訳ないでしょ」

 

 

(当たったよ……セェーーフ……)

 

 

 完全にデマカセだった。

 

 

「そこの鏡であなたの姿をよく見なさい! あなたに血は流れてる!? あなたに! 『穢れた血』は流れているの!? 違うでしょう!!

 

 ゴーストのあなたに――――血なんか流れてないでしょう!?」

 

 

 自寮のゴーストが血みどろ男爵なのは棚の上。

 

 

『私は……』

 

 

「あなたは『穢れた血』なんかじゃない!! そうでしょう! マートル!!」

 

 

 

 

 

『……私は……穢れた血なんかじゃ……ない……! そうだ……私は穢れてない……! 魔法使いなんだ……!

 

 

 

 

 

 

 純血万歳!!』

 

 

 

 

 

 

「うわ……」(退)

「チョロいなぁ……本当……」

「この会話初めから終わりまで全てがクソだわ」

 

 ハーマイオニーが煮えたぎる鍋を抱えながらつぶやいた。


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