※ロックハートブレイク注意
「さぁ皆さん! この私! マーリン勲章勲三等、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、そしてチャーミングスマイル賞五回連続受賞なギルデローイ☆ロックハート♪の授業ですよーー!
今日は人狼をぶっ殺した話をやりますよーーーー! 人狼役は~~だ~れかなっ☆」
「「「「キャーーーーーッ! ロックハート先生カッコイイーーーーっ!!」」」」
「ハリー! ハリー!ハリーハリー! 君に決めたぁ! さぁ皆さん! 拍手を以てお出迎え下さい――ハリィイイイイ・ポッタァアアアアアアアアア!」
「「「「キャーーーーッ! ハリーーーー! 素敵ーーーーーーーー!」」」」
「アレ? 変だなぁ何だか悪い気はしないぞ」
「男なんてそんな生き物だよハリー! さぁ! 早く早く早く!」
壇上に上がるハリー。
薄暗い部屋の中、カッ!と大きな光が二人を照らす。
ハリーの方は若干薄暗い感じで禍々しく。そしてロックハート様の方はどこまでも煌びやかに。
尚照明係はコーンウォール地方のピクシー小妖精。
スタッフピクシーの他に、監督ピクシーやレフ版を掲げているピクシー。その他のピクシーは籠の中に入れられ、小さなハッピと鉢巻、そしてド●キあたりで売ってそうな『光る魔法の棒』をもって踊り狂っていた。
「ハリー、さぁ大きく吠えてー! さぁ始めますよ~~! ミュージック! すたぁーと☆」
「ピギュイー!」(キャー!ロックハートサマステキー)
ピクシー妖精がスイッチを押すと、蓄音機から音楽が鳴る。
すると突然、まばゆいばかりのスポットライトが飛び出したロックハートを映し出す。
何時の間に着替えたのかキャップを斜めに被りオーバーサイズのTシャツをきたロックハートが現れる。
重たいサウンドがスピーカーから響く。マジックの始まりだ。
「マーリン三等勲章SYO! 俺のSHOW! チャーミングスマイル賞受SYOU!
このイカレた魔法界KAI! 全KAI! 倒KAI! 大誤KAI!
そんな世界に舞い降りた俺、ロックハート
俺のJUGYOUを聞いてくれ、SAY HO HO HO HO!」
ノリノリのロックハートは止まらない。
「吠えるJINROU! 響くHOUKOU! 俺のKOUDOU! 敵はTENTOU!
杖つきつけ呪文かける! ハイこの呪文はSAY HO HO HO HO!」
「『異KYOU! 戻しの! 呪文』です!」
「グリフィンドールに10点!」
「キャ――! ありがとうございまぁああす!」
「ハーマイオニー……今年の君はおかしいよ」
ピクシー妖精のプレイも好調だ。オーディエンスの熱狂はこわいくらいだ。
まだ、俺らの時代は始まったばかりだ、そんなメッセージがロックハートの口から飛び出していく。
本物のヒップホップが、ここに存在した。
「ハーマイオニーです授業が終わりました。サインを貰いに行きます」
「おやどうしたんですか可愛らしい栗毛のお嬢さん! おや~君は何をやっても1番のハーマイオニーさんですね!」
「お、覚えててくれたんですか……あ、ありがとうございます!!」
「スネイプの糞授業が終わったので飛んできました。どうもラドフォードです。サイン下さい!!」
「HAHAHAHAHAHA! 君はスリザリンの優等生、ベス・ラドフォードですね!! 私のサインが欲しいんですかな? やれやれ困った子猫ちゃんたちだ……」
「や……やだ先生ったら……も……もぅ~~!」
「物マネします。まるでマネ妖怪の様に。にゃんこ~~! にゃ~~にゃ~~!」
「HAHAHAHAHAHA! 可愛らしいのでスリザリンに5て――」
「させるかぁああ!」
「あ? 邪魔すんなこの穢れた血のガリ勉ブス!!」
「黙んなさい自称純血下半身デブ!!」
「――――冗談ですよw」
「ヒップホップなロックハートとラドフォードをぶっ殺したくなってきた」
「抑えてロン」
「サインですねー? サインですねーー? いいでしょう! いいでしょう! ところでコレは禁じられた棚のー」
「はい!『グールお化けとのクールな散策』に出てくるゆっくり毒薬について知りたくて!」
「んー? 君もですね~~ベス・ラドフォードさん?」
「はい! 『愛の妙薬』であなたの全てが知りたくて!!」
「HAHAHAHAHA! 積極的な子たちですね! 私は可愛い子は大好きですよ! 女の子は基本大好きですけどね! あと10年くらいしてココとかココとかもっと大きくなったらまた来てください! さらさらさらりっと。ハバナイスディ☆」
「「きゃーーーーっ! ロックハート先生マジチャーミングーーーー!!」」
イケメンにしか許されないウィンクをぶっ飛ばしたロックハートはその後すたすたと消えていった。
残された子猫ちゃん()たちは、飼い主が居なくなったのでにらみ合う。
「……穢れた血」
「……便所女」
そして肩を組む。
「「今回だけは認めてあげるわ――ロックハート先生最高ーーーーっ!!」」
イケメンは、正義だった。
それは、思想も、正義も、血でさえも――凌駕する。
●
「スリザリンには我々よりも優れたホウキがあるーー!」
「だね」
「それは否定すべくもない! だがしかし!! 我々には敵より優れた乗り手がいる! それは厳しい訓練を勝ち抜いてきたからこそ証明できたハズだ!! 思い出せ! そのつらい訓練の日々を! 今こそ訓練の成果をスリザリンの目に焼き付けてやれ!!」
「そうだね」
「そしてあの糞小賢しいネチネチのフォイカスが金の力でチームに入るのを許したその日を――連中に後悔させてやれ!!」
「分かった」
「良いな! 君次第だハリー! 目にモノ見せてやれ。フォイカスよりも先にスニッチを掴め!
然らずんば! 死あるのみだ!!」
「え……えぇー……」
「気にすんなよハリー」
「そうだ、コイツのいう事は半分にしとけ……」
「シーカーの資格とは何なのか――あの金持ちのボンボンに教えてやれ!!
獅子王の旗の名に誓い!! 野郎共ぉおおぉおお!」
「あら?」
「女性もいるんだけどー?」
「知らん!! クィディッチをやる奴はぁああーーー!
漢の中の漢ぉおおおおおおおお! レディースエーン! 野郎どもぉおおおおおおおおおおおお!」
「「「「「狩りの時間だぁああああああああああああああ!!」」」」」
「ウッドこゎ……」
同時刻、スリザリン幕内。
「いいか! 今年の我々は奴らを上回る『速度』という武器を手に入れたァアーーーー! ルシウス・マルフォイにぃいいい! 敬礼ぇえええええ!!」
「ありがとうございます」
「本当に本当に、ありがとうございます」
「これで勝つる!」
「だが油断はするな! ドラコ! お前次第だ!! ポッターよりも先にスニッチを奪え!! ビーター! ベスとボールはドラコを守れ!」
「ほいよー」
「やっぱオレも2001が良かったよーーうわあああん!」
「黙れ石化されてぇか」
「ヒェ……!」
「あのクソ調子こいた傷モノ眼鏡に目にモノ見せてやれ!! 去年の雪辱! 雪ぐときは今! 貴様等は何だ!!」
「「「「我らスリザリン! ホグワーツ最強の末裔也!!!!」」」」
「時は来た! 箒を掲げろ!! 柄を起こせ!! 純血の誇りの名のもとに――奴らに身の程を教育してやれぇえええ!!」
(んー……そう言えばコレって……)
ベスは何となく引っかかるものを感じながら空へと飛びあがっていくのだった。
「フォイ! この僕にかかればこんな試合さっさと終わらせてや――うわやばい本当やばいみんな見てる……き、緊張してきたっフォイ……お腹痛い」
「耐えろ。男だろ」
マダムフーチが「戦端を開くのは貴様等だぁああ!」という激をぶっ飛ばし、ぴーっと笛をふいた。
飛び上がる。赤玉、戦犯玉、そして偽ティ●キャンピー。
そんなかんじで試合開始。
『始まりましたァアーー! グリフィンドールvsスリザリン! ホグワーツの誇る愚連隊集団グリカスと今世紀最大の波にノってるスリカスバトルでーーす! 今回スリザリン! ビーターの二人以外は全員ホウキをニンバス2001にアップデートしてでの戦いになります! 金にモノをいわせた薄汚い手を使いますねーーロクな大人にならないでしょう! 呪われてあれ!』
『マクゴナガルです。ジョーダン、いきなり呪いをブチかますのはおやめなさい。私だって我慢しているのですから』
『……HAHAHAHAHA! 冗談です!』
始まると同時に。
クィディッチを危険な競技にしやがった戦犯球、別名ブラッジャーがハリーの眼鏡をぶっ壊すべくびゅんびゅんとハリー向かってぶっ飛んでいく。
「うわ危な」
「ハリー! 伏せてなぁ!」
双子の人間ブラッジャーとも言われるジョージ・ウィーズリーがソイツをバッコーンと打ち返す。
その方角にはフリントが居た。
ここはブロックして更にハリーを狙う――と考えていたベスは、次の瞬間驚愕することになった。
「なっ!?」
「え……!?」
ブラッジャーが。
そのまま。
旋回してハリーの眼鏡をぶっ壊す為にローリングツイストをぶちカマス――――!
「うわあああああ!?」
ギリギリの軌道で回避するハリー。
ハリーの肩の上、首のすぐ横をブラッジャーが高速回転して飛んで行った。髪が数本道連れにされる。
あと数ミリずれていたら、グリフィンドールの深紅のローブが更に赤くなっていただろう。
ハリーはごくり、と唾を飲み込んだ。
「は……? うそ……だろ……!?」
「おい!何やってんだジョージ!?」
「フレッド! あのブラッジャー可笑しい! スリカス共が細工したんだ!」
「マジでか。兄弟作戦変更だ! シーカーを守るぞ! 鉄板護衛に変更!」
グリフィンドールビーターコンビはハリーを鉄板護衛することにした。
シーカーの為に盾となるウィーズリーの双子。凄い騎士っぽい。
一方その光景を見ていたベスは。
呆然とした。
「……は? なにこれ?」
「おいベス! ブラッジャーが1個見当たんねー! これじゃあ作戦がメッチャクチャに……うぉ!?」
「ブラッジャーが……一人の選手を狙うなんて……」
「マジか……これは……」
二人が出した結論。
「神が」
「スリザリンに」
「「味方してる!!」」
大体間違っても居ないが絶対当たってない答えへと辿り着いた。
「コレはハリーを殺すチャンスです。ボールさん、ゲームメイクはお願いします。私はブラッジャーさんと共闘し、グリフィンドールのシーカーを殺します」
「分かりましたお願いします。ブラッジャー1個で霍乱はキツイですけど何とかなります。相手はウィーズリー双子です気を付けてください」
ベスは飛び上がってブラッジャーを見る。
マジでハリーをブチ殺そうとしている様だった。
(見える――聞こえる――!)
ブラッジャーの声が。
(私に語り掛けて来る―――!)
ブラッジャーが。
「ハリーを殺せと……言ってるわ!!」
ソレで良いんだよ……ベス。
ブラッジャーがそう言っているかのような幻聴すら、聞こえた。
今、ブラッジャーとベスの心は一つになる。
彼女は渾身の力を込めて。
バットを――フルスイングした。
「あべし!!」
「フレッドォオオー!!」
「……ジョージ、ごめん、僕から離れてくれ!!」
「何でだ!? 敵を討たせろ! ハリー!」
「いいから!! 僕に考えがある!! ブラッジャーがイカレてるなら――――利用してやればいいんだよ!!」
「……え?」
「ブラッジャーは僕だけを追尾する、だからそこを突くんだ! だから僕から離れて!」
「……分かった、でも気を付けろよハリー!! 幸運を!!」
(……赤毛が離れた……?)
ハリーをブラッジャーと追いかけていたベスが赤毛が離れたことを確認する。
腕を突き上げてボールに示す。『ビーターが一匹そっち行った』と。
ニンバスの高速を追尾していく中で、ベスは気づいた。
(やばい……この高度……!)
ハリーは急降下をやるつもりだ――。
ベスは直感的にそれを悟った。
だが、だとしたら操作性と安定性の勝るクリーンスリープ7号を使っている自分の方が有利だ。
ただ問題は。
追いつけないのだ。
ベスは真下を見て目を見開く。
「……!」
「ふ、フォオオオオオオオオオオオオオオオオオイ!!」
多分、ハリーが急降下攻撃を仕掛けてくると思ったのだろう。マルフォイが恐怖を顔にはりつけて真っ青になっていた。
だが、違う。
恐らくは違う。
マルフォイを攻撃するのは――――ハリーではない。
「ベス! どうしたーー」
「シーカー同士の殴り合い!」
「何だと……!? 追尾できないか!」
「駄目! ニンバスに追いつけない!」
「ああクソっ! だから2001に乗り換えろと……」
「だって、2001って……黒くてシュッとしてて綺麗だけど――――見た目全然可愛くないんだもの!! クリスの7号の方が白くて綺麗で私に似合うでしょ!!」
「お前そんな理由かぁあああああああ!」
ベスも分かっていた。
今回だけは完全に自分の采配ミスだった。
2001なら訓練次第で乗りこなせただろう、今ハリーに追いつくことは余裕だっただろう。
でも、何か見た目が気に喰わなかったのだ。可愛くなかったのだ。仕方ない。
ベスはただ一つの可能性に賭けることにした。
(私じゃハリーに追いつけない――でも……でも! 何もハリーに追いつけなくてもいい!!)
ハリーはマルフォイに向かって急降下する。
「マルフォイ!死に晒せぇえええええええええええええええええええ!」
「うわあああああsぁささあささぁxka@ka@ーーーーー!」
既に腕は一本死んだ。
もう、なにもこわくない。
「いっけぇええええええええええええ!」
ベスが、ゲームメイカーであったもうひとつのブラッジャーを振りかざす。
ココからは追いつけない。
自分の箒じゃハリーの速度に敵わない。
だが。
ブラッジャーなら。
ハリーを追尾する狂ったブラッジャーと、ベスの放ったブラッジャーが。
マルフォイの手前で追突からの爆散した。
派手な光と耳をつんざくような断末魔を上げ――ブラッジャーは死んだ。
「……えっ? ……えっ?」
あとは涙目なマルフォイだけが残った。
ただのフォイカスである。
試合終了のホイッスルと共に、フリントが上から降りて来た。
「おい! フォイカス!!」
「な、何だフォイ……?」
「目の前だ!! 目の前!! めーーーのーーーまーーーえ!! そこに! スニカスがあったのに! なんで気づかないんだ!! 元鳥なんかぶっ殺せ!! 絶滅させろ!! ほーろーぼーせーー!!」
「フリントこゎ。。。」
「だが――」
「……?」
「「「「勝ったぞぉおおおおおおおおおお!!」」」」
スコア。160-150.
スリザリンの勝利だった。
「試合終了ギリギリでフリントが入れたんだ!」
「流石キャプテン!!」
「当然! ジェマの前でカッコ悪い所見せらんねぇもんな……!」
「キャプテンーーーー!」
「やったわ! ありがとうキャプテン流石ー! このまま哀れな眼鏡の敗残者の顔を眺めに行きます」
「僕も行くフォイ!」
勝ったけど負けた眼鏡は地面につっぷして死んでいた。
「ハリー! あぁハリー! 大丈夫ですよーHAHAHAHAHA! 何問題ありません! 今すぐ治してあげますとも! えぇそうです! この私! マーリン勲章勲三等、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、そしてチャーミングスマイル賞五回連続受賞なギルデローイ☆ロックハート♪ がね!」
グリカスの女共が反応する。
「「「「キャーーーーっ! ロックハート先生ーーーーー!!」」」」
「やめて……」
「怖がることは有りませんよハリー! さぁ怖がらないで……力抜いて……深呼吸……」
「マジやめて」
「暴れんなよ……暴れんなよ……!」
「やめろ……触るな……! 僕に! 触れるな!!」
「†悔い改めて†」
「ロックハート先生ハリーの表情スゴ! スゴ!! 写真とります! やったーー! これでピューリッツァー狙えるーーー!」
「HAHAHAHAHAHA! チャーミング☆スマイル!!」
「アーーーーッ!」
ハリーは骨抜きになりました。
スリザリンの監督生。知的な美女、ジェマ・ファーレイがそれをガン見し、鼻から純血を迸らせながら目をギラギラさせていた。
「やだ……! 今年はサラゴドの年かと思ってたら大穴じゃない……! 素材の提供ありがとうございました。フリント! 羽ペンはここにあるわ! 羊皮紙も出したわ! 机になって!! 机になってーー! この案書き留めておかないと――!」
「フリントです。絶望しました。昏倒します」
「「「「キャプテーン!!」」」」
後日。
「ハリーファンのコリン」は無残な姿で発見されました。