「クィデッチだ!!」
「うわっ!? 朝から何!? ウッド!?」
「クィディッチだーーーーーーーーーーーーー!!」
「わ、分かったよ! 着替えるから待って……」
「クィ・ディ・ッチ!! DAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
「あー……イエス! クィディッチ!! アイムクィディッチ! クィディッチだ!!」
「それでこそ男だ! 全員今すぐ校庭に出ろぉおおおおおおお! 狩りの時間だぁあああああああああああ!」
「そんな感じでこれから校庭で練習をしようと思っていましたグリフィンドールです。おはようございます」
「おはようございますグリフィンドールの皆さん。スリザリンのキャプテンフリントです」
「あぁ? フリント? テメ―なんで校庭使うんだよ俺らが予約してただろーが失せろカス」
「どっこい、お墨付きだ」
『吾輩スネイプはスリザリンの新しいシーカーを訓練すべく校庭の使用許可を出すものであ……ある、だから落ち着けフリントやめろおい何をするフリントやめ……かゆ、うま』(ここから先は血で染まって読むことが出来ない)
「……新しいシーカー? 誰それ?」
「テレンスは?」
「どうしたん?」
「卒業したよ。グリンゴッツだってよ。歴戦のシーカーも今じゃ立派な銀行マンだよ。ただしコネ入社のな」
「うっわマジか」
「腐ってやがる」
「「コレが魔法社会の歪みだな!」」
「だまれ人間ブラッジャーズ。さっさと出ろ新シーカー」
「どうもこんにちわマルフォイです」
ハリーは目を丸くした。
「マジで……!? 去年ホウキ初心者だった僕にまんまと出し抜かれた奴じゃないか! どうしたんだよスリザリン。自分たちから優勝杯を破棄するだと……! そんな……そんなバカな!」
「スリザリンさんが……そんな……! 自分から勝ち目を潰していくなんて……!」
「フリント……僕は君を誤解していた……君は実はグリフィンドールの味方だったのか……!」
「流石フリントさん! 僕たちに出来ないことを平然とやってのけるッ!」
「手の込んだサレンダーと推測」
「これで優勝は獅子寮かと予測」
「「本当に、本当にありがとうございました! これで優勝は僕たちです!」」
「言ってろグリカス共」
ここまで言われれば流石のマルフォイ激おこ。
「ともあれクィディッチだ。さっさとそこ退けよ」
「やだ! フリントどかない! この新しくリニューアルされたニンバス2001を試したいんだよ!!」
「はぁ? お前の箒がニンバスとか寝言は寝ていってくださいませ。組分け帽子に脳みそ吸い取られたのかテメ……うわ本当だ!?」
「ニンバス2001が…………14本だと……!?」
「ん? あれ?」
グリカス共はスリカス共の箒を確認して気づく。
「ビーターズは乗り換えなかったのか」
「当然よ。チェイサーやシーカーと違ってビーターはチェイサー共を捉える動体視力、ついでにブラッジャーに追いつけるだけの速度があればいいもの。必要なのは速度よりも安定と加速力よ。だったらクリーンスイープで十分じゃないの」
「……て相方が言うからしゃーないわ。あーあ……俺ニンバス乗りたかったなぁー……はぁ……」
ベスのわがままにつき合わされたボールは深々とため息を漏らした。
本当は乗りたかった。
速度は正義だ。
だって男の子だもん。
「とりあえず、『最新型』たるこの第三世代のホウキは、クリーンスイープシリーズはもとより、ニンバス2000型にもはるかに水を開ける。そこにある旧型なんかじゃ話にならないね」
「旧型は旧型なりの仕事をして頂ければいいと思います」
「おい、なんで練習してないの?」
「何してるのよ? あら……スリザリンの……」
「貧乏赤毛増えたーー!」
「増えた増えたーー! 怪奇!」
「うっわ出た。クソフォイとホグワーツトイレ清掃員だ」
「いいでしょ」
「ラドフォード! コレは誉めてない!!」
ロンは目の前に並べられた7本の2001を見て口をあんぐりと開けた。
「いいだろう? コレを機にグリフィンドールもホウキを買い替えたらどうだい? そこの5号ならきっと博物館が買い入れるだろうよ」
「「「「HAHAHAHAHAHA!!」」」」
「酷く下品ね……いいわよ言ってればいいわ。グリフィンドールの選手はお金じゃないわ! 才能で! 選ばれているんだから!!」
マルフォイの得意そうな顔が歪んだ。
「お前の意見なんか求めてない、このーーーー『穢れた血』め!」
とたんに轟轟とした非難の嵐が飛ぶ。
それを食い止めるため、フリントはマルフォイの前に立ちはだかった。
ロンがローブに手を突っ込み、杖を取り出す。
「よくも言ったなマルフォイ――!」
「エクスペリアームズ!」
「プロテゴ!」
「ステュピファイ!」
「ステュピファイ!」
「クルーシオ!!」
「クルーシオ!!」
「アバd――」
「シレンシオ!!」
「――ナメクジ食らえ!!」
ロンの杖の先からナメクジの呪い逆流。
ロンがケパケパケパーとナメクジ吐いた。
それを激写するハリーのストーカー、コリン。
その後、ハリーとハーマイオニーハグリッドの所にロンを連行していくのだった。
だが、ハグリッドは独立集会の為不在。
なので、仕方ないのでハリーは後ろから親友を殴りまくり、全部吐かせたのだった。
「ねぇ、君」
「えっ? えっ? 僕ですか……? あ、あなたは確かスリザリンの」(綺麗な人だなぁ……)
「ちょっとお姉さんにこの写真くれない? あの血の裏切りをぶっ殺すチャンスだわ」
「……え……でも……」
「はい。これ、去年のハリーのベストショット」
「うっわーー! すっごいやーー! はいどうぞ。ネガを渡します」
「ありがとう、話の分かる子ね!」
そして、ロンの醜態は学校中にばら撒かれることになり、しばらく生徒たちの間で話題になったのだった。
●
「フィルチの猫」は無残な姿で発見されました
「ミセスノリスぅうううううううう!!」
「こんばんわ。罰則帰りのハリーです」
「同じくロンです」
「趣味と罰則を兼ねたトイレ掃除のベスです」
「うわあああああああああああああ! ミセス・ノリスぅうううううううううう!」
壁に向かって走るフィルチ。
フィルチは風を越え、音速を越え、光すらも超越し、ありとあらゆる因果律を跳躍し、ホグワーツ城の石壁をぶち破るッ!
そして反対側から出て、ダイナミックに投身自殺!
「管理人フィルチ」さんは恋人の後を追いました。
「壁に何か書かれてたっぽいけど何が書いてあるのかもう分かんないな、コレじゃ」
壁にはかつて赤い何かで字が書かれていたような跡が見て取れた。
が、たった今フィルチがぶっ壊したので何が書いてあるのかよく分からない。
そんな状況に颯爽として現れるのは。
一筋の。煌めき。
「ふむ……ここは私! ロックハートにお任せあれ!!」
「あ、あら! ロックハート先生!!」
「あっ、これ嫌な予感がするぞ」
「退避ーー! 総員退避ーーーー!!」
目をキラキラとさせるベス。
眼鏡を逆光反射させるハリー。
そしてなぜだか、皆の避難を促す赤毛。
「HAHAHAHAHA! 古代ヒエログリフを鼻歌まじりに読み解ける私が居れば恐れるに足らないのですよ! えぇ!」
「「キャ―――っ! ロックハート先生ーーーーっ!!」」
「恐らくはこんな感じで書いてあったのでしょう! そぉい!!」
ロックハートが杖を取り出し――――何故か振らずにカリカリカリと破片とかを丁寧に集めはじめ、接着剤で固定。数分後。
「ふふん♪ どうです皆さん! この私! ギルデロイ・ロックハートの華麗なる活躍を――「ロックハート先生素敵ーーーーっ!!」
『ちょっと秘密の部屋開けてみたbyスリザリンの継承者』
という血液文字が出来上がった。
「ねぇこれ……血なのかしら……?」
「何よ気になるの穢れた血。ちょっと待ちなさい」
ハーマイオニーが不安そうな表情を浮かべたのを確認したベスは、ローブから霧吹きを取り出す。
そしてシュッシュッと薬液を吹きかけ、ライトで照らす。
「血だわ……! 間違いないわ!」
「何だよこれ、マー髭だな。流石スリザリン、またスネイプの課外授業だろどーせ」
「あ? 馬鹿じゃねーの? ルミノール反応だよただの化学でーーす。それとも何かなー? 何かなー? 血を裏切る六男ロニー坊やはアレかなー? 魔法薬と化学の区別もつかないんですかそうですかーー? あーあーパパはどこにお勤めでしたっけ~~~~?」
「君こそマグル嫌いじゃないのかよ」
「黙りなさい私からママを奪ったマグルなんか大嫌いよ。むしろマグル死ね、滅べ。だけど使えるモンは使えるんだから仕方ないでしょ。全ての知識と技術だけ我々魔法族に献上してマグルとか絶滅すればいいと思うわ」
「君こそ死んだ方が良いと思うな!」
「秘密の部屋……? スリザリンの継承者……」
ハリーが難しい顔で唸る。
その時、フォいフォいバシャバシャと、濡れている床を気にしながらマルフォイ突入。
「ははっ! 本当だ! 父上の言った通りだ!! ―――スリザリンの継承者が秘密の部屋を拓いたんだ!」
マルフォイの顔には喜色が溢れていた。
「次はお前たちだ――――『穢れた血』め!」
「言ったな……また言いやがったなマルフォイ……ナメクジ食らえ! オヴエエエ!!」
「うわあああああああああああ!? ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!?!?」
「ろ……ロン……私の為に……そんな……」
「(うーん……コイツだけは絶対継承者じゃないよなー……)」
(ん? これモシカシテ??)
ベスの頭が閃く。
(ホグワーツから――――穢れた血が一掃できるじゃない……。……継承者……話が分かる奴ね! けど一体誰なのかしら……?)
ゴーストパーティーカット。
映画寄りだからね☆