9月。
ハリーは相変わらず飯もマトモに食えないネグレクトとモラハラの毎日!
そんなある日、叔父さんが取引先の爺と婆を呼んでイギリス式のディナーをやるってよ!
なので自室監禁されてたら何か『行て帰えりし物語』のスメアゴルっぽいのが現れた!
そいつに手紙をチョンボされていたことを知ったハリーは逆ギレしたよ!
何かムシャクシャしたから婆の顔面にケーキをぶん投げ叔父さんの商談を台無しに!
そして空飛ぶ車で家の窓をバッキバキに破壊し、ミゴト人間界から脱出したのだった――――。
「ぼくのなつやすみ、ダイジェストでした」
「相変わらずアクティブね! 普通なら訴訟モノだけど、相手がマグルなら問題ないわね!」
「何かその後ロンの家にお世話になったんだけど、そこでフクロウがローリングツイストブチかまして、スープに投身するっていう創意工夫に溢れた自殺をゆっくり鑑賞したあと、粉ぶちまけて移動する暖炉でノクターン横丁にぶっ飛んじゃって、マルフォイ見かけたりとかしたけど多分あいつら来学期ロクでもないこと考えてそう、ってこと位かな」
「どーせ箒でも買ってたんだろマルフォイなんか気にすんな」
「君がそう言うならそうかもね。ところで君はどんな夏を過ごしたの?」
「あのね! 私アズカバンのママに会いに行ったわ!」
「え? あのコンビニ強盗の?」
「そうよ!」
「頼むからコレ以上狂気じみた会話をするのは辞めてくれないかな? 僕、頭クラクラしてきた」
血を裏切る一家。ウィーズリー家の6男。ロナウド・ビリウス・ウィーズリーが再会早々近況報告会を楽しむベスとハリーを黙らせた。
「この状況でよくもまぁ、お気楽に世間話ができますねェ!? 神経疑うよ本当に」
「もっと誉めていいのよ?」
「死ね便所女」
「殺すぞ。血の裏切者が」
「やめろよロン、口喧嘩なんかしている場合じゃないだろ? 僕たちは今、柱に突進したら入口が閉じてて大変なんだから!!」
「悲報、ホグワーツ急行発進のお知らせ」
「オワタ……」
簡単に言うと新学期早々大遅刻かました新2年生。
「仕方ない。車まで戻って待機します」
「ハリー? そこの白フクロウを使ってホグワーツ、もしくは血を裏切る一家の誰かに連絡を取れたりは出来ないかしら?」
「駄目だ、羽が鳥類として折れちゃいけない方向に折れてる」
「はいカス。無能鳥類滅べクソが」
「……なぁ、スキャバーズ……空って……青いんだな……」
「ピギィ~~(分かるよ……変人共と付き合うのって辛いよな……)」
ロンが現実逃避がてらネズミさんとお喋りしだしたその時。
はっ、とハリーが思いつく。
眼鏡が太陽光を反射していた。
「そうだ! 車に乗って……空飛んでホグワーツに行こう!!」
「あ?」
「……は、ハリー……?」
「車が空飛べる訳ねーだろカス。監禁生活で気でも狂っ……あ、窓……車……空……。……いいじゃないそれ!!」
「おい、一瞬で理解すんな」
「そうだろう!?ベス! ロン、君運転できたよね? やれ」
「マジか。血を裏切る影薄6男でも良いところあるじゃない! さっさとやれ。先天性貧乏症候群オブ・ザ・クソ赤毛」
「テメェ轢殺すんぞ」
「でも、問題は未成年魔法使いが外で魔法を使っちゃいけないってことなんだよなぁ……うん」
「いいんじゃないの? 別に」
「あ、僕もそれ良いと思う……何だっけ。確かあるんだよ。半人前の魔法使いでもほんとうに緊急事態なら魔法を使っていいっていうヤツ……なんとかの制限に関するなんとかっていう……」
「『未成年魔法使いの妥当な制限に関する法令1875』ね。それの17条な、純血ならこれくらい常識だから雑魚」
「君も赤毛にしてやろうか、鮮血でね。そうさ! だから魔法は使っても大丈夫だよ……! 多分……」
「血を裏切る奴が鮮血とか言うんじゃねーよハゲ。ともかく17条盾がある以上大丈夫よ! 逝きましょう!」
「乗ります」
「車に乗ります」
こんな感じでロン、運転席。
ハリー助手席、ベス後部座席で出発した。
突如浮き上がった空飛ぶ車にビビる村の住民だったが、ベスがギリギリでナンバープレートに張り付けた金属片を目にすると口ぐちにこう言った。
『 MADE IN JAPAN 』
「なんだ、日本製か」
「なら仕方ないな」
「大丈夫だ、問題ない」
「まさか……T〇Y〇TA……! もう……開発していたと……言うのか……!?」
「H〇NDAかもしれぬ……」
「クッソ! 東京株式市場はまだ開かないのか!!」
イギリス人だからあまり気にしなかった。
「進路は北だ」
「この光の指す方向に、ラピュ●はあるのだ!」
「コレ30分おきにチェックしとけばいーや。おーし、いっくぞーー」
「え? 待って、ロンホグワーツ特急に追いつけばいいってだけの話じゃ……」
「そうは言ってもねー……」
「は? ホグワーツ特急に突っ込めって言うのかい? ハリー? 何それテロ示唆?」
「…………言いません、すみませんでした」
「……」
「このままホグワーツ行っちゃおう、僕らに残された活路はそれしかない」
ロンがアクセルを踏み込んだ。
と、同時に。
赤毛の眼光に――――火が、灯る。
「ハーーーーッハハハハハッハ!! 速さこそが全てだチクショーーーガァアアアア!!! 死ね! 死ね!! すっとろい奴は皆死ねッッ!! 血の雨を降らせてやらぁあああああああああああ!!!!」
「ぎゃあああああああああああああああ!」
「あああああああああああああああああああああ!」
「ま、まってロンこんなのうわぇ」
「痛い痛い痛い!! 打撃が来る! 打撃が!! ああああ! シートベルトはーーどこーーーーーー!!」
荒れ狂うロン。
ロンの脚はアクセル踏みっぱなしだった。
加速する車。
それは。
雲を突き破り。
飛ぶ鳥を落とし。
鳥の群れに突っ込んでは、大虐殺を繰り広げ。
挙句の果てには青かった車は、まだら模様に、最後には真っ赤に染まった。かつてあおかった車がそこには存在するかのような有様だった。
「アーッハハハハッハハハ!! 見ろよハリー!! 目の前が真っ赤になったぞぉおおお! ヒャハアアアアアアアアアアアア!! 遅い奴は皆死ね! 殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ!!!!」
「ローーーーーン!?」
「じだがんだ!!」
「ローーン! 戻って来い! 君はそんな奴じゃなか……あべし」
「あ、私もう駄目……オロロロロロロロロロロロロロ」
そんな感じで仲良くホグワーツについた。
「燃料切れです。吹かしすぎました。落下します」
「ああああああああああああああああああ!」
「こらああああああああああああああああああ!」
「前方に暴れ柳発見! ぶつかるぞーーー!」
「舵を取れーー!」
「無理だろーがぁあああああああ!」
「どうやらここで死んでしまうようです」
「くそおおお! こうなったら!!」
ハリーが助手席側の窓ガラスをぶち破り、血に染まった拳を窓から突き出す。
その先には杖が握られていた。
ハリーは杖の先に力を込める。
「インセンディオオオオオオオオオオ!!」
杖の先から迸る光。
その光を一直線に浴びたのは暴れ柳。
今、暴れ柳に――火が、灯る。
「インセンディオ! インセンディオ!! 燃え尽きろ暴れ柳ぃいいい!」
暴れ柳は苦しかった。
なぜ、このような目に遭わねばならないのか理解できなかった。
ただ熱くて、熱くて、痛くて――とても、苦しかった。
そんなこんなで、苦し紛れの一発が車に向かって激突する。
「うわあああ杖が……杖が……! 僕の杖が……無事だ!!」
「チュウ!」(良かったじゃんご主人)
「い、痛いよぉ……うぅ……クソが……ぶっ殺す!! クソ木殺す!! レダクト!!」
ベスの杖の一振り。
ソレが命中し、暴れ柳のまだ燃えていなかった箇所が、バラバラと粉々に砕けた。
「レダクト! レダクト!! レダクトオオオオオ!!」
「インデンディオおおおおお!」
バラバラに砕けた木屑をさらにベスは細かく切り裂いていく。
最初は木片に、やがて木くずに、最終的にはコレただの粉じゃないかなというレベルにまですり潰す!
そして、ハリーはそこに……インセンディオ、つまり発火の呪文を唱えた。
粉状のモノに、発火。
風に舞う、虚空に吹雪く粉と、火。
あとは勝手知ったる。
粉塵爆発――――であった。
ためらいのない爆音。
光。
それを聞きつけた、大広間の生徒たちが――ぞろぞろと顔を出す。
「祝! 暴れ柳炎上!!」
「ファ――――wwwww」
「焼き尽くせ!! 燃えろ燃えろーー!」
「初日からコレとは流石ホグワーツだぜヒャハー!!」
「暴れ柳がぁああああああああ! ポッターぁああああああああ! 貴っ様ぁああああああああああああ!!」
「うわ、流石スネイプだ、もうかぎつけてきたよ」
「何か僕ら……うん、帰ってきたって感じだな……ホグワーツに……」
「チュー!」(ようスニべルス。俺達の黒歴史が炎上したでwww)
「やだコレ超楽しいわ! 明日から毎日暴れ柳燃やしましょう!」
いつかこんな城焼き払ってやる、と内心思う、ロンだった。
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はじまるよさいあくの秘密の部屋!