安芸高田市は、男女の結婚を後押しする婚活事業を本年度限りで中止する。人口減少対策の一環で10年余り続けてきたが、性的少数者(LGBTなど)への配慮などを理由に石丸伸二市長が打ち切りを決めた。
市環境生活課によると、市役所で結婚相談員が週2日対応している相談業務を3月末で廃止。事業の登録者に相手を紹介したり、出会いの場となるイベントを企画したりする結婚コーディネーター18人の委嘱もやめる。本年度は相談員への報酬やイベントの助成金などとして約490万円の予算を組んだが、2021年度の一般会計当初予算案には盛り込まなかった。
石丸市長は婚活事業について「行政が関わることで結婚しないといけない、子どもを持たなくてはいけないという強迫観念が助長されかねない」と指摘。「異性婚を前提とし、LGBTの方々への配慮も欠いている。今の時代では公共性が損なわれている」と中止の理由を説明している。
市の婚活事業は、結婚による市内への定住や出生数拡大を目指して09年度にスタート。これまでに58組の成婚につながったという。(和泉恵太)