飯田市長、JR東海リニア説明会の張り紙に「強い違和感」 危険物「遠慮を」掲示で

JR東海が飯田市で7日に開いた説明会の会場に張り出した紙

■JR側に対応の見直し求める

 JR東海がリニア中央新幹線県内駅(飯田市上郷飯沼・座光寺)新設などに関する住民説明会の際、危険物の持ち込みや示威行動をしないよう求める紙を張り出した問題で、同市の佐藤健市長は16日の定例記者会見で「私自身も強い違和感を覚えた」と述べた。「こういう目で地域住民を見ているのかと目にした人は心外な感じがしただろう」と指摘。自主的に対応を見直すよう同社に求める―とした。

 張り紙は同社が今月7、8日に市内で開いた説明会の会場に掲示。それぞれ上郷飯沼北条、座光寺の住民が対象だった。「遠慮」を求める行為として、危険物の持ち込み、集会、プラカードやヘルメットの持ち込み、鉢巻きの着用などを挙げた。

 27日には県内駅ができる上郷地区(飯沼、別府、黒田)全体の住民向けの工事説明会が開かれる予定。市長は「JR東海にとってはある種の定型文を掲示したのかもしれない」としつつ、「私から呼びかけるまでもなく、指摘を受けてJR東海が考え、適切な対応をされると思っている」と望んだ。

 下伊那郡豊丘村の伊那山地トンネルで8日に起きた重傷労災事故を巡っては、一切説明しないJR東海の報道対応に「若干のちぐはぐ感を覚える」と指摘。2日に同郡大鹿村で掘削するリニア中央新幹線南アルプストンネル長野工区の内部を初公開しており、「情報公開の姿勢に転換したと受け止めたが、直後の事故については積極的に情報公開しない状況が続いている。ちぐはぐな感じをもう少し改めた方がいい」と促した。

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