【前半】“統一教会”LGBTQバッシングを検証 金曜ジャーナル
金曜ジャーナルです。
いわゆる“統一教会”と政治家との関わりが、私たちの日常にどのような影響を与えているのか、取材は土井記者です。
先々週の「性教育」に続き、今回は、性的少数者といわれるLGBTQへの理解や支援への影響についてお伝えします。
上田さん
「自分の性別に違和感を感じたのは中学のころになります」
先月、富山大学附属病院で開かれた北陸GID研究会。
附属病院は去年10月、ジェンダーセンターを設立し、GID=性同一性障害に悩む人の乳房の切除をこれまでに10件実施しました。
少しずつ進むGIDへのサポート。しかし、研究会では、当事者が、生きにくい現状を語りました。
上田さん
「(思春期の)第二次性徴が嫌で胸にさらしを巻いたりしていました。自分だけが我慢すれば、世の中うまく回るのだと」
富山市の上田さん(活動名)は、生まれた時の性は「女性」ですが自認する性は「男性」です。
上田さん
「限界が来たのは36歳の頃でした。何が本当の自分なのか。生きていくことに何の希望も見いだせなくなりました」
「男らしさ」や「女らしさ」。
固定的な観念が呪縛となって、自分を否定し続ける日々。
GIDと診断された上田さんは改名して、ホルモン注射と胸の手術を受け、「生き延びてきた」といいます。
上田さん
「そもそもの人権の大切さを教育でしっかり押さえていただくことが、私たち性同一性障害の問題だけにとどまらず、みんながそのままでいいんだよと言ってくれる。受け止めてくれる周囲の視線というのがあれば、もっといいんだろうなと思います」
性的少数者=セクシャルマイノリティを意味するLGBTQ。
どんな性別の人を好きになるかという「性的指向」と、自分の性をどう認識しているのかという「性自認」に分けられます。
しかし「性表現」も含めて、どれにも当てはまらない人や分からないという人もいます。「男」か「女」かだけでくくることはできません。
北陸で唯一のGID学会の認定医で、自民党の県議会議員を務める種部恭子医師の自宅にことし5月、ある書籍が送られてきました。
種部恭子県議(産婦人科医)
「LGBT隠された真実っていう本で。編集されているのは、世界日報LGBT問題取材チーム。中にお手紙が入っていて、平和連合富山県支部の事務局長の鴨野さんから送られてきました」
世界日報は“統一教会”と関係が深いとされる日刊紙、平和連合は“統一教会”の関連団体です。
“統一教会”は、男性と女性による結婚とそれによる家庭が重要だとして、阻む事柄をバッシングしてきました。
手紙には、同性のカップルを婚姻に相当する関係と認めるパートナーシップ制度への批判が書かれていました。
すでに全国で230を超える自治体が導入している制度。県内では、県と富山市が検討中です。
平和連合富山県本部 鴨野守事務局長の手紙(当該書籍に掲載)
「家庭と結婚の形に大きな影響を及ぼすことが予想される。ここに何らの危険性や不安、懸念があってはならない」
種部さんは書籍を読んで、医学的根拠のない内容に驚きました。
種部さん
「一番驚いたのは(書籍)この中にトランスジェンダーとか、あるいは同性愛が病気であるので、治すようなものであると。生得的に持ってたものではなくて、育て方が悪いとか、家庭の中に問題があるから、同性愛になるんだということが書かれていました。世界的に有名なサイエンスとかを引っ張って来て書かれているんです」
出典とされる医学論文を調べてみると、一部が都合よく切り抜かれていることに気付きました。
さらに、こんな事例も紹介されていました。
種部さん
「トランスジェンダーの方たちが女装して、女性のトイレに入って性暴力を働くと、別に女男トランスジェンダー関係なく、そんなことは絶対やっちゃいけないことで、そんな痴漢行為はトランスジェンダーと関係のない話なんですけど、そういう事件が起きているとか」
そしてことし1月、富山市議会の自民党会派が統一教会の関連団体の講師を招いて開いた勉強会の資料には。