メタノールを摂取させて同居する妻を殺害したとして、警視庁は16日、会社員吉田佳右容疑者（40）=東京都大田区西馬込1丁目=を殺人容疑で逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。

　捜査関係者によると、吉田容疑者は1月14～16日ごろ、自宅で妻の容子さん（当時40）に何らかの方法でメタノールを摂取させ、殺害した疑いがある。警視庁は、吉田容疑者が飲食物にメタノールを混入させ、容子さんに飲ませた可能性があるとみている。吉田容疑者は製薬大手「第一三共」の社員という。

　吉田容疑者は1月16日朝、「妻が意識のない状態で倒れている」と119番通報。容子さんは病院に搬送され、その日午前に死亡した。当初は死因は不詳とされたが、行政解剖の結果、急性メタノール中毒と判明した。容子さんがメタノールを摂取した経緯について、吉田容疑者は警視庁に「わからない」と説明したという。

　メタノールはアルコールの一種でメチルアルコールとも呼ばれる。主に天然ガスなどから作られ、アルコールランプの燃料やホルマリンの原料、塗料・油脂の溶剤など工業を中心に広く使われている。

戦後は死亡者相次ぐ

　岡山大学学術研究院医歯薬学域の中尾篤典教授によると、メタノールは無色透明で、「味や臭いは薄めれば飲料用のアルコールのエタノールなどとあまり変わらない」という。だが、エタノールとは異なり、人体に有害だ。

　摂取すると一般の酒と同じよ…