入管施設の医療対応を問う裁判 カメルーン人男性の命は救えたか

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西崎啓太朗
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 東日本入国管理センター茨城県牛久市)で2014年に収容中のカメルーン人男性(当時43)が死亡したのは、入管の対応に不備があったからだとして、男性の母親が国と当時の同センターの所長に1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、水戸地裁で言い渡される。男性は死亡前に容体の悪化を訴えており、入管職員が医師への報告や搬送をしなかったことが注意義務違反にあたるかが争われている。

 全国の入管施設では07年以降に17人の外国人が病気や自殺で亡くなったことが明らかになっている。昨年3月には名古屋出入国在留管理局で収容中のスリランカ人ウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が死亡した。原告弁護団によると、17人のうち、入管施設での死亡をめぐる訴訟で国の責任が争われ、判決が言い渡されるのはカメルーン人男性が初という。

 男性は13年10月に成田空港に着いたが上陸が認められず、退去命令にも応じなかったことから翌月に同センターに収容された。原告弁護団によると、来日の経緯ははっきりしていない。

 男性は当初から糖尿病などを患っていることがわかっており、施設の医師に診察や薬の処方を受けていた。だが、14年3月下旬には「気分が悪くて立てない」などと容体の悪化を訴えていた。同月30日朝に男性の異変を感じた職員が救急搬送を要請。まもなく死亡が確認された。司法解剖では、明確な死因はわからなかった。

 原告側は、男性が前日の29…

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