2021年度の小学校入試で、いわゆる難関校といわれる早慶合格者を100名以上出し、今注目を集めている『スイング幼児教室』。受験をしない家庭にも参考になる「小学校受験から学べる子育ての極意」を教えていただく連載です。

今回は、小学校受験でも頻出の課題、子どもの「絵」についてです。子どもの絵や工作に関して、描き方を教えたり、指導したりすると子どもの「感性」が失われるように感じ、抵抗を覚える親も多いのではないでしょうか。しかし、教えることで感性が失われることはなく、むしろ身に付く重要なスキルがある、とスイング幼児教室の大原先生はいいます。

技術力より「自分の考え」を伝える力

小学校受験では、多くの学校で絵画・工作が出題されます。人の動きや表情を描けるか、生き物や風景の細やかな描き込みができるかなど、一定の技術力ももちろん求められますが、何より重視されるのが「自分の考え」です。

なぜそれを描いた(作った)のか、何を伝えたいと思ったのか。絵画・工作の考査では、体験や興味に基づく「子どもの考え」とそれを「伝える力」が確認されています。

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小学校受験で多く出題される課題で「形を使った絵」というものがあります。形を描いた紙が配られ、その形を使って絵を描く課題です。

例えば、「○」が画用紙に描かれている場合、皆さんはどのような絵を描きますか? 多くの子は与えられたテーマに対して思いつきやひらめきで描こうとし、たいてい月やスイカなどにします。月やスイカが悪いというわけではないのですが、自分の体験や興味など考えもせず、その時にぱっと頭に思い浮かんだものを描くのです。

求められているのは「自分の考え」なので、「本当に『あ、これこんなに丸いんだ』と思ったものは何?」「お父さんやお母さんと『まん丸だね』って話したことがあるものは何だろう?」など少し詳しく聞くと、自分の経験から丸いと感じたものを考え始めます。そして、その場の思いつきではない、自分の体験に紐づいた「本当に丸いと思ったもの」を描き始めます。

ある子は丸を「自分の顔」として使い、家族でスポーツを楽しんでいる姿を描きました。またある子は、丸い形から「太鼓」の経験を思い出し、力一杯太鼓を叩く自分の姿を描きました。

別の子は、図鑑で目にした宇宙の惑星を描くことで、「こんなに丸いんだ!」という驚きや発見を表現しました。中にはスイカを描く子もいましたが、単にスイカを描くのではなく、割れたスイカを描いて楽しかったスイカ割りの思い出を伝えてくれました。絵を描くという課題を通して、各々が体験や興味と向き合い、「自分の考え」を表現できるようになっていくわけですね。