遊歩道沿いに放置されていた木像。「触らぬ神にたたりなし」として発見時の状態で置いておくことになった=羽咋市柴垣町の長手島

 ●触れた漁師大けが、岩ガキ漁さっぱり

 6月中旬に羽咋市柴垣海岸にある長手島(ながてじま)で見つかった「謎の木像」が、不運を招く存在として不気味がられている。住民の話では、触れた漁師2人が大けがを負い、名物の「柴垣天然岩ガキ」もしけ続きで不漁に。地元の柴垣町会や石川県漁協柴垣支所は「触らぬ神にたたりなし」として、お堂を建てて祭ったり、逆に処分したりせず、木像を発見時のまま置いておくことにした。

【初報】誰が?どこから?何のため? 長手島に謎の木像

 木像は縦約40センチ、横約20センチで、柴垣支所の服部正三運営委員長が6月15日、草が茂る遊歩道沿いで見つけた。立派なあごひげを蓄えて魚を抱えており、頭部の一部や左手が欠け、かさのようなものを背負っている。

 七福神のえびす様にも見えるが、仏像の蓮華座がある。神様とも仏様とも断言できない謎の木像だが、支所の西久子さんは「突如現れてから、運が悪いことが続いている」と顔を曇らせる。

 7月20日には、木像に触った海士が海岸で原付バイクを運転中、転倒して右肩と鎖骨を負傷した。さらに8月2日には別の海士が階段で転び、頭を4針縫うけがを負ったという。ベテランの海士がけがをしたことに加え、柴垣周辺はしけが続き、名物である柴垣天然岩ガキは漁獲量が伸びなかった。

 異常事態に支所の役員は8月30日に会合を開き、木像の扱いを協議した。島には漁師が海中で拾ったと伝わる「七面大明神」や「八大龍王」を祭るお堂があり、祭礼も営まれている。このため「木像も祭ってはどうか」との意見があったが、漁師の中からは「気持ち悪い」と拒絶する声もあった。

 お堂の清掃などを担う女性部員の負担が増える点も敬遠され、長手島を管理する地元の柴垣町会に対応を一任した。

 ただ、その柴垣町会も今月に会合を開いたものの、「町会だけで木像を管理するのは難しい」との結論に至った。当分はそのまま置いて様子を見るという。

 今後、定期的に木像を見に行くことになる町会長の伊藤幸雄さん(73)は「不気味やけど、これから木像が倒れていたら置き直すなどして見守るしかない」と渋面をつくった。

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