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今後は定期的ワクチン接種を何で行うべきかについて、VLPワクチンであるNovavaxや、全粒子ワクチン、サブユニットワクチンとの比較研究が重要になってくるのでしょう。
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現時点でmRNAワクチンの最も重要な有害事象として、心筋炎はほぼ確定、虫垂炎は怪しい、帯状疱疹は未決着、という状況だと理解しています。 ワクチン接種の是非はメリットとデメリットのバランスで議論されるべきですが、その当然の議論が個人的にはまだ不十分だと思っています。
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mRNAワクチンの反復接種のリスクについても、「結局は反復接種後でなければ分からないのだ」という当然の前提が共有されていません。 長期毒性の可能性についても、これからデータの解析が行われる必要があるでしょう。
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さて、今回は2月24日にJAMAに掲載されたファイザーワクチンと突発性難聴との関連について取り上げます。 結果は「関連あり」でした。 しかしリスク増大の程度は小さく(10万人あたり1-4人程度)、突発性難聴が治療可能である事も合わせ、「ワクチン接種のメリットが上回る」という結論です。
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---- ・突発性感音性難聴(SSNHL)は急性発症の片側性聴覚障害である。人口10万人あたり毎年5-27人の頻度で発生しており、米国では年間66,000人の新規発症者が存在している。
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原因不明の疾患であるが、ウイルス感染が原因であると推定されている。後遺症として永続的な聴覚障害と耳鳴りが起こりえるため、迅速な診断と治療が必要となる。診断後はステロイド治療を速やかに、できれば発症2週以内に行うべきである。
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・COVID-19とSSNHLとの関連を示唆する報告が複数あり、流行に伴い頻度が増加したという報告がある。一方で、ファイザーワクチン接種後にSSNHLを発症したという報告も複数あり、両者の関連性も示唆されているが、まだエビデンスに乏しい。
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ワクチン接種後の有害事象を特定する事で、ワクチン関連合併症の認知度を高め、早期診断・治療が可能になる。
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・今回、ファイザーワクチンとSSNHLとの関連について評価するため、2020年12月20日から2021年5月31日までのイスラエル最大の医療組織のデータを用いて、人口ベースの後ろ向きコホート研究を行った。
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2020年12月20日から2021年4月30日までに初回ワクチン接種を受け、2021年1月10日から2021年4月30日までに2回目のワクチン接種を受けた16歳以上の患者を対象とした。
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・主要アウトカムはプレドニンの処方を伴うICD-9コードでのSSNHLの診断とした。初回および2回目のワクチン接種後21日以内に発生したSSNHLの症例を、2018年および2019年における実際の発生件数に基づいた予測発生数と比較し、標準化発生率比(SIR)およびリスク差(AR:attributable risks)を算出した。
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(結果) ・2,602,557例( 平均46.8± 19.6歳、女性51.5%)がファイザーワクチンの初回接種を受け、91例のSSNHLが報告された。21日累積発生率は10万人あたり3.50人だった。
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・2021年1月10日から2021年4月30日の間に2,441,719例(93.8%)が2回目の接種を受け、79例のSSNHLが報告された。21日累積発生率は10万人あたり3.24人だった。
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・10万人年あたりのSSNHLの発生率は、初回接種後60.77人(48.29-73.26)、2回目接種後56.24人(43.83-68.64)だった。比較対照となる過去の発生率は2018年が41.50人(37.98-45.01)、2019年が44.46人(40.85-48.07)だった。
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・2018年と比較して年齢と性別で重みづけを行ったSIRは、1回接種後が1.35(1.09- 1.65)、2回接種後が1.23( 0.98- 1.53)だった。SIRは1回接種後の16-44歳の女性(1.92, 0.98- 3.43)と65歳以上の女性(1.68, 1.15- 2.37)、2回接種後の16-44歳の男性(2.45, 1.36- 4.07)で高かった。
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・リスク差(AR)は一般的に小さかった。最もリスク差が大きかった65歳以上の女性でも、人口10万人あたり3.74人だった。referenceを2019年のデータとしたSSNHLの予想発生数とした解析でも同様の結果が得られた。
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・接種後60日まで追跡した感度分析では、初回接種後のSIRが1.86(1.04-3.10)、2回接種後が1.15(1.00-1.23)であり、最も高いSIRは16-44歳の男性だった(2.07, 1.41-2.93)。
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(結論) ・本検討により、ファイザーワクチンとSSNHLの発生リスク上昇との関連が示唆された。しかし、その絶対数(effect size)は非常に小さかった。 ・この関連の強さは年齢層によって異なり、性別でも女性では初回接種後、男性では2回目接種後と異なっていた。
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・ワクチン接種後のSSNHLは過去の検討と合わせてもリスク差が小さく、ワクチン接種のメリットが上回ると思われる。SSNHLも適切に治療を行う事で回復率は高い。 ・ワクチン接種とSSNHLリスク上昇との関連については、今後も更なる研究が必要である。 -----
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・ファイザーワクチン初回接種(青)、2回目接種(オレンジ)後のSSNHLの累積発生率 既知の有害事象である心筋炎では、2回接種後数日以内という特徴的なピークを示します。
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しかしSSNHLではこのような典型的なピークはグラフからは分かりません。 絶対リスクとしてはbackgroundの発生率に飲み込まれてしまう程度と解釈できそうです。
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・結果のすべてです。 上段が初回接種、下段が2回目接種。 それぞれ全体と性別および年齢別のサブグループの結果が提示されています。 全体として発生率に有意差が検出できたのは初回接種のみでSIR 1.35(1.09- 1.65)。 人口10万人あたりのリスク差(AR)は0.91人と非常に小さいです。
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初回接種では65歳以上の女性で有意かつ最大の発生率上昇(SIR 1.68)が見られます。 しかし、このサブグループでも2回目接種ではSIR 1.16で有意差が消失しています。
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