昔から憧れの職業のひとつとして挙げられてきた弁護士。
弁護士になるにはたくさん勉強して司法試験を乗り越えていかなければなりません。
弁護士になるには時間とお金がかかります。
ゆえに、夢を諦めてしまう方もいらっしゃるでしょう。
しかし、『予備試験』に合格すれば、学歴や年齢に関係なく、最短ルートで弁護士になることが可能なのです。
本コラムでは、弁護士を目指す方々に向けて、弁護士の業務内容、弁護士になる方法等について、詳しくご紹介します。
目次
弁護士の業務内容とは?
弁護士とは、裁判や契約交渉の場面で法律を駆使して権利を保障する職業です。
刑事裁判や民事裁判のような「紛争の解決」、当事者を代理することでの「円滑な契約交渉」を行います。
例えば、以下のようなものが代表的な業務となります。
- 刑事事件の弁護人として、被疑者段階の身柄解放を目指す
- 起訴後の被告人段階で有罪か無罪かを争う
- 被告人に有利な弁論を行う
- 私人間の権利義務関係について依頼人を代理して請求する
- 離婚協議、離婚調停など
上記に加え、M&Aや資金調達などの企業関連の業務を扱う企業法務、民間企業の法務部で働くインハウス業務、会社が破産した際の破産管財人業務など、専門性の高い業務もあります。
このように弁護士の活動領域、取扱業務範囲は極めて広く、多種多様な働き方があるといえるでしょう。
弁護士になるにはどうすれば良い?
弁護士になるには、弁護士資格という国家資格を取得する必要があります。
弁護士資格は、司法試験に合格した者で、司法修習を修了した者に与えられます。
すなわち、弁護士になるには、司法試験→司法修習→司法修習生考試(二回試験)→弁護士登録という長い長いプロセスを歩む必要があります。
ところが、司法試験は誰でも受けられる試験ではありません。
司法試験の受験資格は以下に限定されています。
①法科大学院を修了した者
②予備試験に合格した者
このうち、②のルートで司法試験を受験することを「予備試験ルート」と呼んでいます。
予備試験には受験資格の制限がなく、誰でも受験することができます。
予備試験は時間に余裕のある大学生はもちろん、働きながら司法試験合格を目指す社会人にもおススメ出来るルートです。
※関連コラム:予備試験とは?短答・論文・口述の概要(合格点、配点、試験時間等)を全て解説
予備試験ルート6つのメリット
予備試験ルートで弁護士を目指すことには以下の6つのメリットがあります。
1 費用が安い
法科大学院は一年間の学費が100万円以上かかります。
この経済的な負担は大きなものでしょう。
しかし、予備試験は受験資格の制限がなく、検定料さえ支払えば誰でも受験できるので、コスト削減になります。
予備校に通うとお金がかかりますが、予備校代は法科大学院の学費と比べれば格段に安く合格を目指せます。
2 短期合格が可能
法科大学院は既修で2年、未修で3年通わなければなりません。
その後に司法試験を受験するとなるとかなり時間がかかります。
その点、予備試験に早期合格すれば、すぐに司法試験を受験することが出来ます。
3 司法試験に受かりやすい
法科大学院を修了した場合の司法試験合格率の平均は30%未満であり、東京大学や京都大学といった名門法科大学院であっても合格率は60%程度です。
逆に、予備試験合格者の司法試験合格率は80%を超え、20代であれば90%を超えるほど高い水準を維持しています。
したがって、司法試験に確実に合格するには、予備試験に合格することが近道だと考えられるでしょう。
4 就活で有利
予備試験に合格すると就活で有利な傾向にあります。
予備試験は難関試験ですから、その難関試験をくぐり抜けてきたという経験が就活での大きなアドバンテージとなるのです。
予備試験合格者は司法試験の結果が出る前に事務所の内定をもらうことが少なくありません。
したがって、仮に司法試験の成績が悪かったとしても、就活で苦労しにくいのではないでしょうか。
5 年齢や学歴(高卒でも)に関係なく受験できる
予備試験の受験資格は年齢や学歴などによる制限が一切ありません。
誰でも受験を志せばチャレンジ可能です。
中卒でも高卒でも問題なく受験できます。
そのため、高校生や大学生でも予備試験合格に向けた勉強ができますし、30代40代50代の社会人でも、働きながら受験をすることが可能です。
現に、令和2年度司法試験予備試験の結果によれば、合格者の最高年齢は59歳です。
年齢に関係なく誰でも受験できるのは予備試験の大きなメリットではないでしょうか。
6 社会人でも受験しやすい
司法試験の受験資格を得る方法は、「法科大学院を修了する」「予備試験に合格する」の2択です。
前者の法科大学院ルートだと、どうしても授業の出席や課題提出が必須となるため、会社との兼業は現実的ではありません。
夜間コースがある法科大学院もありますが、数は少なく、あまりにも経済的、時間的負担が大きくなってしまいます。
他方で、予備試験ルートであれば、会社に勤めながら休み時間や通勤時間、休日などを活用して、少しずつ効率的に学習していけます。
働きながらでも十分に合格を目指せるのは、大きなメリットであるといえるでしょう。
弁護士を目指して
弁護士になるにあたり、予備試験は金銭面や時間面、勤務の両立の面から法科大学院ルートよりも大きなメリットがあることがわかりました。
前述したように、予備試験であれば、社会人や大学生、はたまた高校生も、弁護士を目指して学習をスタートすることが可能です。
もちろん注意点もあります。
それは、予備試験が最終合格率3%という超難関試験であるということです。
したがって、勉強すれば必ず合格するとは言い切れません。
ずるずるやってしまうと、結局予備校代とロースクールの学費代とが二重にかかり、メリットのひとつであるコスト削減どころかコストがかさんでしまうことにもなり得ます。
しかし、予備試験を目指して勉強すれば、上位のロースクールに入れるだけの実力も身につきますし、ロースクールでも好成績を残すことが出来ます。
そうすれば司法試験でも早期合格・上位合格しやすくなるでしょう。
これから法曹を目指すのであれば、まずは予備試験合格を目標にして頑張ることを推奨いたします。