今日は修学旅行で不在だったU先生が戻ってくる日。
そのせいかどうかは分からないけど、久しぶりに
校門から中へ入りたがらず「行きたくなーい!」と
泣き出してしまいました。
一年生の時とは泣き方が変わってきて、さめざめと
泣くので、道行く人たちも気の毒そうな、もらい泣き
しそうな表情で声なきエールを送ってくれます。
校門の脇に、毎朝同じ白い車が停まっていて、いつも
門が閉まるギリギリに、ピンクのランドセルを背負っ
たすらりとした女の子が降りてくるのです。
今朝は、少し早く出てきて、座り込んで泣いている
ひかりちゃんににっこり。
「ひかりちゃん、おはよ!いっしょにいこう!」
ランドセルからティッシュを出して、涙と鼻水を
拭いてやって、べちゃべちゃになったマスクも取り返
えてやる。
お姉ちゃんはにこにこと待ってくれています。
ようやく立ち上がったひかりちゃん。
お姉ちゃんと手をつなぎ、昇降口に向かって歩き始め
ました。やれやれ。
昇降口にはU先生がいて「ひかりさん、おはようござ
います。日光のおみやげ、あるよ。」
現金な娘はパッと笑顔になって、中へ入っていきまし
た。Uもいいとこあるじゃん。
さて私が外に出ると、さっきの女の子がまだぽつんと
立っています。ありがとうね。助かったわ。
「……あのね。私もね、ひかりちゃんとおんなじで、
学校行きたくないの。」
あら、仲間かあ。じゃ、おばちゃんとげたばこまで
一緒に行こうか。
「ううん、私ね、いつも保健室に行くの。だけど、
今日は保健室の先生がね……」
お姉ちゃん、私を見つめたまま、涙がぼわっ
……うわーん!!!
あらあら。先生いなかったの?
名札を見たら四年生。ハナちゃん。
あはは、もー、ハナちゃん、泣かないで。
それじゃひかりちゃんみたいじゃない。
大丈夫、大丈夫。
おばちゃんと保健室の先生探しにいこう。
今度は四年生を連れて、またまた学校の中へ。
事務の人が声をかけてくれました。
「あ、ハナちゃん、今日は先生遅れてくるって。
四年生の教室で待ってれば?」
ハナちゃん、私にしがみついて首を振ります。
行きたくないよねえ。
ここなら風通しもいいし、涼しいから、座って待って
たら?
事務の人の了解を得て、しばらく一緒に座っていまし
た。ハナちゃん、さっきはひかりちゃんに声かけて
くれて、本当に嬉しかったよ。ありがとう。
優しいお姉ちゃんがいると思うと、おばちゃん心強い
わあ。
保健室の先生が校門を入ってくるのが見えたら、
やっとハナちゃん安心した様子になりました。
じゃ、行くね。バイバイ!
ひかりちゃんのお陰で見えてくる、今まで気付かなか
った風景です。
子どもたち、みんな、がんばれがんばれ。