■「自分という存在は悪」「得意なことから嫌いに」“みんなで一緒に”の教育の先に

これ、折り紙?!どうやったらポンとつくれるのだろうか…


吉沢さんにとって、それは社会に出てからも続いた。3度の転職と休職を経験する。そして、自分の才能を忌み嫌い、自分らしさを隠すようになった。

吉沢拓さん
「会社の上司や先輩からは、人の気持ちがわからない、頭が悪いとか、そういうことをずっと言われました。例えば、自分としてはこういう考えができる、周りよりも良い考えができるときがあるのに、それを出すと、お前は駄目だって言われる。能力がないやつだと言われる。自分の長所を出せば出すほど短所として、逆のことを言われ続けました。

そうすると自分の得意なことからまず嫌いになりますよね。そして、そんな自分という存在を殺さなきゃいけないんだ、自分という存在は悪なんだと感じました。自分を隠さなきゃと、一生懸命ギュウギュウに漬物石の蓋で自分の得意なことを押さえ込むっていうことをやってきました」

約1年半前、吉沢さんは自分が“ギフテッド”なのだと知った。自分の特性を客観的に理解し、やっとそのままの自分を受け入れられるようになったという。現在は、“ギフテッド”であることを理解してくれる職場と仲間に出会い、自分の得意なことを仕事に活かしている。振り返って“ギフテッド”の生きづらさの背景には、学校教育から続く「みんなで一緒に」という方針があったと感じている。


吉沢拓さん
「自分らしさを活かせない原因って、周りと違ってはいけないという感覚で、それが自分らしさ全てを潰してしまうようになると思います。学校で同じ勉強をさせる、というより、周りと違ってもいいんだっていう心の支えの部分を育ててあげるのが、教育で一番やってほしいことだと思ってます」