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厚労省も学会も積極的に勧める方針に変わった5〜11歳のワクチン、やっぱりうった方がいいの?

新型コロナウイルス第7波で子どもの感染者も増える中、 厚労省は5∼11歳の小児ワクチン接種にも12歳以上と同様に「努力義務」を課すことを決めました。小児科学会も推奨に変更しています。子どものワクチン、やっぱりうった方がいいですか?

新型コロナウイルスの第7波で、子どもの感染も増えています。

5〜11歳を対象とした子ども用のワクチンの接種率がなかなか上がらない中、厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会は「努力義務」を課すことを決め、日本小児科学会も、健康な5〜17歳への接種を「意義がある」から「推奨する」に変更しました。

子どものワクチン、やっぱりうった方がいいのでしょうか?

ワクチンにも詳しく小児科医でもある新型コロナウイルス感染症対策分科会構成員で、川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦さんに聞きました。

Naoko Iwanaga / BuzzFeed

子どもの新型コロナワクチンについては慎重な言い方をしてきた岡部信彦さん

※インタビューは8月9日、10日に行い、その時点の情報に基づいている。

それでも子どものワクチンの位置付けは変わらない

——5〜11歳のコロナワクチンについて、厚労省の予防接種・ワクチン分科会は「努力義務」の対象に変更しました。

僕は努力義務はやっぱりなくてもいいなと思っています。

——お!今もですか?

つけても実質変わらないのです。

——国が強めに勧めているんだなという印象は与えますね。

確かにそうで、そこは大きいと思います。

でも、より親御さんの意見を尊重するという意味では、「義務」を追わせなくても良いのでは、と思います。

ただそれは「勝手に決めていいですよ」ではなくて、「親御さん、自分の子供をどうするか、自分でよく考えるようにしてください」という意味です。

以前から言っていることですが、僕が「ワクチンを接種させたいのですが、どうしましょう?」と親御さんから相談を受けたら、「それは受けた方がいいですよ。ぜひ接種しましょう。でもあれとこれには注意をしてくださいね」と答えるでしょう。

「私は迷っているのですが、接種させた方がいいですか?」と相談を受けたら、「僕はやったほうがいいと思います。なぜならば......」と説明します。

でも、「私は絶対うたせたくないのですが、先生、どう思いますか?」と聞かれたら、「そういう心配や不安・不信があるなら、今はやめておいた方がいいですね。様子を見て、また考えてみてください」と答えるでしょう。

言い方はこれまでと変わりません。

努力義務のあるなしは変わるかもしれません。それによって受け止め方も変わるかもしれませんが、努力義務がついたとしても、厳密に考えれば、日本の予防接種は「強制」ではないので、最終的には親御さん、あるいは保護者、大人なら本人の意向は尊重されます。接種を受けないとしても罰則などもありません。

ただ、一般的には、努力義務がつくと「国としては強く勧めているんだな」という印象になるのは確かでしょうね。

5〜11歳の予防接種を考えるならば、データが十分ではなく慎重だった当初より、海外を中心に接種に関する効果・安全性に関するデータも多数出てきています。それによれば大人を超える急性の副反応の発生はありません。むしろ低いくらいです。効果も大人に比べて劣ってはいません。

それならば、これだけ感染が広がっている状況では、接種してあげた方がいい。学校も部活もできる、遊びに行ける。

しかし、「命を救うために」という考えからは弱くなりますね。中高年者にとっては「命を守るため」のワクチンであると思うので、子どものワクチンの意義付はだいぶ異なってくると思います。

インフルエンザでは「インフルエンザ脳症が怖いから子どもにワクチンを接種しておきたい」という人がいます。脳症は年間100〜200 人ぐらいで、インフルエンザにかかる中での脳症発症の割合は少ないのですが、心配ならワクチン接種を受けておいた方がいいと勧めます。

コロナも一緒です。5〜11歳もやる意味はあるし、「どうしましょうか?」と聞かれたら、僕は勧めます。でも「私は嫌だ」という人に対しては、「やらなくてもいいでしょう」と言う。不安な人まで無理に接種させるものではありません。

子どもも積極的にうつ段階になりつつあるが...

——日本小児科学会は8月10日、5〜17歳について「推奨」に変更しました。

健康な子どもについて、今まで「意義があると考えています」としていたのを、「推奨します」にしましたね。

——この変更についてはどう思いますか?

最初の頃は「今の新型コロナは主に大人の病気ですから」と言っていました。圧倒的に大人がかかり、高齢者が悪くなる病気でした。

ですから、限られたワクチンの量、接種に関わるスタッフの数、さらに子どもに接種した場合のデータの質・量なども考えて、「子どもも早く集団接種で」などと言わなかったのです。まず早く大人の接種を進めましょう、と特に高齢者を優先し、子どもへの優先度は下げる考え方をしていました。

でも大人で免疫を持った人が増えてくると、免疫のない子どもの中で感染者の数が必ず増えてきます。幸い、子どものほとんどは軽症ですが、感染者の数が大きく増えれば重症化する子どもも出てきます。

大人の病気から、子どももかかる病気に変化してきたので、個々の子どもを守るという意味で、子どももできるだけ接種をしたほうが良いという段階に変化しています。今はまさにその段階になったのではないかと思います。

——これほど子どもにも感染が広がった後の変更は、「遅かったのではないか」と感染症畑の医療者から批判が出ています。どう考えますか?

それはタイミングの問題です。今でも優先するのはどちらかと言えば、高齢者、そして次に中年層であると思います。

でも「小児にも接種したほうが良い。うちの子どもには接種を受けさせておきたい」という人にはちゃんと小児用のワクチンが、法的にも、費用的にも、また万一の救済に関しても、大人と同様に接種できるようにされています。

——小児科医会や小児科学会は「意義がある」から強めの「推奨」に変えたわけですが、先生のご意見は当初から全然変わらないですね。

小児科学会・小児科医会は子どもの感染者をまさに目の当たりで前で診ている最前線の先生方の集まりです。重い・軽いだけではなく、多くの患者さんがいろいろな意味で辛い思いをする様子を診る、相談を受けるので、どうにかしたいと思うのは当然だと思います。

インフルとのダブルパンチはどうなる?

——インフルエンザも子供は冬に感染するわけですが、子どもへのインフルエンザワクチンは努力義務でもなく、任意接種ですね。でもコロナは努力義務を課すということは、インフルとはやはり違う位置付けの病気やワクチンであるということでしょうか?

僕は今の段階では、子どものコロナワクチンも保護者がより主体的に考えることができるインフルエンザワクチンのような位置付けでいいと思っています。

でも努力義務がかかったことに対して、あえて反対を述べるほどでもありません。

保護者の考えは最終的には尊重されるということは変わっていないので。繰り返しになりますが、「勝手に決めていいですよ」ではなくて、「親御さん、自分の子供をどうするか、自分でよく考えるようにしてください」という意味に受け取ってほしいです。

——今冬はインフルエンザも流行するかもしれないと言われていますね。南半球で流行して、日本ではインフルとコロナの第8波が同時に来るのではないかという嫌なことも言われています。

それは嫌ですよね。でも、大流行かどうかは別としても、この2年間と異なってインフルエンザが登場しそうな状況にはあると思います。

——子どもにも両方ワクチンをうった方がいいのですかね?

それはやはり接種した方がいいと思いますよ。

——そういう意味では、コロナを努力義務にしたなら、インフルも努力義務にしないの?と思うのですが、どうなのでしょう?

うーん。そうですね...。でも僕が言っている「インフルワクチンも受けておいた方がいいんじゃない?」という言葉は、「コロナワクチンも受けておいた方がいいんじゃない」と同じ強さの勧め方です。

つまり、すごく個人の判断を大事にしたい位置付けのワクチンです。集団を守るという位置付けではない。

ワクチンが心配だ、不安だという親御さんにまで「みんな接種しているのですから、さあやりましょう。これは義務です」というワクチンではありません。「あなたこのワクチンを接種させないとダメですよ。親として失格だ」などということは言えません。

これが麻疹(はしか)のワクチンであれば、「あなたは親なのに子どもに麻疹ワクチンを受けさせないのですか?親としての義務を果たしていないのでは!」と強く言います。

麻疹はワクチンで予防しないと、もしかかったら確実に重症感があり、「感」だけではなく、重度の後遺症や生命的危険性が起こる可能性が高い病気だからです。

森内浩幸先生と共通しますが、コロナワクチンもインフルワクチンも全体の流行を抑えようという気持ちで接種をするワクチンではありません。

感染して学校を休みたくないというお子さんや、旅行に行きたい、入試を無事過ごしたい、もちろん重症化は避けたいというなら受けた方がいい。個人を守るためです。

そして、そのような人々が容易に接種を受けられるような環境を国や自治体は整えるべきで、医療者は実施できるようにすべきでしょう。

オミクロン対応ワクチン 当然やるべき

——子どものワクチンから離れますが、政府は10月からオミクロン対応ワクチンを1、2回接種が済んだ全員を対象に接種すると発表しています。

当然やるべきだと思います。

mRNAワクチンは、その利点としていつでも肝心の中身を相手に応じて変えられるワクチンです。ただ技術的に簡単でも、新しいウイルスが出るたびに次々に作り替えていくのではかなわない、あるいは出来上がったらまた次の変異、というのでは変更する意味が薄まってしまう、という意見もわかります。

オミクロンは明らかに今までのウイルスとは特徴が違ってきています。もちろん対応策も変わってきていますが、最初に流行した武漢型の肺炎を起こしやすい型も残しておく混合ワクチンのような形も、よいアイデアと思います。インフルエンザのA型とB型を一緒に防ぐワクチンのようなイメージです。

——5歳未満のお子さんがいるご家庭も、ハラハラしながら流行を過ごしています。この年代のワクチンについてはどう考えますか?

それは次のステップであって、5歳未満についてはまだデータが乏しい。おそらく意義はあると思いますし、重要な検討課題にはすべきだと思いますが、今すぐ導入の花火を打ち上げるまでには至っていないと思います。

——先んじて接種しているアメリカのデータを見てもそうですか?

アメリカは伝統的にワクチンに頼る国ですね。僕は銃規制と似ているなと思います。自分の身は自分で守るという精神です。

日本はマインドが全然違う。お役所がなんとかしてくれるという考えですね。アメリカはジャンジャン供給しますが、しかし日本よりも接種率は低いですね。

感染対策に気をつけながらも、人とのふれあいも楽しんで

——5〜11歳のワクチンの接種率は他の年代と比べて20%も満たないほど低いです。子どもの患者が殺到している小児科の先生は、国がなぜ積極的に勧めないのかと苛立っています。今から検討する保護者に対して、先生はなんと呼びかけますか?

まずは、親御さんはかかりつけの先生の話を聞いてみてください、と言いたいです。

危ないワクチンではないですが、副反応が起きないワクチンではありません。効果は十分ありますが、重症化を防ぐ効果は大人よりは低いです。それをどうとらえるか、かかりつけの先生によっても意見は異なると思いますが、まさに自分のかかりつけの先生の意見、で良いのではないかと思います。

そしてもし子どもにワクチンを接種しようとするならば、まずは両親に「あなた自身はきちんと決められた回数接種しましたか?」と聞きたいです。親御さんが接種を受けることによって、子どもたちの家庭内感染はかなり防げるというデータがあります。

「私たちもちゃんとうちました、子どもにもワクチンをうたないと不安です」という両親には、「どうぞどうぞ。接種しましょう」と勧めます。

でもやはり「子どもには不安です」という人には「それなら様子を見たらいかがですか? でもかからないように、より注意して生活してくださいね」と伝えます。

——本当にブレないですね。夏休みで集団生活はありませんが、ワクチン接種のほかは、どういうことに気をつけて過ごしてほしいですか?

こども自身に気をつけさせるのは難しいですが、基本的な感染対策はしっかりと、難しいかもしれませんが過剰にならない程度にやってください。新型コロナだけでなく、インフル、ノロも共通の感染対策を守れるかどうかが大切です。

——祖父母の家に行くのはどうですか?

今の段階で祖父母の方がワクチンを接種して防いでくれれば、かなり祖父母の方の感染は防げますし、かかったとしても重症化が防げます。

移動してはいけないということはないのです。孫と2年も3年も会わないなんて、やはり異常です。オンラインでは置き換えられない貴重なチャンスです。

ただし、日本の習慣としてやむを得ないとはいえ、皆が一斉に、同じ方向に動き出す(出かける)というのはできるだけ避けてほしいですね。

人は密着して生きるものです。特に子どもはそうです。その接触は大事にしてほしい。ただし、その時にコロナにかかるかもしれません。具合が悪かったら、人とは接触しないようにしなければいけない。

何をやってもいいわけではなくて、おじいちゃん、おばあちゃんの家に行くならば、それなりにワクチンも受けて、具合が悪かったら行かない。必要な場ではマスクをつける、手洗いをする。

お花見の時に申し上げたことと同じです。やることは気を付ければできる、けれども同じように人が一斉に行く時に人の集まるところには行かない。

そういうことを気をつけて、楽しんでほしいと思います。

【岡部信彦(おかべ・のぶひこ)】川崎市健康安全研究所所長

1971年、東京慈恵会医科大学卒業。同大小児科助手などを経て、1978〜80年、米国テネシー州バンダービルト大学小児科感染症研究室研究員。帰国後、国立小児病院感染科、神奈川県衛生看護専門学校付属病院小児科部長として勤務後、1991〜95年にWHO(世界保健機関)西太平洋地域事務局伝染性疾患予防対策課長を務める。1995年、慈恵医大小児科助教授、97年に国立感染症研究所感染症情報センター室長、2000年、同研究所感染症情報センター長を経て、2012年、現職(当時は川崎市衛生研究所長)。

WHOでは、予防接種の安全性に関する国際諮問委員会GACVS)委員を歴任し、 西太平洋地域事務局ポリオ根絶認定委員会議長、世界ポリオ根絶認定委員会委員などを務める。日本ワクチン学会・日本小児感染症学会名誉会員、日本ウイルス学会理事、アジア小児感染症学会会長など。

Naoko Iwanagaに連絡する メールアドレス:naoko.iwanaga@buzzfeed.com.

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