読者のみなさんにいま伝えたいこと。読者のみなさんと一緒に考えたいこと。bizble編集部員が、日々の暮らしや生活のなかで感じていることや思っていることを元に、ブログのようにつづる企画です。
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新型コロナウイルスの感染拡大で、在宅勤務が当たり前となった方も多いのではないでしょうか。私が所属している朝日新聞社のデジタル部門でも、2020年春から在宅勤務を中心とした働き方にシフトしました。
bizble編集部は今も、基本的に在宅勤務です。slackやTeamsなどのコミュニケーションツールを使って、毎日やりとりしています。3月の1カ月間で、私が出社したのはどうしても必要な時のみで、3回でした。
東京都の人口流出が続いていることも話題になっています。転出する人が増え、転入超過の勢いが鈍っているといいます。人材サービス大手のパソナグループが東京・大手町にある主な本社機能を兵庫・淡路島に移転させたことも注目されました。
そんな中、私も2021年2月末、東京都内から茨城県水戸市に引っ越しました。その理由について、個人的な理由ではありますが、同じように東京を離れて暮らしたいなと考えている方や、新しい働き方を模索している方にとって、何かの参考になればと思い、つづりたいと思います。
緊急事態宣言下、ひとり暮らしで在宅勤務。画面越し以外に誰とも話さない日々
私は2020年3月まで、朝日新聞政治部で記者をしていました。その年の4月から、デジタル部門で働くためのスキルを身につけるため、半年間の研修を受けることになりました。ちょうど同じタイミングで、東京で同居していた夫が水戸に転勤することになりましたが、研修は基本的に出社が前提だったため、私が水戸に引っ越しをすることは考えていませんでした。
しかし、新型コロナウイルスの感染が広がり、4月7日、東京都など7都府県を対象に緊急事態宣言が発出されました。対面で予定されていた研修プログラムも、急きょオンラインに切り替えられ、TeamsやZoomで講義を受けました。
この間、同じ研修を受けている仲間とTeamsでたわいもない雑談をする時間もありましたが、パソコンを閉じると誰もいない部屋にひとり。緊急事態宣言が出ていたこともあり、友人たちと食事に行くこともなく、電話や、画面越し以外に誰とも話さない日々が続きました。
5月25日には東京都を含めた緊急事態宣言が解除され、私は6月からハフポスト日本版へ研修派遣されることになりました。ハフポストでも在宅勤務が中心でしたが、職場環境が変わったこともあり、東京を離れることは考えませんでした。
転機が訪れたのは、2020年10月から。朝日新聞のデジタル部門の部署に配属となり、再び在宅勤務が中心の生活となりました。
上司の理解のもと、出社の必要があるときを除いて、夫が暮らす水戸市の部屋で在宅勤務を続けるようになりました。画面越し以外にほとんど誰とも話すことのない、一人暮らしでの在宅勤務の日々が、自分が思っていた以上に孤独と不安をもたらしていたからでした。
そして、2021年1月に2度目の緊急事態宣言が発出され、水戸市への移住を決意。きっとこの先も、オンライン化で広まったこのリモートワークという働き方は、完全に元に戻ることはないだろうと感じています。
「空き家」に払い続けた家賃。1時間10分ほどで都内に行けるアクセス
水戸への移住を決意したのは、私にとっては精神的な理由が最も大きかったのですが、経済的な理由ももちろんありました。
まず、都内で借りていた部屋の家賃です。ほとんど暮らしていないのに、2人暮らし用の部屋の家賃の出費が毎月ありました。水戸での生活もあったので、まとまった額の出費は負担でした。
部屋を引き払うことを決め、2月末に退去した後、ふと自分が住んでいた部屋の大きさを調べようとネットで検索しました。すると、4年前に私が借りはじめた時の家賃よりも、3万円高い金額で募集がされていたのです。東京の家賃が4年でこんなに上昇したとは…と驚いたことを覚えています。
また、どうしても東京の本社に出社しなければならない時もあります。そんなとき、水戸から上野まで、JRの特急を使えば1時間10分ほどで着くアクセスのよさも背中を押しました。
片道で3890円かかりますが、いまのところ出社は月3回程度です。通勤時間は長くなりましたが、家賃に比べると、金銭的な負担は少なくなりました。
「新しい働き方だね」背中を押してくれた同僚たちの支え
水戸に移住するかどうかについては、昨春以降、頭の片隅でぼんやりと考えていました。それでも決断までに時間がかかったのは、東京を離れることによって、私自身が築いてきた仕事関係の結びつきが失われるのではないかという心配でした。
竹下さんは東京にいないから、この仕事は違う人に任せよう。竹下さんは東京にいないから、この集まりには呼ばないようにしよう。
そんな風に周囲から思われてしまうのではないか。また、周囲に迷惑をかけてしまうのではないか。そんな心配が心のどこかにあり、踏み出せずにいました。
しかし、「水戸に引っ越すことを考えている」と同僚や上司に打ち明けたところ、「新しい働き方だね!」「いいね!」と好意的に受け止めてくれました。極力出社しなくてもいいよう、直接提出しなければならない書類は出社している上司が代わりに提出してくれたり、私が出社するタイミングまで書類を保管しておいたりしてくれました。
地方で暮らせばいいとは思いません。どうしても上記のような配慮をしてもらっているのも事実ですし、東京で暮らしたい方も、東京で暮らさざるを得ない方もいらっしゃると思います。
ただ、業務のオンライン化によって、東京にいなくても同僚と同等に働ける環境が整備され、働く人の選択肢を増やすことにつながったことは事実です。それぞれが望むライフスタイルを送ることができれば、生活の満足度が上がり、業務に集中できるようになるのではないでしょうか。
bizbleは、2度の緊急事態宣言下に、メンバー全員がほぼ在宅勤務をする中で立ち上がったメディアです。
これからも、新しい働き方や新しいライフスタイルをみなさんと一緒に模索していきたいと思っています。