社会福祉士国家試験

社会福祉士試験の難易度は高い?合格者の属性と難しい理由を解説

国家資格である社会福祉士ですが、挑戦するかどうかの基準の一つに難易度がありますよね。

難易度が余りにも高いと受験を躊躇する方もいるかもしれません。

今回は、社会福祉士試験はどれぐらいの難易度があるのか触れ、どのような人たちが合格しているのか、数値を出して具体的に解説いたします。

そして、なぜそのような難易度になるのか、その理由も示していきたいと思います。

最短合格を目指す最小限に絞った講座体系

1講義30分前後でスキマ時間に学習できる

現役のプロ講師があなたをサポート

20日間無料で講義を体験!

社会福祉士の難易度は高い

社会福祉士国家試験の合格率は低く、難易度は比較的高いです。

難易度は人それぞれ感じ方があるので、一概に『高い』と言い切れないのですが、適切な勉強の仕方をしないと、3回、5回と回数を重ねて受験をしても合格しない人は実際にいます。

全体の合格率は30%前後とされており、第34回(令和3年度)の合格率は31.1%でした。

関連コラム:【社会福祉士の合格率】全体・受験資格別・年齢別から解説します

合格者の属性による考察

では、実際に合格した人の内訳を考察していきましょう。

以下の数値は合格者に関する数値です。

年齢

まず、年齢です。

  年齢区分
(歳)
~30 31~40 41~50 51~61 61~
令和3年度
(第34回)
人数(人) 5,173 1,811 2,152 1,282 324 10,742
割合(%) 48.2 16.9 20.0 11.9 3.0 100.0
令和2年度
(第33回)
人数(人) 4,913 1,813 2,149 1,172 286 10,333
割合(%) 47.6 17.5 20.8 11.3 2.8 100
令和元年度
(第32回)
人数(人) 5,597 2,076 2,369 1,256 314 11,612
割合(%) 48.2 17.9 20.4 10.8 2.7 100
平成31年度
(第31回)
人数(人) 6,050 2,439 2,368 1,269 330 12,456
割合(%) 48.6 19.6 19 10.2 2.6 100

30歳未満が最も受験者数が多く合格率も高い

年齢区分では、30歳未満の区分が最も受験者数が多く、また合格率も高いです。

全体の合格率は30%前後ですが、30歳未満の人が占める合格者数の割合は50%弱で推移しています。

これは「福祉系大学等ルート」等、高校卒業後ストレートで福祉系大学に進学し受験した人が多いためでしょう。

大学等で専業で学び、また学習習慣がある学生は、仕事や家事と両立しながら勉強をする人よりは相対的に難易度が下がります。

しかし、「31~40」「41~50」「51~60 」の区分も、1000人以上の合格者がおり、合格者数の占める割合も10~20%ずつあります。

合格者数の半分は31歳以上の人であり、様々な仕事や環境に身を置きながら勉強し、合格しています。

在学中など時間にゆとりがなければ合格は難しい、という試験では決してありません。

過去問題の傾向と対策をしっかり念頭に置いて、適切な学習方法を行えば決して困難なことではないでしょう。

受験資格別

続いて受験資格別で考察してみます。

  区分 福祉系大学等
卒業者
養成施設
卒業者
令和3年度
(第34回)
人数(人) 6,124 4,618 10,742
割合(%) 57.0 43.0 100.0
令和2年度
(第33回)
人数(人) 5,826 4,507 10,333
割合(%) 56.4 43.6 100
令和元年度
(第32回)
人数(人) 6,586 5,026 11,612
割合(%) 56.7 43.3 100
平成31年度
(第31回)
人数(人) 7,232 5,224 12,456
割合(%) 58.1 41.9 100

受験資格別では合格者の割合に大きな差はない

「福祉系大学等卒業者」「養成施設卒業者」の区分における合格者の割合は例年6:4程度で「福祉系大学等卒業者」区分の合格者のほうが少し多くなっています。

とはいえ、表をみてもわかるように大きな差はありません。

どのようなルートで受験資格を得ても難易度に差はなく、しっかり学ぶことで試験に合格できることがわかります。

新卒・既卒

令和3年度
(第34回)
新卒 既卒
受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率
① 福祉系大学等ルート
(福祉系大学等)
8,106人 4,244人 52.4% 10,884人 1,660人 15.3%
② 福祉系大学等ルート
(福祉系短大等+実務経験)
1,471人 220人 15.0%
③ 短期養成施設等ルート 919人 351人 38.2% 1,386人 212人 15.3%
④ 一般養成施設等ルート 4,947人 2,813人 56.9% 6,850人 1,242人 18.1%

新卒・既卒の区分の合格率には大きな差がある

「新卒」「既卒」の区分では、合格率に大きな差があることがわかります。

「新卒」区分の平均合格率は49.2%と受験者の半数が合格するのに対し、「既卒」の区分の平均合格率は、15.9%と6~7人に1人しか合格していません。

新卒、つまりその年度まで大学や養成施設で学んでいた人が合格しやすくなっています。

社会福祉士国家試験に限りませんが、勉強から一度でも離れてしまうと、学習環境を整えたり、モチベーションを維持するのが難しくなり難易度は上がってしまうようです。

これは、年齢による合格者数の違いと通じる内容となっています。

受験生の半分は1回目の受験で合格している

「新卒」区分の受験生は、社会福祉士国家試験初受験です。

その新卒区分の平均合格率が49.2%(第34回)なので、試験の合格者の2人に1人は一発合格していることになります。

「既卒」の区分の人が何回目の受験かについてのデータは公開されていません。

しかし、社会福祉士国家試験は専業で学ぶ人はほとんどおらず、既卒区分の場合は働いていることが多いです。

そのため、仕事や家事などと両立して学ぶだけのモチベーション維持が難しかったり、試験前のまとまった時間を取りたいときに仕事が忙しくなるなどして、2回目以降はなかなか良いコンディションで試験に臨めずズルズルと試験を受け続けてしまうのかもしれません。

福祉系大学で受験資格を取得し20代で合格する割合が高い

また、これらのデータを数値から、福祉系の大学を卒業して社会福祉士の受験資格を取得し、その後20代で合格するという割合が高いことがわかります。

しかしその一方で、合格者の50%を超える人が30代、40代、50代以降になっても合格しているのです。

もし、このコラムを読んでいる方の中に「福祉職の経験がないけど、合格できるだろうか…」と不安であっても、受験資格を取得すればまだまだ合格できるチャンスはあります。

社会福祉士試験が難しい理由

社会福祉士国家試験が難しいと言われる理由について考えてみます。

1 範囲が広く覚えにくい

社会福祉士はとにかく出題範囲が広く、19科目(18科目群)から150問題出題さてます。

介護保険制度の内容があるかと思えば、歴史上の人物も覚えなければなりません。

最初の方に覚えたことは、時間の経過と伴に忘れてしまったり、内容が混乱することもあります。

また、市販のテキストや過去問題集の多くは、かなりのページ数があり分厚くなっていますので、気が遠くなってしまうのです。

最終的に、何が重要なことなのかが分からなくなり、何をどう覚えればいいのか混乱するケースも珍しくありません。

「自分の勉強方法がこれで良かったのか?」と不安を抱くようになる人も多いのです。

2 勉強時間の確保が難しい

例えば大学に在籍して勉強する環境が整っているなら、学習時間を確実に確保できるでしょう。

しかし、働きながらだと非常に難しくなってくるのです。残業でもあると、平日にまとまった学習時間を確保することが出来ず、土日や祭日にまとめて勉強するしかない状況になるのです。

人によっては、平日出勤する前に30分でも学習時間を取ったり、単語帳や自作ノートを作成して仕事の合間に勉強したりする人もいます。

3 身近にチャレンジする人がいなくて孤独

社会人受験者が目の当たりにすることですが、とにかく孤独です。

例えば、友達同士で相談して受験をするなら別ですが、多くの人が自分の意思で受験することを決めて、一人で勉強することになるのです。

孤独だと、モチベーションが上がらなかったり、分からないことを気軽に聞ける環境にないデメリットがあります。

4 試験当日の緊張感

試験当日の緊張感は計り知れないものがあります。

会場の広さ、人の多さ、試験監督官の目、トイレが気になったり、冬場の試験なので寒さ対策もしなくてはなりません。

そのようななか、それまで勉強したことを100%発揮できるとは限りません。

マークシートへの記入のミスや時間配分ミスに加えて、隣の人の貧乏ゆすりが気になって集中できないことも考えられます。


これらの4つの項目が社会福祉士試験が難しいと考えられる理由です。

しかし、勉強方法を工夫さえすれば取得できない資格ではないのです。

効率よく勉強できる自分流の方法があれば、合格することは決して夢ではありません。

最短合格を目指す最小限に絞った講座体系

1講義30分前後でスキマ時間に学習できる

現役のプロ講師があなたをサポート

20日間無料で講義を体験!

この記事の監修者 遠藤 愛 講師

遠藤 愛 講師 (講師紹介はこちら

全くの異業種から介護の世界に飛び込み、訪問介護員として介護業界での勤務をスタート。住居環境・経済状況が様々なケースを担当。

現在は、医療ソーシャルワーカーとして、地域の在宅・施設の福祉職と協働しながら、数多くの高齢者・障害者とその家族への退院支援業務にあたる。

講座を見る

20日間無料で講義を体験!