2022年6月22日から24日の3日間、幕張メッセでは日本最大級とも言えるドローンの展示会イベント「Japan Drone 2022」が開催されていました。
ドローンの展示会と聞くと、機体が展示してあるBtoB向けのイベントを想像する方もいるかもしれません。
Japan Drone 2022はドローンビジネスを扱う企業向けのイベントである一方、ドローンを使用する個人に向けてのイベントとしての側面もあるイベントでした。
本記事では、Japan Drone 2022はどんなイベントなのかや、実際の出展内容についてお伝えします。
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Japan Drone 2022ってどんなイベント?
Japan Drone 2022は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が主催する「ドローンの利活用による安心・安全な街づくり、社会基盤整備のイノベーションを目指し、ドローンの社会実装によるスマートシティ実現に向けた新たな課題解決を支援する」をコンセプトとしたイベントです。
ドローンによる運搬、輸送、点検、測量、セキュリティなどをはじめとするドローン技術を扱う各企業がドローン技術について発信を行い、日本のドローン技術を広く世界に発信したり、スタートアップのドローン企業を支援したりすることを目的として、2016年から毎年開催されています。
実際にJapan Drone 2022に参加してみると、私達にとって馴染み深い回転翼航空機としてのドローンだけではなく固定翼航空機としてのドローンや、水中ドローン、農薬散布用ドローン、羽のないドローン、レベル4飛行向け大型ドローンとさまざまなドローンが展示されていました。
中には従来のGPSを使用しているドローンの課題を解決するために開発された、GPSを使用せず魚眼レンズでホバリングを行う点検用ドローンも展示されており、日本国内でも着々とドローン技術が発展・改善されていることを実感できる展示会でした。
実際にJapan Drone 2022ではどんな展示が行われていたのか、個人向けの展示も含めて3つの例をご紹介します。
Japan Drone出展ブース①株式会社エアロジーラボ「AeroRange Quad」
まず最初にご紹介するのは、株式会社エアロジーラボが出展していた「AeroRange Quad」というドローンの展示ブースです。
大型のドローンと聞くとDJI社のMatriceシリーズやInspireシリーズを想像する方も多いかもしれませんが、株式会社エアロジーラボのように国内でも独自に大型ドローンを開発する企業も一定数存在します。
株式会社エアロジーラボの開発している「AeroRange Quad」はドローン業界では非常に珍しい、エンジンジェネレーター(発電機)とバッテリーを搭載している混合ガソリンを燃料として稼働するハイブリッド型ドローンです。
「AeroRange Quad」は従来のバッテリー型ドローンでは難しい長距離の飛行を実現するのが特徴であり、何も機体に搭載していない時は驚きの2時間超えの飛行時間を実現できるドローンでもあります。
「AeroRange Quad」のように燃料で運用するドローンはバッテリーで運用するドローンよりも高い安全性が求められますが、「AeroRange Quad」は利用しているフレームが強靱なカーボン一体型であり、安全対策としてのエアバッグやパラシュートなども搭載できる機体であり、安全面の観点でも優秀な機体であると感じました。
「AeroRange Quad」は各種ソフトウェアや機材を搭載することを想定して製造されているドローンでもあるため、点検に必要な赤外線カメラや暗視カメラ、RTK装置、荷物運搬に必要なウィンチ、万が一に備えたパラシュートなとも搭載できる、今後解禁されるレベル4飛行にも対応したドローンとしても特に注目されている国産ドローンです。
Japan Drone出展ブース②株式会社A.L.I. Technologies「C.O.S.M.O.S.」
株式会社エアロジーラボが出展した「AeroRange Quad」のようにドローン機体ではなく、ドローン飛行を安全・効率的に行うシステムの展示であり、Japan Drone 2022では他に写真測量クラウドサービスや撮影対象を3Dで撮影する点検支援ソフトウェア、安全飛行のための運航管理システムなどが展示されていました。
その中でも今回は2つめの展示例として、株式会社A.L.I. Technologiesが開発・展示を行った「C.O.S.M.O.S.」という安心・安全なドローン自動操縦の実施に必要なドローンの監視・管理を行うプラットフォームサービスをご紹介します。
プラットフォームサービスというと難しく感じるかもしれませんが、各ドローンを操縦するためにあると嬉しい、飛行計画から飛行後までの運航管理を効率的に行えるシステムであると捉えると、イメージが掴みやすくなるのではないでしょうか。
「C.O.S.M.O.S.」は飛行ミッションから飛行計画・撮影データ・ドローン機体・オペレーター・操縦者などの情報を一元的に管理できるシステムであり、飛行中は機体の現在地を地図データで管理しながら、ドローンに搭載した360°カメラで周辺環境も確認できるのが特徴です。
ドローンによる物流を促進する上では必須とも言える安全整備を行う場合、飛行中の機体情報を管理できる状態が理想的となるため、今後レベル4飛行を実現するには「C.O.S.M.O.S.」のような飛行中の運航管理システムが必須となってきます。
先述した株式会社エアロジーラボの開発ドローン「AeroRange Quad」と「C.O.S.M.O.S.」を連携させたドローン機体の遠隔監視・操縦の飛行実験も完了・成功しているため、レベル4飛行解禁後は災害時に物流が断たれた孤立集落の物流支援など、自治体主体での利用が機体されているシステムとして今後の国内普及が期待されるシステムです。
Japan Drone出展ブース③Autel Robotics「EVO LITEシリーズ」
最後にご紹介するのは個人でも利用できるドローン機体を扱っている、アメリカのAutel Robotics社が開発している「EVO LITEシリーズ」の展示ブースです。
個人で利用できるドローン機体と聞いて真っ先にMini2やAir2S、Mini3 Proなど、DJI社のドローンを想像する方が多いと思います。実際にJapan Drone 2022ではDJI JAPANの正規代理店である株式会社SEKIDOがDJI社のドローン展示を行っており、馴染み深さと知名度で言えばDJIのドローンが群を抜いているでしょう。
Autel Roboticsの開発しているドローン機体は国内での知名度こそDJIに劣るものの、対等に渡り合えるスペックのドローン機体を開発しています。
例えばEVO LITEシリーズのLite+という機体とDJI Air2Sを比べてみましょう。機体重量としてはAir2Sが595gで折り畳み時は180×97×77 mmというサイズ感であるのに対し、Lite+は820gとやや重めでありながら折り畳み時は210×104×85mmとAir2Sより少し大きめの機体であり、Lite+が飛行中に安定しやすく持ち運びには困りにくい機体であると想像できます。
Lite+はAir2Sの最大飛行時間31分より9分長く、最大で40分飛行可能です。
よりこだわって空撮をしたい方にLite+をおすすめできる特徴として、レンズの絞りがf/2.8~f11まで調整でき、ズームが最大16倍までできるという特徴があります。Air2Sは絞りがf2.8で固定されており最大ズームも8倍までのため、なかなか撮影にこだわるのが難しかったですが、Lite+はカメラにこだわりたい方の悩みを解決できる機体です。
AmazonでAir2SがDJI Air 2S Fly More コンボとして16.5万円で販売されているのに対し、Lite+はセットで約25万円と価格は高めですが、よりこだわった空撮を実現したい方にはおすすめです。
編集後記
Japan Drone 2022で出展されていた3つのブースをご紹介しました。2022年12月に施行される改正航空法でレベル4飛行が解禁されたら、大型ドローンによる物流運搬や災害支援などさまざまな分野でドローンが活躍するようになります。
ただし、ただドローンを活躍させるだけではなく安全にドローンを操縦しながら、可能な限りオンラインで対応できるようにしなければ各種業務の効率化には繋がりません。
Japan Droneでは本記事で取り上げた「C.O.S.M.O.S.」のような運航管理システムの開発情報をリアルタイムの最前線で把握できるイベントでした。Japan Drone 2022には参加しなかったという方は、2023年の6月26日から28日で開催されるJapan Drone 2023にぜひ参加してみてください。
現役ドローンパイロット&ライターとして活動中 / Mini2・Phantom4 Pro+ V.2.0の2台を所有 / DJI CAMP スペシャリスト・ドローン検定3級・UAS Level2取得済 / 執筆のご相談はこちらから
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