渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

喫茶店のまかない

2022年09月10日 | open


高校の時の神田神保町の喫茶店の
バイトでは「まかない」が出た。
従業員からは金は取らなかった。
飲み物も。
家人が大学生の時の目黒区内の
喫茶店のバイトではまかない無し。
コーヒーは1杯100円を取ったと
いう。
店でのコーヒー代は300円位。
原価は60円だったそうだ。
私が高校の時は店でコーヒーは
250円程度だった。
娘が新宿ルミネのカフェで大学
時代にバイトしていた時もまか
ないはあったそうだが、やはり
従業員価格であれ無料ではなか
ったらしい。
私の勤めた神保町の喫茶店が
特別だったのか、70年代という
時代がそうだったのかはよく
分からない。

ただ、私がバイトしたローラン
という喫茶店のまかないはやた
らめったら美味かった。
チーフが作ってくれていたが、
そのうち自分で作れとなった。
高1の時。
そして、それを観察されて、
で出す客の軽食も私が作るよう
になった。
速度と正確な包丁さばきと動きを
チーフに仕込まれた。チーフは元
中大全共闘(笑
1976年で除籍通知が来たという
から、1967年入学だろう。
多分中大ブントかな(笑
叛旗派あたりだろう。
とんでもなく理知的な人だった。
仕事柄髪は清潔にしていたが、
顔はジョン・レノンに似ていた。
高1の私は実存主義についてチーフ
とやりとりする対話がとても楽し
かった。私がカミユを読みまくっ
いた頃だ。

喫茶店の時代。
それは日本では1970年代だろう。
学生街には必ず喫茶店が乱立して
いた。
これはファストフード店が大々的
に全国的に激増する前の時代。
マックが日本に出始めの頃。
喫茶店こそは、中学生から高校生、
大学生、社会人の憩いの場所だっ
た。
健全なる飲食店。
ちょい不良じみた喫茶店はJAZZ
喫茶などがそうだった。
同伴喫茶などというヤバげな猥褻
喫茶もあった(18禁)。

喫茶店が好きである。
ただ、今の時代、喫茶店は激減し
たので、喫茶店でピザトーストや
ナポリタンを食べて、仲間と話し
込んだり、また一人で読書したり
という機会も減った。
それでも、喫茶店が好きである。

今住んでいる町には幸いに喫茶店
何店舗か残っている。
気に入っている店もいくつかある。

千代田区神田神保町のローランの
すぐそばにあった喫茶「さぼうる」
は今でも健在だ。
ここも70年代中期の高校時代には
行きまくった。のちに早稲田に
進んだ連中たちと。あとパチンコ
人生劇場とJAZZ喫茶も(笑
都内によくあったJAZZ喫茶は三億
円事件の映画『初恋』で出て来た
ような喫茶店だ。
宮﨑あおいが演じる女子高生みす
ずと東大生岸が出会った店。
店内も客も、あんな感じが多かっ
た。あの映画はリアルな映像だっ
た。

神田神保町ローランは私の学生
時代のちょいに消滅したが、
近所のさぼうるは残っいる。
貴重な学生街の喫茶店だ。
ローランも店内の雰囲気は似てい
た。ローランのオーナーもチーフ
と同じく大学中退の人だった。
可愛がってくれた。よく仕事ハネ
てから近くの雀荘で麻雀誘ってく
れた。終電前に切り上げた。
学生街には、人の温もりと息吹が
あった。




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