極めて存在感のある駐日大使
昨年12月18日に第31代駐日米大使として着任したラーム・エマニュエル氏は、従来とは全く異なる、極めて存在感のある駐日大使である。
1959年11月29日、イリノイ州シカゴ生まれの62歳。サラ・ローレンス大学卒業、ノースウエスタン大学に進み弁論・コミュニケーション修士号を取得(1985年)。93年1月~98年11月までクリントン民主党政権の大統領上級顧問(政治担当)。そして94年、同政権の議会対策責任者として当時のジョー・バイデン上院議員と共に「女性への暴力防止法」を成立させたが、同年11月の中間選挙で民主党は敗北した。
02年から米下院議員(イリノイ州第5選挙区選出)を4期務め、08年11月~10年10月までオバマ政権の大統領首席補佐官を務めた。さらに11年5月~19年5月まではシカゴ市長を歴任。在任8年中に85億ドルを投じオヘア国際空港の改修・近代化を始め、同市をニューヨークに次ぐ金融センター化した上で観光業を蘇らせたことは党派を超えて高く評価されている。因みに同大使は投資銀行大手ワッサースタイン・ペレラでM&A(合併・買収)事業の責任者経験がある。
さて、本題である。エマニュエル大使は年初から今日までに日本のメディアのインタビュー・講演に3回応じている。直近は、9月2日に東京・丸の内のパレスホテル東京で開催された読売国際経済懇話会(YIES)での講演である。読売新聞(3日付朝刊)に掲載された講演要旨によると、(1)日米同盟は「守りの同盟」から、インド太平洋に「打って出る同盟」時代に入った(2)日本が国内総生産(GDP)比2%を念頭に防衛費増額を検討していることを称賛する(3)中国は経済的威圧や知的財産を盗むなどのルール違反をしている。……中国は大きな構造的な問題を抱えており、これは習近平氏自身が招いた――など。