「国内最古の文字」とも指摘されていた弥生時代の石製品にあった黒い付着物を、奈良県立橿原(かしはら)考古学研究所(同県橿原市)などのチームが分析したところ、現代の油性マーカーの痕だとみられることが分かった。コンタミ(コンタミネーション、試料汚染)の可能性があるという。10日に千葉市で開かれる日本文化財科学会で発表する。
石製品は松江市の田和山遺跡で出土。弥生時代中期後半(紀元前後)のものとみられ、長さ9センチ、幅7・5センチ。2005年の調査報告書では砥石(といし)と考えられていたが、福岡市埋蔵文化財センターの久住猛雄さんが20年、使用痕などから硯(すずり)と推測。付着物は墨で書かれた文字の可能性があると学会で発表した。
国内で書かれた文字とすれば国内最古の例となるとも考えられ、新聞やテレビで報道されていた。
スペクトル分析、墨と一致せず
一方、石製品を所有する松江市は文字を検出するのに用いられる赤外線撮影などをしたが墨書は確認できなかった。電子顕微鏡による観察でも、墨に特徴的な形の粒子は見つからなかった。
今回、製墨技術の変遷を研究…